かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

低コストインデックスファンドも次の局面へ

自称インデックスファンドブロガーとして来年の展望を記します。

1 スペックからパフォーマンスの時代へ
Nightwalkerさんもつぶやいていらっしゃいますが、スペックからパフォーマンスへの時代がやってきたと思います。

2021.9.23の拙記事によれば

種別 銘柄 信託報酬率 実経費率 一年 三年 五年 純資産総額
投信 SBI全世界株式 0.0682% 0.1322% 36.99% 45.41% N/A 348.79億円
投信 楽天全世界株式 0.1320% 0.2400% 37.82% 45.58% N/A 1210.68億円

同じFTSE指数を採用しているのに、信託報酬率・実経費率とも高い楽天全世界の方が、経費を引いた後の純資産総額騰落率がよい数値を示していることが見てとれます。
入口の目論見書で信託報酬率が低いですよ、決算での運用報告書で総経費率も低いですよ、といくら訴えても、同じ指数をベンチマークとしているのに、パフォーマンスに差が出てしまう。そうすると投資家はパフォーマンスの好い方に流れますよね。
たわら男爵の記事経由でたどり着いた河童さんのブログによれば、

楽天バンガードHEADSから頂いた回答から分かったことです。僕が持っている一般的な知識で行間を補足した結果です。
ETFの未収配当金が発生した場合でも、タイミングを遅らせずに配当金を再投資したい。
多額の設定解約があった場合でも、いくらか現金があればETFを売却しないで済ませられる。その方が売買委託手数料、有価証券取引税的に有利である。
そのためいくらか短期金融資金(現金のようなもの)を持っていたいが、それはベンチマークとの連動性を悪くしてしまう。
そこで短期金融資金を証拠金にして株式先物保有することで、株式へのエクスポージャーをほぼ100%にしている。

ということで、配当確定日から入金日まで株式先物を利用して、株式への暴露(エクスポージャー)比率を高めているのではないか、そのオペレーションの差ということになりましょう。
https://otosak.hatenablog.com/entry/2021/11/25/060000
私もその点に触れて、何もそこまでという感想と、いやいややっぱり最後は手残りでしょう、という迷いを書きました。
とはいっても、FOF*1でも、世界各国の株式やADR*2を直接所有する投信・ETFだろうがオペレーションのしくみ自体に特別の感情はありませんので、同じ指数を採用するファンド同士の比較に最終的な手残りである純資産総額の騰落率は皆の関心が集まって運用会社との緊張関係を保つ道具として重要な指標だと思います。

とはいえ、貸株や配当確定日から入金日までの間に株式先物を買い付けるといった特別な操作を行って、代わりに信託報酬を厚めにとる、というのは行き過ぎだと感じています。

インデックスファンドは、指数への追従を株式の所有・配当の受領の範囲で愚直にやってくれればよろしい。

そうはいっても、新規購入と解約のための不足現金をコールマネーで、とか、日々の出入りの微妙な操作がファンドの成績の巧拙に直結している以上、どこまで、という線引きは非常に難しいとも感じます。

ただねえ、貸株は運用会社の取り分が50%投資家50%の約款が多いので、ファンドマネージャーに「やってみたい」インセンティブが設計として組み込まれているというのは、正直好きではない。配当確定日付近で操作を間違って、配当身代わり金を貰うことになって、その期間で分配金を出すことになって外国税額控除がつかえなかったらどうすんの。
という人為的ミスをさそう要素があるわけです。

私個人としては、「何もそこまで」と感じることはやってほしくありませんが、これだって時代の変遷によって私の中の当たり前が変化する可能性がある以上、そう簡単に排除するわけにもいきません。運用会社がそれを行う趣旨を丁寧に説明して、投資家も納得する、個々の問い合わせに答えるだけではなく、そんな場や回答が公開されることを望みます。

2 指数選択による総経費率低減
同時に、指数選択による経費率低減の時代も到来するのではないかと思います。こちらはカン=チュンドさんの記事から触発されました。
信託報酬率の低下競争が行きつくところまでいってしまい、次は経費に占める割合が高まってしまった指数の使用料に手をつっこむことになると思います。
手段としては、
・使用料の安い指数への乗り換え
・自前の指数作成
ということになりましょう。山崎元さんもどこかで「自前の指数にすれば、事前開示により、入れ替え銘柄が割高になることを避けられるのではないか」とおっしゃっています。

※銘柄入れ替え時の問題
指数会社が銘柄入れ替えを発表すると、アクティブ機関投資家が除外される銘柄の空売りをしかけ、指数採用投資信託が株式を放出する際安値となったところを買戻しされ、アクティブ投資家が儲かってインデックス投資家が損するという構図。新規採用銘柄はこれと逆に先に買いを入れられて高く売り抜けられてしまう。

自前の指数作成上の問題は次の2点です。
時価総額比率1%未満の部分の処理
・銘柄入れ替えの方法

最初の時価総額比率1%未満といっても、純資産総額が大きければ無視できない絶対額となるわけですが、0.1%未満の銘柄は無視するでもいいかと思います。“だいたい指数”とか言って。または、ダウジョーンズ30種みたいに特定の大型株からのみなる指数を使う方法もありますが、これだと銘柄入れ替えショックは回避できませんね。

銘柄入れ替えの方法ですが、時価総額比率の変動により手放す銘柄、買います銘柄、新規取得する銘柄も、あんまり厳密に実行するとやはりコストが高くなる。であれば、少しずつ売却する・取得するなどして、また時価が動いた場合は、目標微調整を続けるとか、何か手間がが少ないけど概ね大きな数字に影響はない方法を探るべきかなと思います。これだっ、て決定的なやり方は思いつきませんが。

以上、低コストインデックス投資信託について、来年2022年以降の課題として2点記述しました。

1 スペックからパフォーマンスの時代へ
2 指数選択による総経費率の低減

それに加えて、米国ETFのように、毎年決算における総経費率を開示すると共に、翌年の信託報酬含む総経費をその範囲内で収める契約条件を提示する、固定総経費率の提供も運用会社に採用をお願いしておきます。
参考https://otosak.hatenablog.com/entry/2021/11/05/180000

*1:ファンド=オブ=ファンズ。別の投資信託ETFをマザーファンドで買うだけファンドのこと。SBI・Vシリーズはこれです。

*2:米国預託証券。主に直接買い付けできない新興国株を保有するために用いられる。https://www.rakuten-sec.co.jp/web/special/master_adr/master_adr_01.html