かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

ああ云えばこう言う

内田樹さんがブログで弁証法について書いている回があります。
http://blog.tatsuru.com/2021/12/06_0901.html
日比谷高校の雑誌部に入って、先輩たちの博覧強記なのに比べて自分の読書経験がなんと甘く低俗的であったことかと思い知ったそうです。それでも弁証法については、なんとしても理解したい。ということで先輩に質問してみた。

「先輩、『弁証法』とはどういうものなんですか?」
 イトウさんはにこやかに笑って、「うん、それはいい質問だ。ウチダくんがキャッチボールをしているとするね。キミが投げた球がうっかり隣の家に飛び込んで、ガラスを割ってしまった。さあ、どうする?」
 私は意味がわからず、ぼおっと立っていたが、そのうち血の気が引いて、黙って部室を立ち去った。背中にイトウさんの甲高い笑い声が聞こえた。そのとき、二度と先輩たちの前で自分の無知をさらすことはすまいと心を決めた。

これ最初読んだ時に何が変なのかわかりませんでした。一晩寝て翌日になって、はっと気が付いた。
窓ガラスを割る→弁償→弁証法 ああ、なるほど。

からかわれたのね。

高校生ならともかく、今の私だったら“ああいえばこういう”修行を積んでいますので、つぎのように会話を展開させるでしょう。

弁証法、弁償、あっなるほど。“べんしょうほう”とガラス代金の“べんしょう”をかけているんですね。おもしろいですね。」(わざと相手が駄洒落を言ったことを強調)
「ところで先輩は私の質問に答えてくれていません。この場合可能性は二つあります。一つは、先輩は面倒くさいから答える気がない。でもこれは心優しい先輩のこと、後輩を邪険にするような人ではないとわかっていますので可能性はない。もう一つは、先輩でもよく理解していなくて、一言で概念を説明することができない。それを後輩にさらすのは恥だと思っていたから論点をずらした。」

どうです、いやな後輩ですね。

上の子が中学校で先日、クラスの同級生をじっと観察していたら、
「なにみてんだよ」と気色ばんだ。
「えっ…ごめんなさい」と言ったそうです。

そこで私が、応対方法を伝授。
「えっ何?っておまえだけど。見てるのはお前だよお・ま・え。じっと見ちゃいけないって決まりでもあるのか。そもそもお前だって時々こっちをじっと見ていることあるじゃん」など回答例を話します。

上の子は口下手らしく、とっさの返しが苦手。
そこで私が具体的な状況に沿って答えを出し、会話練習をします。ポイントは、同じことを相手からされたらどのように感じるのか気づかせて差し上げることです。
繰り返し練習して、大分はっきりと言い返せるようになりました。

さっと気の利いた反撃が出来る人は少数派。大部分の人は口下手です。しかし口下手だからといって悩んでひっこんでいてはいいようにあしらわれてしまうので、訓練、訓練。

Q&Aを具体例に即して練習することで口下手は脱却できます。
若い頃は口下手で、今でも知らない人同士で集まった席上の会話は苦手ではありますが、「ああいえばこう言う」能力だけは年季を積んで身に着けました。

とっさの返しが出来なくて悔しい思いをしている人は、一人になった時に、相手がこういう、自分がこう答える、というシミュレーションを言葉に出して練習するのが一番ですよ。練習しないと、咄嗟にできるようになるものじゃありません。

一緒に練習しましょう。