かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

市中金利の決まり方

リバランスに重要な役割を果たすべき債券が、どうも買ってもしょうがない状態にあるようだ、という雰囲気を感じ取って投資資産としての債券系には一切手だししていないわたくしですが、もうちょっと根拠というか思考の経路というものがあってしかるべきだろうと思って、あちこちかじってまとめてみました。
そんなわけで今回は、さらに、無責任かつ的外れである可能性が高いことをお含みおきください。
短期金利長期金利
まず債券は表面利率という額面に対するパーセントで表示される金利、というものが半年に一回とか定期的に支払われます。では、この金利というのはどうやって決定されるのでしょうか。それは市中金利の影響を受けて決められて発行されます。
市中金利というのは、金融機関同士で、さまざまな貸し借りの道具を使ってやりとりされる金利で、一番短いのが無担保コール翌日物です。これが短期金利の代表選手。
短期金利長期金利を区分する明確な返済期間はありませんが、例えば個人向け10年利付国債は長期、20年30年は超長期と呼ばれます。
市中金利短期金利
さて無担保コール翌日物は、金融機関が資金の貸し借りを行う場ですが、ここに日銀が一枚かんできます。利付国債の買い入れや資金貸付の資金供給、手形の発行や買い戻し条件付き国債売却で資金吸収、これらを公開市場操作と呼びますが、それで資金供給量を調節して金利を誘導していました。
しかし無担保コール翌日物金利がほぼ0若しくは実質マイナス(短資会社への仲介料を払うとマイナス)になってくると金利の政策誘導ができないので、補完当座預金制度を改正して、金融機関が日銀に有する当座預金残高を、金利がつくもの、ゼロ金利のもの、政策金利残高にマイナス0.1%の金利を付すものの三段階に区分しました。
そして資金量を予測して、業態別の政策金利残高をこまめに調節します。そうすると金融機関はマイナスであっても政策金利を上回る金利であれば貸出す気になります。マイナスが減らせるから。それでコールレートがマイナスでも市場取引が成り立つようになり、政策金利残高を増やすと少しでも残高を減らして貸し出そうとする動きとなり、マイナス金利のさらなる下落に歯止めがかかります。
日銀はこれとは別に、長期国債、CP、社債ETFJ−REITなどの買入れを通じて、マネタリーベースの調節も行います。債券市場の流動性が低下しているもと、さらなる国債発行残高増加を見据え、金融緩和を継続し、長期金利について、「10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う。」という操作方針を決定しています。
長期金利
10年物国債金利をゼロ%に誘導するとはどういうことでしょうか。
実は長期金利は、短期金利の期待値の合計と言われています。
その期待値は①インフレ予想、②リスクプレミアムからなっています。
100円の債券が一年後1%分1円の利息が貰えるとします。インフレ予想の元では、一年後は101円の債券で2%分2円貰えないといやだと思うわけです。
そうすると100円の債券で二年満期ものは、3%3円利息が貰えないと誰も買いません。なんなら1年間1%の債券を買って満期を待ってまた行動すればよいからです。
さらに、今年はともかく来年金利がどうなっているかわからないから、二年物には投資しない、一年物で様子をみよう、という考えも出てきます。そうすると長い間資金拘束されるんならそれなりの金利を貰わなくちゃね、と考えます。それで一般に長期金利短期金利より高めになると言われています。
実は長期金利の期待値なんて誰もよくわからないわけです。ですから短期金利の延長線上に長期金利が決まってくると考えておきます。ただしこれはあくまで表面利率、つまり債券であれば額面価格の何%か、貸借契約であれば年利何%かという決めの話です。
*債券価格の変化
今額面1000円表面利率1%のA債券が流通しているとします。そこへ額面1000円表面利率1.2%のB債券が新規発行され市場で売買され始めました。すると表面利率1%の債券を1000円で買う人はいなくなります。A債券の所有者は833円まで値を下げればB債券と価値が同じになって買い手が見つかります。表面利率10円/時価833円=1.2%となりますから。
では市中金利が下がってきてB債券の表面利率が0.9%で新規発行されたらA証券の価格はどうなるでしょうか。同じ額面を出すなら0.9%より1%の表面利率の方が実入りがいいですよね。A証券は買付が殺到し、1,111円まで値上がりします。表面利率10円/時価1,111円=0.9%の実質金利がB証券(=市中金利)と一致するまで。
かくして、既発債は金利が上がれば価格が下がり、金利が下がれば価格が上がる。
以上述べた通りの理由により、市中金利がゼロ又はマイナスに張り付いている限り、将来金利が少しでも上がれば、債券価格は暴落すると予想され、買ってもしょうがない説につながるのでした。
*債券クラスは敬遠なのか
ここまであちこち資料をつまみ食いして、書き進めてきましたが、なんだか金利って難しい。債券自体はインフレには弱いけど、デフレには強いし、発行体の信用次第ではありますが、確実に決まった額の金利が支払われ、満期で額面償還される。個別の債券で考えると、一年又は二年満期の社債で、定期預金の利率よりも発行体のリスクプレミアムとして適正な金利が載っていれば、途中の価格変動があっても満期で額面償還されるし、表面利率分は変動がなく現金が支払われる。しかし短期債券って、個人が買えるようなものはあるのでしょうか。
また、定期預金と株式の間のリスクプレミアムを埋める存在、株式とは違う値動きをするリスクヘッジとしての存在としては、金利がプラスになったとたん価格暴落という恐怖感を上回るほどの存在意義が感じられませんね。私の中では、ネット銀行の預金でスルー、又はもっとリスクをとって株式という飛び越えになっています。
私が、債券クラスとして考えているのは、個別の債券ではなく、債券の投資信託なので、その点ももう少し観察してみようと思います。