かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

ロルフ・ドベリ「Think clearly」サンマーク出版

読むの大変かなと思ったのですが、人生が楽になる思考戦略が読み切りで沢山載っているので、中途から読んでもよく、とっつきやすい本です。

重要な事柄については、柔軟ではなく頑固に、というのが面白かった。バフェットさんは、会社の売り込みで話を一度しか聞かない。その原則を100%守る。売り込み側は、提示できる最高条件を最初から提示せざるを得ない。だって一度しか話を聞いてもらえないのですから。その場で買わないといわれたら、価格の再提示はもうできません。結果時間の節約になる。
状況に応じて柔軟に対応していると、「判断疲れ」が出てきて安易な選択イコール最悪な選択をしてしまう。だから最初に絶対守るべき「誓約」を決めておくとよい、という話。
頑固を貫けば評価が確立して、他人も余計なことを言ってこなくなる、という利点もあるそうです。投資や会社生活にも応用できますね。

ありのままの現実を受け入れよう。そして失敗の原因を突き止め、完全に取り除くことだ。
アレックス・ヘイリー「あなたが現実を飲み込まなければ、現実のほうがあなたを飲み込んでしまう。」とか、怖いですね。これは勝間和代さんもおっしゃっていました。

「反生産性。」車は便利だけど、手に入れるまでの労働時間、違反切符の罰金を払いに行く時間、罰金、税金、保険料、ガソリン代を稼ぐための労働時間を足して、走行距離で割ってみると、平均時速6キロメートル。歩行者と一緒ではないですか。これなんか節約生活ネタですよ。こうやって時間コストを算入すると、Eメール一通、封書の郵便代と一緒とか。登場時には素晴らしく便利に見えても、単なる時間と手間を食うだけだった。そうならないように必要ない物は排除しよう。これって断捨離ですね。

ファック・ユー・マネー。上司に「ファック・ユー」といって会社を飛び出せるだけのお金。でも作者は年収の一年分としています。生活防衛資金ですかね。

「破壊すること」を崇める現代の風潮は、私たちのキャリアや会社や人生までも、完全に破壊して、また新しく創りあげるようにとせきたてようとする。そうしなければ競争力を維持できないというのだ。ところが、人生は静かな方が生産性が高い。一つのことに長期的に取り組もう。

短期間に集中して得られる喜びを過大評価し、長期にわたって手に入れる静かで平穏な喜びを過小評価しがち。本当に充実した人生を送りたいか、それともアルバムだけを充実させたいか。将来の思い出作りを意識した行動をしてしまう。これは短期売買と長期投資かな。勝間和代さん流に言うと時間割引率が高すぎるってやつ。

経験を記憶の口座への入金作業にするのはやめよう。人生最後の日にはその口座はどのみち消えてしまうのだから。

誰かがあなたを間違って評価しても驚いてはいけない。あなただって、自分を正しく評価できていないのだ。

「加齢」と「死」は、私たちがよい人生を過ごせたことに対する代価だと思えばいい。

くよくよ思い悩むのは、本当の問題から気をそらすための、人間お得意の逃げ道でもある。抽象的な問題に逃げ込んで、現実の問題に向き合うのを避ける。
しかし慢性的な不安を抱えてしまうと、間違った決断をしやすくなるばかりか、病気になってしまうこともある。

多くの投資家たちは、株価の変動を、無分別にいろいろな価格をわめきちらす誰かの仕業としては受け止めない。実際に株の価値が上下しているから、価格も変動するのだと考える。そうして株の「価格」と「価値」を混同し、損失を出してしまうのだ。

くだらないものかどうか確信が持てない時は、それはくだらないものだと思って間違いない。

自分の心にひっかかった言説を箇条書きにしてみました。
後半になると、キリスト教の悪い点とか、思い切った意見も出てきますし、ちょっと日本の現状とは合わないかもな、という提言、結果的にほどほどにという所に落ち着く、矛盾した言説も出てきます。現実は複雑なので明快に割り切れる論理というのは、胡散臭いし、現実適応性がないのも作者が言う通りだと思います。
人間の脳の働き、癖、といったものを分解し、それぞれ対処法を記した人生訓集。あとがきで作者が語っていますが、この本て提示される52の思考の道具の出典は、心理学研究の成果、ストア学派の思想、チャーリー・マンガー*1ベンジャミン・グレアムなどバリュー投資家の思考、この3つです。

投資や貯金、節約、組織社会での振る舞いに沢山ヒントがいただける本です。

*1:ウォーレン・バフェットのビジネスパートナー