かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

日本人の給料が上がらない決定的な理由を読みました

日本人の給料が上がらない決定的な理由
日本人の給料がどうにも上がらない決定的な理由 | ワークスタイル | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
を読みました。
マクロ的な要因は別として、現場の実感ということで3つの理由を解説しています。

(製造業ベース)
全員が一丸となって高品質低価格をめざす、製造業ベースの考え方。商品の評判がいいからといって値上げするのではなく、安定的な取引を求めたり求められたりする、売上が増えない結果、給与も引き上げられない。

(給与の上方硬直性)
社員の技能が今はいらなくなっても将来どうなるかわからないから抱えておこう、また、水準に劣る社員は解雇すると訴訟で負けるから抱えておこう。
ゆえに昇給率は低めが安全だし、在籍年数に従って給与を上げるということは、加齢に従って能力が向上するとみなすことだから、中高年を首にするのは裁判所からすると自己矛盾に見える。結果、人材の流動性が低くなる代わりに雇用は安定する。昇給率を低めに抑える動機が働くと、成果に直結する昇給をすると、成果が落ちた時に下げることが難しいから、成果をすべて給与に反映させられない。

(ジョブ型人事評価導入の困難)
個々人の仕事=ジョブを明確化し、それに応じて仕事の遂行内容や成果を規定しようとするジョブ型給与を導入すると、
年寄りと同様の能力の若者が応募してきたら、同一賃金にしなければならない。
水準を満たさない社員に首を通告しなければならない。
応募してきた人に水準を満たしていないから採用できないといわなければならない。
そういう露骨な社員評価はできないのではないか。

筆者の書き方だと、3番目の(ジョブ型人事評価導入の困難)は(給与の上方硬直性)で派生的に出てくる理由に見えます。
わたしが思うには、このジョブ型ですけれど、社員評価を導入するためのジョブの設定・切り分けがそもそもできていないという理由で導入が困難なのだと思います。業務をジョブ型評価に合わせて切り分けていないでしょう。業務に人をはめこむのではなく、会社にいる「なんでも屋さん」の属人的な能力に依存して業務を回している。
コンビニでも事務所でもいいのですが、一番下の人は「言われたことをやる」部分がほとんどです。作業に例外はありますが、それは上司に聞けばよい。そのすぐ上の上司。店長とか課長とか呼ばれる人々。この段階の人たちが急に大変になっている。マニュアルを読み込んだうえで、隅をつつくような例外事項に対応し、マニュアルにないことを自己判断して処理しなければならない。
自分がかつて最下級管理職になっていたからわかりますが、ここで判断と処理、処理しきれない場合の上送りの判断、これが結構重くのしかかってきます。
百歩譲って業務の範囲を決めてジョブ型の評価範囲を設定することはできると思うのですよ。
でも評価はどうかなあ。攻める仕事はまだつけやすいかもしれませんが、守りの仕事はね。「何も問題が起こらなかったからよい」「問題が小さい内に課長段階で解決できたからよい」場合に、どう評価するのでしょうか。

この記事ではなぜ給料が上がらないのかの原因の一つとして、ジョブ型給与制度を導入することに二の足を踏むと言っていますが、以上述べたようにジョブ型職務の切り分け自体ができていないことのほうが日本企業の問題だと思いました。