一括投資とドルコスト平均法の具体例
前回の続きです。
エコノミーとヒューマンはそれぞれ500円の投資資金を持っています。
ここに1/31の株価が1株100円の株があり、それに投資しようとしています。
エコノミーは500円の一括投資、ヒューマンは100円ずつ5回に分けて投資します。
1. 株価がボックス圏を上下する場合A
年月 | 株価 | エコノミー | ヒューマン | |
1/31 | 100 | 5株購入 | 1株購入 | |
2/28 | 80 | - | 1.25株購入 | 80円×1.25株=100円 |
3/31 | 100 | - | 1株購入 | |
4/30 | 125 | - | 0.8株購入 | 125円×0.8株=100円 |
5/31 | 100 | - | 1株購入 |
エコノミーは5/31の時点で、時価100円*5=500円の株を所持しています。
ヒューマンは5/31の時点で、時価100円*5.05=505円の株を所持しています。
2. 株価がボックス圏を上下する場合B
年月 | 株価 | エコノミー | ヒューマン |
1/31 | 100 | 5株購入 | 1株購入 |
2/15 | 80 | - | - |
2/28 | 125 | - | 0.8株購入 |
3/15 | 80 | - | - |
3/31 | 125 | - | 0.8株購入 |
4/15 | 80 | - | - |
4/30 | 125 | - | 0.8株購入 |
5/15 | 80 | - | - |
5/31 | 125 | - | 0.8株購入 |
エコノミーは5/31の時点で、時価100円*5=500円の株を所持しています。
ヒューマンは5/31の時点で、時価100円*4.2=420円の株を所持しています。
3. 株価がボックス圏を上下する場合C
年月 | 株価 | エコノミー | ヒューマン |
1/31 | 100 | 5株購入 | 1株購入 |
2/15 | 125 | - | - |
2/28 | 80 | - | 1.25株購入 |
3/15 | 125 | - | - |
3/31 | 80 | - | 1.25株購入 |
4/15 | 125 | - | - |
4/30 | 180 | - | 1.25株購入 |
5/15 | 125 | - | - |
5/31 | 80 | - | 1.25株購入 |
エコノミーは5/31の時点で、時価100円*5=500円の株を所持しています。
ヒューマンは5/31の時点で、時価100円*6=600円の株を所持しています。
4. 株価が上昇圏にある場合
年月 | 株価 | エコノミー | ヒューマン | |
1/31 | 100 | 5株購入 | 1株購入 | |
2/28 | 125 | - | 0.8株購入 | |
3/31 | 160 | - | 0.625株購入 | 160円×0.625株=100円 |
4/30 | 200 | - | 0.5株購入 | 200円×0.5株=100円 |
5/31 | 250 | - | 0.4株購入 | 250円×0.4株=100円 |
エコノミーは5/31の時点で、時価250円*5=1,250円の株を所持しています。
ヒューマンは5/31の時点で、時価250円*3.325=831.25円の株を所持しています。
5. 株価が下降圏にある場合
年月 | 株価 | エコノミー | ヒューマン |
1/31 | 250 | 2株購入 | 0.4株購入 |
2/28 | 200 | - | 0.5株購入 |
3/31 | 160 | - | 0.625株購入 |
4/30 | 125 | - | 0.8株購入 |
5/31 | 100 | - | 1株購入 |
エコノミーは5/31の時点で、時価100円*2=200円の株を所持しています。
ヒューマンは5/31の時点で、時価100円*3.325=332.5円の株を所持しています。
いかがでしょうか。一般に株価が一定の範囲で上下するボックス圏にあると、ドルコスト平均法が有利と言われますが、その上下動の上値の時期に買うのか(B)、下値の時期に買うのか(C)で結果は正反対になります。しかも実際の株価の上下動周期は一定である可能性はありません。また周期の途中でいきなり上昇へ向かったり、下降へ向かったりする可能性だってあるのです。
一括投資とドルコスト平均法は、どちらが有利ということはありません。
ではなぜ、エコノミーは経済的合理性のみで行動する、エコノミーに経済的合理性がある、というのならば、なぜ私は「“ドルコスト平均法”で始めてね」というのでしょうか。
それは、過去の株価の動きから今の結果を見るのではなく、今から未来を展望した時の経済的合理性である、期待値の国の話なのです。
期待値の話をする前に、次回は株価の動きをもう少しみていきましょう。