かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

13リスクと分散

みなさんリスクと聞いて何を想像しますか。
外へ出ていくと交通事故にあうリスクがある。
飛行機に乗ると墜落事故にあうリスクがある。
リスクというと、避けたい危険、という意味ですね。
株投資でのリスクというと、口座を開いていた証券会社がつぶれたとか営業停止命令を受けたとか、金融不祥事、不況による業績悪化とか、周辺環境によるリスクばかり思いつきますが、ずばり、
元本割れリスク:株価が取得価額を下回ること。
これでしょう。
これ以外だと、株式発行会社が破産して清算から消滅に至ったとかですね。不祥事、粉飾決算上場廃止による流動性喪失などです。このうち、消滅以外は元本割れリスクに含めてもいいでしょう。
投資信託にはもう一つ、償還リスクというやつがあります。「受益権の口数が10億口を下回った場合には」繰上償還します、などと交付目論見書に書いてあります。運用しているお金が少なくなったら強制終了しますというやつです。

さてここまでは一般的な用語としての株にまつわるリスクを説明してきました。
ところが困ったことに投資業界で「リスク」というとそれは価格変動リスク、いうなれば、上下に振れて不安定不確実であることを言うのです。
なぜ困るかというと、「下」振れだけでなく、「上」振れもリスクというのですね。予想外に株価が上昇するみたいな場面でもリスクという言葉を使うのです。
価格が変動する、その変動自体はボラティリティというのですが、なんだかごっちゃになってきているというか。
正確には、ボラティリティが大きい(変動幅が大きい)ほど、リスク(損する危険)が大きい、と言えばよいですね。現象と評価に分けるとそうなります。
正直、ボラティリティが大きいからリスクが大きいといえるのかどうか疑問ではありますが、ボラティリティ以外、定量的にリスクを測定する方法がない、というのが本当のところではないでしょうか。

株で一番恐ろしいのは、破産清算で株が消滅することです。他の原因で元本割れしても復活する可能性がありますが、清算されてしまったら敗者復活はありませんから。

では、個々の株に投資する場合、株価低落リスク、倒産清算リスクはどのようにして回避すればよいのでしょうか。
バブル崩壊で同じように株価が暴落したのち、比較的早く力強く株価が回復した会社、低迷したままの会社、倒産して消滅した会社、と違いがあります。
しかし、どの会社の株価が力強く回復するのか、倒産するのか、事前に知ることはできません。

今回新たに出てきた以上2つの問題に、万全とはいえないまでも、少しは対策できる方法があります。
1つ目の、株式大暴落を受け入れざるを得ない問題に対処する方法 安全資産(=無リスク資産)と株(=リスク資産)に資金を分散すること。
2つ目の、個々の株式会社が倒産したり株価低迷したりすることに対処する方法 分散投資をすること。例えば、株以外の債券などにも投資する、株の銘柄数を増やす、株式投資信託を購入するなど。

1つ目から詳しく説明します。
安全資産とは、元本割れする可能性が極めて低く、現金化も容易な資産をいいます。銀行の円建ての普通・定期・当座預金で各行残高1000万円まで、個人向け10年国債、証券会社のMRF。これらは生活防衛資金の置き場でもあります。
円建ての預金は預金保険制度の対象となり、銀行が倒産しても各行1千万円までは補償されます。ですから預金残高が1千万円を超えたら、その部分を他の銀行に預金を移しておいた方が無難です。ちなみに外貨建て預金は預金保険制度の対象外ですから気をつけましょう。(参照 外貨預金はお勧めしません - かけこみリタイヤ―のダイヤリー
国が発行する国債が償還不能になることも日本の場合ほぼありません。
証券会社のMRFは別途信託管理されているので上限なく保護されます。
投資残高が生活防衛資金額を越え始めたら、そこからは、投資額=安全資産(生活防衛資金含む)になるように、投資への資金投入と、安全資産への資金投入をすることをお薦めします。イメージとしてはこんな感じ。f:id:otosak:20210417214602p:plain
こうすると、株価が暴落して投資資産の時価評価額が大幅に減少した時に心理的な備えになります。投資を初めて暫くは、株価が暴落して投資資産の評価額が目減りすると、売却して撤退したくなります。「ずっと売らずに持ち続ける」のが大事、とここで重ねて申し上げますが、評価額の上下に慣れない当初はかなり不安になります。
少し我慢できても、毎日下落が続くと、底なしの奈落に吸い込まれるような気がして、つい「売る」ボタンをおしてしまいそうになりますがここは我慢してください。
生活防衛資金以外をすべて投資に充てていると、投資額が目減りして後がない気持ちになってきます。その不安で砂に吸い込まれそうな気持ちをなだめ、踏みとどまるように力づけてくれるのが安全資産の積み増し部分です。
投資資産がゼロになるような悪い予感を覚えても、なに、まだ安全資産があります。しかも生活防衛資金はそれとは別にあるじゃないですか。

2つ目はリスク資産の分散ですね。
さて実際に、投資する株の銘柄数を増やすことは、株の売買単位が数万円~数百万円と多岐に渡るため、少額で売買できる株だけに投資対象を絞るのは本末転倒だし、じゃあ株主の権利を不完全にしか行使できない端株とか証券会社によって品揃えしている1000円から買える株などに投資する形で対策を取るべきでしょうか。
そもそも、何銘柄位買えば分散しているといえるのか、業種分散は必要なのか、途中で会社の状態が変わって見切りをつけた方がよいのか、継続して見ていないといけませんね。
とても考えることが多いし、継続的に投資先の株の状態を監視していないといけません。

そこで、株式投資信託です。以下「投資信託」と省略します。
運用会社が企画し、投資家からお金を集め、沢山の種類の株や債券を購入して配当や利子を受け取ります。運用会社は信託報酬を受け取り、販売会社なども報酬を受け取る場合がありますが、その残りは信託財産(ファンドといいます)に積み増しされ投資者の持ち分になるというものです。
運用会社が、目論見書に記載した原則に従って、沢山の種類の株や債券を買って運用し、そのかわり信託報酬と呼ばれる報酬を毎年に貰う、というところがポイントです。
投資家としては、基本方針を維持するための売り買いはすべて運用会社がやってくれますし、沢山の種類の株や債券の一部が倒産や清算株価低迷しても、それは運用財産の一部であるし、何より沢山の投資家がそこへお金を投入していますから、各投資家からすれば、その損失負担割合はさらに少ないものになります。
以前は毎年信託財産から費用として引き去られる信託報酬率が高い物ばかりで、それがネックになっていました。しかし最近では、信託報酬が極めて低廉な投資信託が多数登場してきました。
そこで、個別株ではなく、信託報酬が十分安い投資信託から投資に入ることをお薦めします。