かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

心に刺さった本

チャールズ・エリス「敗者のゲーム」第三版日本経済新聞社

前回に引き続き、ブログ始めるよりも前に書かれた読書感想文です。ここから>> 元々は機関投資家や運用会社関係者向けに書かれた本でしたが、この第三版で第III部 個人投資家への助言 が書き加えられました。第I部と第II部は、運用周りのプロ向けの部分であ…

本多静六「私の財産告白」実業之日本社文庫

パソコンのファイル整理中に見つけた読書感想文です。 ブログを始めた2021年4月1日よりも前に書いたもの。お金とどう付き合うか、インデックス投資家のみならず、すべての人に読んで欲しい本です。ここから>> この本を読むのは三回目位だと思いますが、前…

目黒冬弥「メガバンク銀行員ぐだぐだ日記」

M銀行ってみずほ銀行のことですね。3行合併でシステム連携がうまくいかず3回も大規模クラッシュした様子を中の人として迫真の演技でもって描写しています。いや演技だなんて失礼なことを言ってしまいました。システムの事なんて支店勤務者は分かるはずもな…

七帝柔道記IIがおもしろい 文学とは

七帝柔道記Ⅱ 立てる我が部ぞ力あり/増田俊也(小説 野性時代) - カクヨム 単行本でIを読み、ネットでIIが無料で読めるのを見つけて喜んで読んでいます。 七帝とは、北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学の旧制帝国大…

幸福の「資本」論-あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」

橘玲さんの本をご紹介します。3つの資本とは、金融資産、人的資本、社会資本のこと。金融資産はいわずもがな株や預金などですね。人的資本とは自分の稼ぐための技能や能力。社会資本とは人付き合いのこと。それによって頼り頼られる関係が構築される。 橘さ…

渡瀬裕哉「社会的嘘の終わりと新しい自由 2030年代の日本をどう生きるか」すばる舎

他社に介入する権威主義の本質と日本社会の息苦しさの正体、という副題のとおり、なんでこんなに閉塞感を感じる社会になってしまったのか、それから脱却して自由を取り戻すにはどうしたらよいのかという論を展開した本です。例えば、年金保険は、第二次大戦…

正岡 明「手紙からみた明治の群像 子規の叔父加藤拓川と日露戦争の時代」雄山閣

加藤拓川(恒忠)は、大原寒山・しげ夫妻の三男として生まれ、加藤家へ養子となりました。一番上の長女が八重さん。正岡子規の母です。ですから正岡子規は甥っ子ということになります。拓川さんには三男二女の子供が生まれ、三男忠三郎さんが、大正三年に正…

和多田峯一「ずるい老人たち」ミネルヴァ書房

図書館の返却図書を一時的に置いてある棚で見かけ、タイトルに惹かれて借りてみました。 ボランティアで高年齢者の結婚相談所を運営している作者が出会った、ずるい老人たちの記録です。初出が1992年と古いので、舞台のしつらえもなんとなく古いのですが、人…

紫苑「71歳、年金月5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活」大和書房

プチプラってなんだっけ。でググるとプチ+プライスという和製英語で、安い値段を意味するとな。プチってフランス語じゃん。というつっこみはおいといて。 ブログ記事一覧-ひとり紫苑・プチプラ快適な日々を工夫 ブロガー紫苑さんの本。 個人事業主時代が長…

デス・ゾーン

しかしエベレストをはじめとする8,000メートル級の高地ってほんと、デス・ゾーンなんですね。 山頂付近はジェット気流の中に顔を出しているに等しく、モンスーンが出現して寒帯ジェット気流が北にそれ、なおかつモンスーンが南から吹き付けてくる前の五月下…

マーク・シノット「第三の極地」亜紀書房

原題のThe Third Pole=第三の極ですが、1番目と2番目は順番はともかくとして、北極と南極です。じゃあ3番目の極地とは何か。ヒマラヤ山脈です。 エヴェレストが世界一高い山であること、すなわち、陸地の中でもっとも高度が高い所である、と断言できるよう…

吉川徹「コールセンターもしもし日記」フォレスト出版

この本の作者は幸せなのです。例え天井にネズミがさわいで、お米を齧られるような安アパート住まいであっても。 MARCHレベルの大学を出て大企業に勤めたものの職場になじめずパニック障害を起こして退職。妻とは離婚、親権を渡したため息子にも会えなくなっ…

根本裕幸監修「まんがでわかる妻のこと」株式会社カンゼン

2023.1.6一昨日、表題の本を読んだので、本文中気に入ったところをメモ。「家に帰った時ぐらい何も考えないでゆっくりしたい」と考えている夫は多いけど、それは妻も同じこと。家を回すことに妻が頑張っているのに、それを当たり前のように享受し、お客様の…

ジョージ=オーウェル「一杯のおいしい紅茶」中公文庫

図書館の新刊コーナーで津村記久子さんの「苦手から始める作文教室」ちくまQブックスという十代向けの本を手に取って読んだら、巻末にこんな本読んでみたらどうですか、とおすすめが掲げられていてそのうちの一冊がこれだったので、検索して借りてみました。…

グレッグ・マキューン「エッセンシャル思考」かんき出版

なに、仕事が忙しすぎる?そりゃ頼まれたことみんなやろうとするからじゃないの?断りにくいって?いやいや、それって自分を有能だと思ってもらいたいとか、相手をがっかりさせるのがいやだとか、いい人だと思われたいとか、そんなこと考えているでしょ。 じ…

武田友紀「「繊細さん」の本」飛鳥新社

不幸なニュースや同僚の不機嫌さに影響を受けてしまう。 思わず手に取ってしまった本です。 2月にはウクライナ空爆でどよーんとなり、ネットの不幸ニュースで不幸バイアスがかかりすぎだろ、と思いつつ、読みに行ってしまい義憤にかられついついヤフコメに正…

テンプルグランディン&マーガレットMスカリアノ著「我、自閉症に生まれて」学習研究社

自閉症という名称は英語のAutism(自己完結)の訳語ですが、外界からの刺激に敏感すぎるために、一切をシャットアウトして身を守ろうとするので、他人から見ると“自分に閉じこもっている”ように見えるから自閉症と名付けたのではないかと推測しますが、これ…

田中辰雄「ネット分断への処方箋」勁草書房

東京地方、やっと暑さが一服しました。 7月30日と31日に合唱団の合宿へ秩父に出かけ、くったくたになって帰って来て、暑さと湿気でしおしおのパー。冷房かけておこもりして、最低限の家事以外頭も働かずぼーっとしていましたが、やっと少しだけ頭の活動再開…

18世紀のシベリア探検

スティーブン・R・バウン「青狐の島」という本を読んでいます。 デンマーク人、ヴィトゥス・ヨナセン・ベーリングのカムチャツカから北極海、アラスカ半島への冒険の記録です。お察しの通り、ベーリングさんは、最後の秘境と言われたカムチャツカ東岸から先…

若林悠「風刺画が描いたJAPAN」国書刊行会

風刺画は、その対象とする読者の国や時代を強く意識して当てこすりなどで笑いを誘う描き方をされます。例えば子供が喧嘩しているその顔がその時の権力者に似ていたりする。そうするとこの本で示される大政奉還から太平洋戦争終結までという、遠く隔たった国…

原田ひ香「三千円の使いかた」中公文庫

インデックス投信、退職金特別キャンペーン金利、ポイ活なんて言葉が出てきますが、この本ではそれはあくまで小道具。お金の問題にぶつかった時の、不安やとまどいといった感情に丁寧によりそって話を展開していくところに主題があります。例えば、美帆は、…

オド・マッソ「ホームレス救急隊」共栄書房

副題は、フランス「115番通報」物語。日本の119番にあたる救急電話はフランスでは15番です。それに準じてホームレスのための緊急避難電話を作ったグザビエ・エマニュエル氏と組織であるSAMUソシアルのバンド・デシネ*1。 ・人間は4つの要素で出来ている…あな…

連合赤軍と帝国陸軍の類似

連合赤軍が1972年2月に起こしたあさま山荘事件が50周年を迎えます。 下の参考図書に上げましたが、深笛義也「2022年の連合赤軍-50年後に語られた「それぞれの真実」-」を読みました。まず事件へ至るまでの背景が語られ、その後の章で生き残りで刑期を終え…

藤田紘一郎「人の研究を笑うな」ワニ・プラス

寄生虫博士と呼ばれた藤田紘一郎さんの遺作。 好きな研究をやるんだ、嫌いなことはウソをついてでも断る。医学部に嫌われて俸給上昇をストップされても自分を貫いた藤田さんの原点は東京大空襲にあると思います。 焼け死なないように河に入れという兵隊の命…

木谷明「違法捜査と冤罪 捜査官!その行為は違法です。」日本評論社

タイトルの副題「捜査官!その行為は違法です。」という文言が生ぬるく感じるくらい怖い本です。読んでいるうちに、これでもかと警察・検察・裁判所の違法と怠慢で冤罪が生み出された事例の羅列に気分が悪くなりますね。しかも、これって氷山の一角だよね。…

鈴木孝夫「ことばと文化」岩波文庫

・象は鼻が長い 日本語文法の話題ではなく、私たちは「ぞうさん、鼻が長いわね」というとき、形容詞「長い」を言わせる基準はどこにあるのか、という話です。 何かと比べて「長い」と言っているのは間違いない。 例えば「このりんご、大きいね」というとき、…

水谷竹秀「だから居場所が欲しかったバンコク、コールセンターで働く日本人」集英社文庫

年齢不問、性別不問、勤務中の服装自由、タイ語も英語もできなくて全く問題なし、時間になると仕事は終わる、給与は安いけどタイで暮らすならぎりぎりなんとか。 バンコクでの邦人社会は狭い。日本政府から派遣された職員を頂点に、日本からの駐在員、日本企…

早坂信子「司書になった本の虫」郵研社

筆者は宮城県図書館司書として37年勤務した人。オープンリールからレコード、CD、レーザーディスク、ビデオ、DVDといったメディアの変遷、デジタル化の荒波を乗り越えて利用者と向き合ってきた方です。江戸時代の図書館の話。当時書籍は極めて高価で、大商人…

駅バス物件はオワコン

牧野知弘「こんな街に「家」を買ってはいけない」角川新書を読んでいるのですが、大都市郊外の駅バス物件はぜんぜん、まったく売れないそうです。 駅バス物件という言葉を初めて聞きましたが、最寄駅から徒歩ではなくバスに乗り継がないとつかない所にある住…

近藤恒夫「真冬のたんぽぽ 覚せい剤依存から立ち直る」双葉社

ちょっと前だと清原、更に前だと酒井法子、もっと前だと田代まさし。 薬物依存は犯罪とされていますが、その前に病気、依存症なのですね。 覚醒剤は禁断症状がない、というのは初めて知りました。 しかし一度でも覚醒剤を試してしまうと、その快楽を脳が憶え…