かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

インデックス投資なら米国ETFは不要

日本では給料がちっとも上がらない。それに比べて欧米やアジアでは給与がどんどん上がって経済も日本よりはるかにまし。このままだと円の価値がどんどん下がっていってしまう。だったらドル建ての投資資産を持っていた方がいいのじゃないか。

などとご心配なさっている方もいらっしゃるかと思いますが、心配ご無用。
海外株式に投資する低コストのインデックス投資信託を購入すればよいです。

外貨建て資産と言えば、私VOOとVTIを所有していますが段々煩わしくなってまいりました。
最初に購入したときは円貨決済を選んで、引渡日に自動でドルを買い付けて購入しましたが、米国籍ETFはファンドに配当収入などが入ってくると、四半期や半年に一度必ず分配があるのですがそれはドル。
以前記事にしましたが、もらったドルでVOOやVTIを買おうと思ってもVOOは一株USD427.41、VTIはUSD234.93(共に20221.13終値)します。
分配金は米国で10%天引き、その後日本の証券会社で源泉所得税と住民税併せて20.315%引かれます。外国税額控除で取り戻そうとしたって、それは確定申告という手続きを経なければならない。分配金を貰ってすぐ再投資できるのは手取りの入金額のみ。
VOOが2021.12直近の分配でUSD1.0995、VTIが2022.1の分配でUSD0.6166の手取なので分配即1株買い付けるには、
VOO 427.41÷1.0995≒389株 427.41×389×114円/$=18,953,924円
VTI 234.93÷0.6166≒382株 234.93×382×114円/$=10,230,732円
今日いきなりVOOやVTIを買い付けるわけではなく、以前から取得していたらもう少し取得価額は低いですが、規模感はおわかりいただけると思います。
分配金を即1株だけ、米ドルのまま買い付けるのにも相当の元金が必要です。
だったらドルの分配金で足りない分だけ円貨決済すればいいんじゃないの、と思います。
ところが楽天証券SBI証券では、一取引で円貨決済とドル決済を混ぜて発注することはできません。結局ドルの分配金を円に替えてから円貨決済で発注するか、不足ドルを為替取引で円からドルに替えてからドル決済で発注するか、ということになってしまいます。残念なことに円とドルの両替が発生しますから、売買価格差によるスプレッドという形で為替手数料を払うことになります。
証券口座のドルは、現金で引き出せるわけでなし、かといって他の金融機関に送金できるわけでもなし、現金としての使い勝手はないに等しい。
だったら、今は米国株や先進国株に日本円で投資できるインデックス投資信託や日本籍のETFが低コストで利用できるのだから、わざわざドルでの売買が必要な米国籍インデックスETFを買う必要はないのではないか。
現状新たにVOOやVTIを購入する必要は全くない、というのが私の結論です。
確定申告での外国税額控除は面倒だし、住民税や国民健康保険料に影響しないように手続きすることだって考えなくちゃならない。
心配はいりません。
海外株式のインデックス投信は、
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マザーファンド経由で海外の株式を購入していますから、あなたが円でインデックスファンドを購入したとしてもその中身はドルやユーロなどの外貨建て資産です。ですからそれらの株価が全く動かなかったとしても対円レートが動けば為替の評価を通じて基準価額が上下します。結果的に外貨建て資産を保有しているのとまったく同じ効果があります。
もちろん円高になると円評価ベースでは目減りすることもお忘れなく。
以上は「為替ヘッジなし」のインデックスファンドを選んだ場合ですのでそこも気を付けてください。「為替ヘッジあり」は為替変動の影響を減殺できますが、その手当てのための操作と費用がかかりますのでその分パフォーマンスが低下します。また為替変動の影響を減殺するということは、円安になってもある程度価値を維持できるけど、円高になっても為替評価による利益も少なくなるという裏表があるということです。
投資後、円高に振れていったら為替ヘッジあり商品が相対的に好成績をおさめる可能性もありますが、為替は全く予想がつかない。将来の円高を予想してヘッジあり、将来の円安を予想してヘッジなし、という選択の仕方は意味がありません。
そうじゃなくて、安全資産や生活防衛資金は円建てなんだから、リスク資産は国際分散。ドルやユーロ建ての海外株式へ投資するインデックスファンドを購入する時も為替リスクを国際分散、だから為替ヘッジなし、という考え方でいきましょう。
というのが私個人の意見です。
この場合の為替リスクとは、円安による円建て資産の国際的な購買力の減少という危険に備えているんだ、と認識していただければ幸いです。
円で購入できる投資信託ETFですが、100円から投資できる投資信託がやっぱりお薦め。ETFは最初のVOOやVTIの所で述べたのと同じく、購入価額は1株単位となるので、分配金即再投資をするにも1株単位での購入となります。ドルじゃないけど分配金4,000円貰った、あれ、でも1株14,000円だよ、では現金1万円をつぎ足さないと1株買えないですね。それからETFは米国籍ETFと同じく配当などの収益があがれば半期に一度分配があります。米国籍ETFと違うのは、ほとんどのETFが外国税額控除をした上で源泉所得税と住民税を差額で差し引いて、円で分配してくれること。そこは有利。
外国税額控除をしてくれるETF。この表になければ外国税額控除調整はしてくれない。
でも分配を行わない投資信託は、分配の時に支払う税金がないだけ再投資額が大きくなって複利運用の効果が大きいです。

注意していただきたいのは、今の話は投資信託が分配を行わない場合の話で、再投資型を選んだからといって投資信託が分配金を出してしまえば、税金を差し引いたうえで再投資に回してくれるだけなので、再投資型・分配型という選択とはまったく別に、購入した投資信託自体が分配を見送るかどうかにかかっている、ということにご注意ください。

以上のことから、長期に積み立てていこうという方は、株式市場に上場しているETFではなく、非上場である投資信託を選ぶと外国税額控除はないけど、面倒がなくってファンド内での再投資による複利の効果が大きいから、そちらがお薦めです、というお話でした。