かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

趣味の合唱 演奏会終了しました

昨日までバタバタとした日々を過ごしていましたが、今日は気分ゆったりと起き、洗濯や布団干しもゆったりした気分で出来ました。
2021.9.18、昨日。所属合唱団の演奏会が一年9か月ぶりにあり、無事終了しました。
私の趣味は合唱です。高校一年生の時に素敵女子に「一度見に来ない?」ってさそわれてほいほいついて行ったのが事の始まり。爾来45年。十年前から歌曲やオペラアリアの独唱も加わりました。

所属している合唱団は現在三つ(爆)あるのですが、今回は、そのうちの一つ、プロのオーケストラ専属アマチュア合唱団の本番です。プログラム上は、プロのオーケストラの演奏会の一部演目に合唱団が出るというかたち。
この合唱団、アマチュアなのですが、まず入るのに入団オーディションがある。
次に本番ごとに出演オーディションがある。出演オーディションに合格しなければ、オーディション後の練習には参加できません。もちろん本番も。
そして本番に乗らなかった、又は乗れなかった回数が連続5回を数えると自動退団。

本番の舞台は基本暗譜、つまり手に何も持たない状態、楽譜なしで歌います。
コロナ禍のせいで、オーディションは初の録音提出方式。録画ではない、つまり何を見て歌っても構いませんよ、という条件でした。しかも録音提出日の16日前にyoutubeで指定個所が公開され、これを流して歌う形式。
当然録音提出時は楽譜をガン見してなるべく良い仕上げをして「オーディション通れ!」と思ってリテイクを繰り返しました。だから真面目に練習したのは指定個所ばかり。
でも本番は暗譜ですから、そのしわ寄せがオーディション合格後に来たわけです。

プロオケ専属合唱団ですから、出演演目はオーケストラ付きの合唱曲(=交響曲に合唱がついていると言った方が正確か)がほとんどです。
オケ付合唱曲の特徴といえば、とにかく長い。もちろんマーラー交響曲第2番“復活”のように管弦楽が延々と続いて最後にちょっとだけ合唱がつく、という曲もあるのですが、今回はオラトリオの本場、イギリスの作曲家の作品。オラトリオってキリスト教劇なのですが、物語の進行をほとんどが合唱で引き受ける形態、しかも長い。
渡された楽譜を見ると、途中バリトンソロやソプラノとバリトンの二重唱の箇所があるものの、ほとんど合唱でずっぱりの124ページ。

いつもだったら、本番オーディションで、試験範囲“全部”、でオーディション当日いきなり指定個所を歌えと言われる。つまりオーディション前に暗譜を完了しておかなければなりません。
それが録音提出、楽譜見てよし、指定個所事前公表になったものだから、人間の常として、オーディション前には暗譜なんか完了するどころか、全体をさらうことさえ十分できていない。私だけかもしれませんが。

そういうわけで、オーディション合格発表後、本番までに日数がないところ楽譜を真剣にさらい始めました。
私の暗譜の仕方は次の通り。
まず、ソルフェージュレベルはピアノを叩きながら、リズムがわからない所はゆっくり分解して譜読みをし、音程の移動がわからない所は何回もピアノや他パートとの和声関係で手がかりを決めながらさらっていきます。ここでいうソルフェージュとは、音楽の最低条件である、リズムと音程、音の長さを楽譜通り仕上げることと思ってください。

ひととおり楽譜を見ながら正確に歌えるようになったら、youtubeで該当曲の動画を探します。この時、なるべく楽器や合唱のリズムがしっかりしているもの、アンサンブルがしっかりしているもの、リズムの伸び縮みに奇をてらっていないものを探します。
動画を流しながら、楽譜を見て口パクで歌います。本当は実際に声を出して歌う方がよいのですが、居間で歌うとうるさいだろうし、今回のように一通りさらうのに一時間もかかる曲を何回も歌ったら消耗してしまう。
口パクは主として舌や唇の使い方で子音を叩きこむ目的もかねていますので、ガチです。声帯が消耗しないだけで口や舌は疲れます。頭の中で自パートの音を思い浮かべながら、オーケストラのどの楽器が自分と同じ旋律をなぞっているのか、どこから離れるのか、また三度音程や五度音程でハーモニーを作っているのか、探りながら声を出さずに歌います。
特に自パートの歌いだしのきっかけや、他パートとの絡み合いについて、どのパート(楽器も歌も)を聞いて歌うのか、自分なりに決めていきます。

動画に合わせて“エアーで”歌っていると、リズムや音程が怪しい箇所に気づきます。
その部分は、ピアノに向かって実際に歌って、怪しい部分を消しておきます。
経験上42回動画と一緒に通しで歌うと、ほぼ暗譜は完成しますが、今回は無理。
オーケストラとの合わせがある前々日までに十数回歌うので精一杯でした。

さて暗譜が怪しいかどうかについては、次の段階の練習で確認します。
楽譜を開いて目をつぶって、オーケストラや他声部のきっかけも頭の中で歌いながら、口を動かして頭の中で歌っていきます。この段階で、音程はほぼ頭に入っていますが、言葉は取り違えや歌いだしの言葉ですっと出てこないことが頻発します。また“フーガ“と言って、合唱の多数のパートが唐草模様のように絡み合ってそれぞれ別の旋律を歌うような箇所は、楽譜を思い出して歌っているようだと出遅れてしまいます。歌いだしたらすべて条件反射でフレーズの最後に到達できるようにしておかなければなりません。
また長く伸ばす音をどこまで伸ばすのか、いい加減になっています。
少しでも迷いがあったら、すぐ目を見開いて楽譜を確認して歌います。
主としてできない部分を洗い出して、つぶしていく作業。
なんだか受験勉強みたいです。
暗譜することを重視して、通しで楽譜をみないで歌うことに重点を置くと、不正確な記憶を強化してしまう危険があるので、少しでも詰まったり怪しいと思った所は都度楽譜を確認します。
これを当日本番、舞台に並ぶ集合時間の直前まで繰り返します。

前々日のオケ合わせからは、指揮者の指定する強弱、リズムの揺らしについていけるようにします。また、他パートのきっかけで歌いだす予定している部分が、例えば、ソプラノソロを聞いて入ろうと思っていたら、オケが大音量でソロがかき消されて聞こえない、youtube動画でつかめていたきっかけが、アンサンブルの違いやこちらの立ち位置のせいで掴めない、といった事態が起きますので、そこも自分なりに別の手段を講じておく必要があります。

そして迎えた本番。
リハーサルで客席がらがらだったのが、お客さんが入ることでホールの音響が変わります。そうするとそれに対応して指揮者のテンポや切り方がいきなりリハーサルと違う形になったり、オーケストラの各パートや合唱の他声部の聞こえ方が変わってきたり、本番ならではの緊張感で演奏自体も別物になってきます。それは都度臨機応変に対応していくのが本番。それこそが本番の醍醐味です。

ということで、数々の傷はあれど、無事なんとか本番を終了することができました。
ほっとして、この記事を書いております。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。