かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

ファンド・オブ・ファンズ

投資信託は、集めたお金を、株や債券に投資します。ところが、別の投資信託に投資する投資信託もあります。
複数の投資信託に投資する投資信託をファンド・オブ・ファンズといいます。
最近、別の投資信託一つだけに投資する目的の投資信託も出てきていますね。
普通の投資信託から見ていきましょう。
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お馴染みのやつですね。わたしたちが購入するのは<ベビーファンド>にあたる部分で、ベビーファンドは株や債券に直接投資しません。<マザーファンド>に投資します。そして<マザーファンド>が株や債券を買い付けます。このような形態をファミリーファンド形式と呼びます。
なぜ二段階構えにするのかというと、<ベビーファンド>は、”オープン型”といっていつでも投資家が参加したり脱退したりできる形で運用すると、<ベビーファンド>の資産額が常に増減します。そのためファンドも現金を持っていないと、都度株や債券を売却したり購入したり、手続きが煩雑であるだけではなく、売買の委託手数料や有価証券取引税も余計に負担しなければなりません。「一度に巨額の資金が出入りすると一時的に投資効率が悪化するからやめてほしい」というのはインデックス投資家の本音。
したがって、投資家の購入売却の対象である<ベビーファンド>は直接株や債券に投資せず、その資金をマザーファンドに投じて、<マザーファンド>の受益証券だけを持つようにします。マザーファンドは、買付対象の市場別に組成しておき、上の図にあるように、先進国の株式等だけを売り買いするマザーファンド、新興国の株式等だけを売り買いするマザーファンドというくくりにします。そして例えば、別のベビーファンドである、先進国株式○○ファンドとか、日本も含めた全世界株式○○ファンドなどのベビーファンドも、買い付ける株式等別に、マザーファンドに相乗りする形にします。そうすることで、コストを抑えつつ、多品目のベビーファンドを展開することが可能になってきます。
今回の主題であるファンド・オブ・ファンズもファミリーファンド形式を取っています。例を見てみましょう。
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投資家が売り買いするのはベビーファンド。その上に実際に株式等を売買するマザーファンドがありますが、先ほどと異なるのは、投資先がETF、上場している投資信託証券だということですね。
一番最初の定義で、ファンド・オブ・ファンズは「複数の投資信託に投資する投資信託」と申し上げました。この場合は“複数”じゃなくて単数ですが、買付するのが株式等ではなく別の投資信託であることから、ファンド・オブ・ファンズと言えます。
もう一つ見ておきましょう。
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今度は2つのETF(上場投資信託証券)を買付する投資信託ですね。
ファンド・オブ・ファンズの長所短所を私なりに整理すると次の通りです。
投資信託は信託報酬などの経費がかかる商品ゆえ、投資信託が二段構えになると経費も二重に係ってくる。
・個別銘柄の株式や債券を売り買いしないで、市場に流通している1種類か2種類のETF(上場投資信託証券)を売り買いするだけなので、手間がかからずラク、ゆえにここでのベビーファンドやマザーファンドの経費が少なくてすむ。
・上の2つの例のように、米国のETFであれば個人投資家が直接購入の手数料や維持費を払わずに購入できる環境は整っている。そうすると、外貨取引の為替手数料を支払う必要があること、ETFの購入単価に縛られ「100円から」などの金額投資が出来ないこと、つみたてNISAが使えないこと、米国と日本と源泉所得税が二重にかかるので、二重解消のためには外貨を円に換算して確定申告をしなければならない。
・資金量の大きなファンド・オブ・ファンズが外国株を売買するのであれば、売買委託手数料も規模の経済で安く済む。また2020年1月1日以後支払われる分配金は、日本の源泉所得税計算上、すべてその段階で外国税額控除されるようになり、確定申告が不要となった。
・外国税額控除は分配金支払い時になされるため、その期に分配金の支払いがなければ、外国税額控除の機会は失われ、経費として純資産総額から引かれるだけで終了する。
・投資先は、まったく別の法人が運用するETFなので、最終的な信用度は外部まかせである。しかもETF上場廃止で強制解約の可能性のほか、分割併合などのコーポレートアクションに見舞われることもあり、その場合購入した証券会社の特定口座がコーポレートアクションに対応できず、一般口座に強制払い出しになると、分配金が少額の配当所得でないかぎり確定申告が必須となってしまう。分配がなければ当面の心配はないが、売却による譲渡益は確定申告必須となる。その年トータルの所得次第ですが。
いいところ、わるいところ、色々ありますね。
ファンド・オブ・ファンズは信託報酬が二重にかかるから損という声がありますが、ベビー、マザー、投資先を通じた全体で経費をみても、それ以外の投資信託と遜色なく低廉なものもあります。一方的に遠ざけてしまうにはおしい商品だと、わたしは思います。
確定申告しなくても税額控除してくれるというのは魅力ですが、あくまで「分配対象となる期間中に支払った外国税額」だけですから、これまた一方的に得だ、とも言えません。毎期分配すればフルに外国税額控除できますが、そうすると複利効果がなくなってしまいます。
私の提案としては、少なくとも年一回分配金を出すようにして、外国税額控除を最大限行ってほしいです。そうすると、ファンド・オブ・ファンズのETFもありかな~と思います。その期に稼いだ付加価値をすべて分配してしまう。一般事業会社の株式だったら、例え外国のとはいえ、有価証券を保有しているだけの事業で、収入は配当とキャピタルゲインだけって会社だったら、なんじゃそりゃ、ですが、上場株式のふりをしていますが、ETFはあくまで投資信託ですから。投信業界のかたがた、ご検討よろしくお願いいたします。

次回はファンド・オブ・ファンズを含め、低コストインデックスファンドの実際の経費について比較をしてみたいと思います。