かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

チャールズ・エリス「敗者のゲーム」再読

原著第6版の和訳を再読しました。第5章あたりから理解ができない部分が増えてきます。眠くなったところで第15章個人投資家にとっての課題で目が覚めます。そこからは終章までは一気に読めますよ。結構煽っているというか、過激であろうとも言いにくいことをはっきりいうタイプです。注意して読まないと、前後で矛盾しているように感じる部分もありますね。気になるところをいくつかピックアップします。

P62投資先を国内に限定するということは、自国が他国よりも有利というアクティブな判断の結果なのだ。米国のように巨大な経済圏であり、かつ、そこで将来支払うべき負債が多い場合、米国に集中投資することも説明できるだろう。

→自国のみ投資がアクティブな結果、という煽りでうわっと。国際分散を強く勧めてきますね。

P66インデックス・ファンド同様、ETFも賢明な投資家のための低コスト長期分散投資のツールとして利用されている。投資とは優れたプロセスのことであり、投資に何か問題があるとすれば、それはプロセスの問題だ。その意味で、個別の国など特定投資対象に特化したETFは問題であり、よほどのプロでもない限り、投資を考えるべきではない。

→国際分散ETF以外を切って捨てています。他の箇所で、市場整備が不十分な新興国市場ではプロが出し抜いて超過収益を得る可能性があると言っています。

P104 特に加熱相場の時から始めない限り、十分に長い時間をかけて投資を行う場合、株式の見かけ上のリスクは低下し、時と共に株式の長期平均リターンに近づいていくものだ。
もし、相場が低いかどうか自信を持てないなら、「ドル・コスト平均法」という、一定金額を一定期間をおいて投資する手法をとればよい。

→今がバブルかどうか誰もわからないじゃないですか。とすると一括投資全否定かしらね。私が1985年に買った王子ホールディングスが典型例ですか。36年経っても時価が取得価額まで戻っていないから。そういえばダウはインフレ調整後の数値で1929年の暴落から回復したのは65年後とか他のところ(P169)で言っています。こりゃ一括投資は長期的視野では完全だめという論理的帰結を迎えてしまいますよ。

P119多くの投資家が、長期運用に専念するために、日常の支出をまかなう資金を手元に常時確保しておくことは妥当だが、「ポートフォリオの中の」キャッシュ比率はミニマム、できればゼロでよい。

→当たり前ともいえるし、えーっそれでいいのかーとも言えますね。

P152元本、利息が安全だとか、リスクが少ないという理由だけで、債券に投資してはいけない。債券価格も株式とほとんど同様に変動するし、さらに債券は、長期運用にとって真のリスクであるインフレに弱い。

→出た、債券投資全否定。P174当たりでもめちゃくちゃディスってます。

P166あなたと家族にとって、より効率的な意思決定は、おそらく100%株式に向けることだろう。というのは、あなたの投資対象期間はあなたの人生よりもはるかに長いからだ。
運用はそれ自身の理由に基づいてなされるべきであり、歳をとったからという理由で、運用方針を変えるのはおかしい。

→とどめ。アダム・スミス「あなたの株は、あなたに持たれていることを知らない」まで持ってきちゃって。他の本では、「年齢が上がるにしたがって、債券などの値動きの少ない資産へ比率をシフトしていきましょう」と言っている箇所です。エリスさんによれば「インフレで実質価値が毀損してもいいのかっ」て感じ。「あんたの人生で投資は終わるんじゃない」と言い切っています。これはなかなか新しい視点です。

というわけで非常に刺激的な本です。正直よくわからないところ、特にプロの運用に関する話はよくわりませんが、個人投資家の話からは一気に引き込まれますね。ピックアップした以外にもいろいろな話題があって密度の濃い本です。わたくしも、またしばらく時間をおいて読むと新しい発見があるでしょう。

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