かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

首相は金融課税強化を一旦留保で思うこと

金融所得課税、当面見直さず 「すぐやる」は誤解 岸田首相(時事通信) - Yahoo!ニュース
岸田首相は、金融所得課税強化について当面触らないとマスコミでコメントしたそうです。
財務省のDNAで観測気球が上がった途端、株価が下がったから慌ててひっこめたのかしら。
TOPIXは、2021.9.6に1990.8.21以来の高値更新ですから、まさに失われた三十年ですよ。おまけにその間消費者物価指数を見てもほぼ横ばいのデフレ状態。

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出典:http://www.garbagenews.net/archives/2064125.html

株価は沈みっぱなし、デフレで通貨の価値が減らないとなれば、そりゃ金融資産は現預金でってことになるでしょうよ。自然かつ合理的な選択です。
そこをなんとか株式市場へお金を向けようとして、源泉分離課税となる特定口座、iDeCo、NISA、つみたてNISAを制度を拡充してきたところでしょう。つみたてNISAだって20年で800万の非課税投資枠、iDeCoは60歳まで拘束ですからね。投資の呼び水としてはまだ緒についたばかり、個人投資家の成功体験が全く足りていません。
上場会社について、個人株主は16.8%。また、いくらか知りませんが信託銀行のうち投資信託個人保有分を足せば、そこそこの割合を占めています。株価への影響力が全然ないわけではありません。

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出典:2020年度株式分布状況調査の調査結果について 日本取引所グループ

財務省が狙うのは、非上場会社含めた配当所得の総合課税化なのかもしれませんが、事業承継応援や自民党の票田である中小企業のオーナー所得に手を付けることは政治的にほぼ不可能でしょうから、まずは上場株式の総合課税化へと舵を切りたいのではないかと思います。消費税もそうでしたが、“小さく生んで大きく育てる”を学習していますよね。
でも時期がまずいよね。衆議院議員選挙前だもんね。
金融課税強化が売りの呼び水となって外国人投資家に売り越しを浴びせられたら外国からの資本投資をじゃましたことになって経団連から怒られる。
だから慌ててひっこめたのでしょう。
そもそも上場株式は非常に逃げ足の速い資産ですよ。
私だって、課税が強化される前にとっとと売ってから時価で買い戻して取得価額を上げておこうなんて簡単に思いつくし、簡単に実行できますから。
ついでに無分配型の投資信託に変えてしまえば、途中の配当所得がなく、最後の譲渡益まで課税を繰り延べできますからね。

矢野康治財務事務次官与野党の経済政策を「バラマキ合戦」と指摘したのは、そのとおり。緊急事態宣言も終息したこの時期になって言い出すなんて、選挙対策の露骨なバラマキでしかありません。経済成長だけで財政健全化するのはまったくもって無理です。
一部民主党政権をはさんだとはいえ、自民党政権財政赤字を拡大して拡大して全然減らすことができないところで、単年度主義を見直してさらにばらまく、これは財務省としては座視できないです。
消費税を社会保障費に充てず、法人税減税に使いまくって、それで大企業は内部留保ばかりため込んで十分な投資も研究開発もせずに三十年過ごしてしまったわけでしょう。
昔青島行男さんが1971.3.29予算委員会の代表質問で、当時の佐藤栄作首相に向かって「政府はスポンサード・ガバメントであり、総理は財界のちょうちん持ちで男メカケである」といいましたが、政治行動を見る限り自民党の本質は残念なことにまったく変わっていませんね。財務省のDNAも変わってないけど自民党のDNAも変わっていない。
しょせん、法人税減税という補助金頼みで企業が本気で生き残りをかけて研究開発なんかするわけがないのです。
最低賃金をもっと上げ、法人税減税もやめていき、やっていけない企業は内部留保清算していただいて退場いただく、これがよろしいかと思います。
産業構造の変革はどうしたって避けられないので、いずれ失業者が大量に発生することになります。その時に、法人ではなく、個人にバラマキを行うのが順番ではないでしょうか。
日本の株価がさえないのは、企業がリスクをとろうとしないから。だったら個人の貯蓄は全世界株式投信や先進国株式投信でもETFでも米国株でもいいですが、リスクをとってくれる外国企業に投資してリスクをとる。そしてリスクをとっただけの損失と利益を引き受ける、これが自然な姿です。そういう形での債権立国もあるでしょう。