かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

運用会社による株式の貸付は投資家の利益を削ってないか

ETFの請求目論見書から抜粋しました。

(5)【投資制限】 <信託約款に定められた投資制限>
⑪有価証券の貸付 a.委託会社は、信託財産の効率的な運用に資するため、信託財産に属する株式および公社債を次の範囲内で貸し付けることの指図をすることができます。
1.株式の貸付は、貸付時点において、貸付株式の時価合計額が、信託財産で保有する株式の時価合計額を超えないものとします。
2.公社債の貸付は、貸付時点において、貸付公社債の額面金額の合計額が、信託財産で保有する公社債の額面金額の合計額を超えないものとします。
b.a.に規定する限度額を超えることとなった場合には、委託会社は速やかに、その超える額に相当する契約の一部の解約を指図するものとします。
c.委託会社は、有価証券の貸付にあたって必要と認めたときは、担保の受入れの指図を行うものとします。

委託会社とは運用会社のことです。「信託財産の効率的な運用に資するため」に「株式の貸付」を行うことができます。

(3)【信託報酬等】 ・信託報酬の総額は、以下により計算される①と②の合計額とし、日々ファンドの基準価額に反映されます。
①ファンドの計算期間を通じて毎日、信託財産の純資産総額に年 0.0858%(税抜 年 0.078%)以内の 率を乗じて得た額
②信託約款に規定する有価証券の貸付の指図を行った場合は、ファンドの品貸料およびマザーファンドの品貸料のうちファンドに属するとみなした額の55%(税抜 50%)以内の額

信託報酬等として、有価証券の貸付による対価を得た場合、その55%を運用会社の取り分とすることができます。純資産総額に割合を掛けて算出する額とは別枠で。

とすると、「信託財産の効率的な運用に資するため」と制約がついていますが、信託報酬が別枠で55%貰えるのであれば、運用会社は積極的に株式を貸し付けて品貸料収入を得ようとします。
貸株が配当権利落ち日をまたいだ場合、貸している側に入るのは税引き配当身代わり金であって、配当そのものではありません。とすると配当金に外国で源泉税が課されていた場合、収入が配当身代わり金であると、外国税額控除は使えないことになります。
今回見ているETFの、請求目論見書に添付されている、最新年度のベビーファンドの決算書を見る限り、貸株収入は計上されていませんが、マザーファンドは貸借対照表のみで損益計算書がついていないため、株式の貸し付けをしているかどうか不明です。
貸株による収入に目がくらんで、配当金ではなく配当身代わり金を受け取ることになって、外国税額控除が適用できないような事態を避けるために、どのような方針やシステム上の手当てがなされているのか、「信託財産の効率的な運用に資する」ための制限がどのように設けられているのか、一度お伺いしてみたいです。
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otosak.hatenablog.com