かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

遺品整理中に、遺言書が見つかったら

昨年2020年の私の実例を紹介します。

残っていた書類の山、大方は介護・医療関係だったのですが、整理している中から亡き父親の遺言書が2通出てきました。
遺産分割協議はとっくに終わっているし、うわーめんどくさ、という気持ちしかありません。
いっそのこと、こっそり捨ててしまおうか、もう一人の相続人である姉と相談して、開封して内容を見てから処分方法を決めようか、迷いました。

一番に考えたのは、「変なこと書いてあったらどうしよう」ということです。ネットの記事でも

・全然知らない、愛人?へ〇〇万円あげると書いてあった とか
・全部宗教法人〇〇へ寄付すると書いてあった とか

ワイドショー並みの月並み、陳腐、悲観的な予想しか思い浮かびません。

幸い、父は不動産を持っておらず、現金や預金も、生前の飲酒と競馬の電話投票で相当量溶かし終わっており、大した金額でなかったことを思い出し、少しだけ気持ちを立て直しました。
大体、父はそんなことをして、死んでまでかわいい子供達に迷惑をかけるようなことをするような人物ではない。と思ってもう少しだけ気持ちを立て直しました。
愛人云々はまだちょっとだけ疑っていますけど。

そして民法をもう一度見直します。

(遺言書の検認) 第1004条
遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
(過料)第1005条
前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。

やっぱり勝手な開封はやめよう。

(相続人の欠格事由)第891条
次に掲げる者は、相続人となることができない。
一~四 略
五  相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

相続欠格になるのもいやだし。

ということで家庭裁判所のホームページを探して検認をお願いすることにしました。
公正証書による遺言(公正証書遺言と秘密証書遺言)と、自筆証書遺言で法務局に保管されているものは検認の必要がありません。

私の父の場合、おそらく自筆で書かれたであろう遺言を押印、封書に入れて封緘してあるものなので、検認が必要です。

(手続きに必要なもの)
*申立書 https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file2/2019_betsu1shinpan_m.pdf
*当事者目録 https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file2/2019_keizoku_697kb.pdf
*戸籍等の謄本(戸籍等の全部事項証明書)
【必須】
1. 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
2. 相続人全員の戸籍謄本
3. 遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
【相続人が遺言者の(配偶者と)父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合】
4. 遺言者の直系尊属(相続人と同じ代及び下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合,父母と祖父))で死亡している方がいらっしゃる場合,その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
【相続人が不存在の場合,遺言者の配偶者のみの場合,又は遺言者の(配偶者と)兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合】
4. 遺言者の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
5. 遺言者の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
6. 遺言者の兄弟姉妹で死亡している方がいらっしゃる場合,その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
7. 代襲者としてのおいめいで死亡している方がいらっしゃる場合,そのおい又はめいの死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

ごちゃごちゃ書いてありますが、死亡している遺言者については、その出生から死亡までのすべての戸籍で相続人関係がわかるようにすること、相続人中に死亡している者がいる場合は相続順位と代襲相続関係がわかるようにすること、が肝です。
除籍謄本、改製原戸籍謄本*1は、私の父の場合のように、複数の戸籍を辿っていって取得に時間がかかる場合がありますから注意してください。
otosak.hatenablog.com

今回、父の謄本は、相続手続きで取得してあったものを使いました。相続人である、私と姉の戸籍謄本は”3か月以内に発行されたもの”が必要なので取り直しました。

※除籍謄本、改製原戸籍謄本は履歴が固定されているので、通常の戸籍のように発行後3か月間という制限はないようです。ダメ元で送ってみたら何も言われませんでしたから。検認終了時に返却してもらいたい場合は、原本と複写したものを同封し、原本に”検認後返却”と付箋を貼っておきましょう。

*遺言書(封書の場合は封書)1通につき収入印紙800円分
*連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください。なお,各裁判所のウェブサイトの「裁判手続を利用する方へ」中に掲載されている場合もあります。)

これは「遺言書検認 郵便切手」でググってください。裁判所ホームページから辿って探すのは大変です。https://www.courts.go.jp/tokyo-f/vc-files/tokyo-f/file/A02.pdf

東京家庭裁判所の例>
連絡用の郵便切手・・82 円×(申立人+(相続人数×2))枚,
10 円×(申立人+相続人数)枚
※「申立人兼相続人」は,申立人として算出してください。
※「相続人数」には,受遺者も含みます。

受遺者って。そりゃもしかしたら封緘してある遺言書の中に赤の他人である受遺者の名前が出てくる可能性だってありますが、勝手に開封できない以上、わかりません。法定相続人だけで申立てするケースがほとんどだと思います。

私の場合、相続人は私と姉の2名ですので、私は申立人カウント、姉のみ相続人カウントで
82円×(1+(1×2))+10円×(1+1)という計算になります。

裁判所から検認期日の通知を出すためのものですが、封書重量が重くなった場合に備えて10円余分に徴求されます。余れば検認日に返してくれます。
検認期日の通知は法定相続人全員に通知されますから、びっくりさせないように、検認手続きをしていること、期日のお知らせがくること、必ずしも立ち会う必要はないことを事前に伝えておきましょう。

私の例では、申立人である私が単独で検認を行う旨、姉と合意が出来ています。

郵送で提出すると、一週間程度で家庭裁判所担当書記官から電話がかかってきます。
折り返し電話がしづらいと思いますので、スケジュール手帳を持ち歩いて、すぐに電話に出る用意をしておきましょう。

日程が決定すると「検認期日通知書」が送られてきます。指定日、指定時間に遅れないようにしましょう。
遺言書」「印鑑」「申立人の身分を証明するもの」「検認済証明書に貼る、遺言書一通当たり150円分の収入印紙
が必要です。

私の場合、遺言書が2通見つかったので、150円×2=300円分必要ですね。特に印鑑と身分証明書は持っているのに「遺言書を忘れた!」となると台無しなので特に注意しましょう。

次回は実際に検認を行った時のお話をご紹介します。

*1:“げんこせき”だと現戸籍と紛らわしいので、役所の方は“かいせいはらこせき”と呼んでいました。