今回はモーニングスターのこの有名な図を使ってリバランスの過去シミュレーションをします。使うデータは、先進国株式、国内株式、先進国債券、国内債券とします。
年 | 先進国株式 | 先進国債券 | 国内株式 | 国内債券 |
2007 | 11.3% | 0.3% | -12.2% | 1.0% |
2008 | -41.6% | 5.3% | -41.8% | 2.1% |
2009 | 34.0% | -2.2% | 5.6% | -0.6% |
2010 | 12.0% | 0.5% | -1.0% | 0.9% |
2011 | -4.0% | 2.7% | -18.9% | 0.8% |
2012 | 17.4% | 2.4% | 18.0% | 0.6% |
2013 | 27.4% | -2.4% | 51.5% | 1.0% |
2014 | 6.4% | 6.2% | 8.1% | 3.4% |
2015 | -1.2% | -1.1% | 9.9% | 0.1% |
2016 | 8.7% | 1.0% | -1.9% | 2.2% |
まず2007年年初に25ずつ投資します。そしてリバランスをしません。そうすると先進国株式の場合、25×(1+0.113)=27.8 になり、その翌年は27.8×(1-0.416)=16.2となります。これを2016年まで繰り返します。他の3種類の資産も同様に計算します。
年 | 先進国株式 | 先進国債券 | 国内株式 | 国内債券 |
2007 | 27.8 | 25.1 | 22.0 | 25.3 |
2008 | 16.2 | 26.4 | 12.8 | 25.8 |
2009 | 21.8 | 25.8 | 13.5 | 25.6 |
2010 | 24.4 | 26.0 | 13.4 | 25.9 |
2011 | 23.4 | 26.7 | 10.8 | 26.1 |
2012 | 27.5 | 27.3 | 12.8 | 26.2 |
2013 | 35.0 | 26.6 | 19.4 | 26.5 |
2014 | 37.3 | 28.3 | 20.9 | 27.4 |
2015 | 36.8 | 28.0 | 23.0 | 27.4 |
2016 | 40.0 | 28.3 | 22.6 | 28.0 |
2016年年末現在で40.0+28.3+22.6+28.0-25*4=18.9の含み益が生まれています。
次に毎年リバランスした場合を示します。
年 | 先進国株式 | 先進国債券 | 国内株式 | 国内債券 |
2007 | 27.8 | 25.1 | 22.0 | 25.3 |
2008 | 14.6 | 26.4 | 14.6 | 25.6 |
2009 | 27.2 | 19.8 | 21.4 | 20.1 |
2010 | 24.8 | 22.2 | 21.9 | 22.3 |
2011 | 21.9 | 23.4 | 18.5 | 23.0 |
2012 | 25.5 | 22.2 | 25.6 | 21.8 |
2013 | 30.3 | 23.2 | 36.1 | 24.0 |
2014 | 30.2 | 30.2 | 30.7 | 29.4 |
2015 | 29.8 | 29.8 | 33.1 | 30.2 |
2016 | 33.4 | 31.0 | 30.1 | 31.4 |
まず2007年年初に25ずつ投資します。2007年年末には、
先進国株式 25*(1+0.113)=27.8
先進国債券 25*(1+0.003)=25.1
国内株式 25*(1-0.122)=22.0
国内債券 25*(1+0.01)=25.3
これを一旦すべて足して4で割ります。リバランスです。
譲渡した時の所得税は考慮していません。そしてそれに2008年の騰落率を掛けます。
先進国株式は (27.8+25.1+22.0+25.3)÷4*(1-0.416)=14.6 となります。
つまり年末に騰落率によってでこぼこになった金額を均してから、翌年の騰落率をかけていきます。
2016年年末現在で、33.4+31.0+30.1+31.4-25*4=25.9 の含み益が生まれています。
なぜリバランスの結果がこんなに良いか、考えてみた所、
・2007年から2016年の騰落率の幾何平均が
先進国株式 | 先進国債券 | 国内株式 | 国内債券 |
1.048 | 1.012 | 0.990 | 1.011 |
国内株式を除き、1を超えていること、つまりこの期間では増加であったこと。唯一1を下回った国内株式も0.990で1%の目減りで済んでいること。
それにもかかわらず、期間中の先進国株式と国内株式の騰落率はかなり変動が大きいため、マイナスの年末にリバランスで資金を確保し、次の大きなプラス騰落率の年にウェイトが大きく、トータルの含み益が大きくなったことが理由です。
この期間のように、資産クラス別の騰落率順位がしょっちゅう入れ替わる状態では、リバランスありが顕著に良い成績を収めるといえるでしょう。
しかし投資は2016年で終わるわけではありませんね。その後も変動が待っているわけです。では2007年で投資が終わったとしたら、
リバランスありで、 27.8+25.1+22.0+25.3-25*4=0.2の含み益
2008年で投資が終わったとしたら、
リバランスありで、 14.6+26.4+14.6+25.6-25*4=-18.8の含み損
ということになります。
つまり2007年から2016年までそれぞれの年末時点での含み損益を、リバランスありとリバランスなしで出して、グラフにしたものが次の図です。
これを見て分かる通り、リバランスありでは、リバランスなしに比べて、マイナスの年の落ち込みが少なく、プラスの年の含み益が大きいという結果になりました。
2007年から2016年という期間では、騰落率の動きが異なる資産クラス間でリバランスを行うと、行わない場合に比べて有利に働くことがわかりました。
ただし、期間中ずっと上昇トレンドだとすると、上昇に乗っていない資産クラスに手厚くシフトすることになり上昇が遅れる、逆に期間中ずっと下降トレンドだとすると、下降する資産クラスに手厚くシフトすることになり下降が酷くなる、という場合もあり得ます。
価額低下した資産クラスに、より資金を投入するという点からすると、ドルコスト平均法を一年間ごとに補完をしている印象です。
わたくしは、いまのところ、株式クラスと安全資産の2区分なので、リスク資産への資金投入額コントロールはしていますが、資産クラスのリバランスは考えたことがなかったです。もう一つのリバランスである、安全資産とリスク資産間のリバランスについては、現在のところ資産全体でのコントロールを考え始めて日が浅く、株式クラスの暴落時に投入資金を増加した経験しかなく、株式クラスを売却して安全資産を増やした経験がありません。
これはいずれ考察しなければならない課題だと思っています。