かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

ジャン・アンリ・ファーブル 平野威馬雄訳「虫と自然を愛するファーブルの言葉」興陽館

ファーブルといえば「昆虫記」ですが、子供の頃に読んだ記憶も憶えてないくらいでしたが、最近、子供用に伝記を借りてきて読んで、その生涯に非常に興味を持ったかたです。

これは、昆虫記などの間などに記載された、ちょっとした箴言集を平野さんがまとめられ1942年に刊行されたものの再編集版です。

私が一番面白いと思ったのは、フランスにじゃがいもを広めたパルマンチェーさんの紹介。

ルイ十六世に「じゃがいもは粉屋にも焼屋にもたよらないパンです。やせ地でも育ちますし、土の中から引っこ抜いて茹でるか焼くかすれば小麦に匹敵する澱粉質の食料になります。今フランスが苦しんでいる食糧難怖るるにたらずです」と進言しました。
王様は熱心に聞き、公式行事でジャガイモの花束を持って歩きました。
米原産のじゃがいもは、当時、家畜のえさにもならない毒だと見過ごされていて、王の期限をとる貴族たちは早速百姓に命じて栽培してみたものの、愛でられるのは美しい花ばかり。実は打ち捨てられていました。
パルマンチェーはパリ近郊に土地を購入してじゃがいもを栽培しましたが、誰もほしがらない。あんな豚の餌にも誰一人欲しがらない球根を作るなんて意固地なやつだな、と嘲笑されるしまつ。

そこで一計を案じました。
じゃがいもを育てて収穫期になると周囲に柵をめぐらした。
次に、じゃがいもに少しでも触った者は法律で厳罰の処せられるのですよと近隣の村の人々を集めて布告した。
そして日中、柵の周りを厳重に警戒し、柵を越えた者は厳罰に処せられるのだと脅した。
ところが夜は番人を引き上げさせた。
そうしたところ近隣の百姓たちは「こんなに厳重に警戒されている植物はなんだろう」「きっと素晴らしい物に違いない」「夜こっそりしのびこんでとってこよう」
勇気ある者がおっかなびっくり引っこ抜いて急いでとってかえしたところ、番人が追っかけてくる気配がない。
このことは噂としてパッと広まった。
やがて袋で持ち去るものがでて、あっという間にすべてのじゃがいもがなくなった。
全部盗まれたとの報告を聞いたパルマンチェーは「うまくいった」と喜んだそうです。

この罪のないいつわりの計略のおかげで、評価することのできないほどの食料の源泉がフランス全土にめぐまれた。なぜなら、一度百姓の手に入った馬鈴薯は、その値打ちを知られて、その耕作が急に伝播されて行ったからである。(本文ママ)