2022.1.14現在、モーニングスター調べによる純資産総額1兆円超えのファンドです。純資産総額は百万円単位でしたが、億円単位に変換し、4桁区切りとしました。したがってカンマの前は兆円です。
順位 | ファンド名 | 会社名 | 純資産額(億円) |
1 | (NEXT FUNDS)TOPIX連動型上場投信 | 野村 | 16,2954.88 |
2 | (NEXT FUNDS)日経225連動型上場投信 | 野村 | 7,7851.13 |
3 | 上場インデックスファンドTOPIX | 日興 | 7,6160.10 |
4 | ダイワ 上場投信-トピックス | 大和 | 7,5643.24 |
5 | 上場インデックスファンド225 | 日興 | 3,7762.92 |
6 | ダイワ 上場投信-日経225 | 大和 | 3,7406.82 |
7 | MAXIS トピックス上場投信 | 三菱UFJ国際 | 2,4415.13 |
8 | MAXIS 日経225上場投信 | 三菱UFJ国際 | 1,8841.90 |
9 | AB・米国成長株投信Dコース(H無) 予想分配金 | アライアンス | 1,6398.17 |
10 | (NEXT FUNDS) JPX日経インデックス400 | 野村 | 1,1922.82 |
11 | グローバルESGハイクオリティ成長株式(H無) | アセマネOne | 1,0720.42 |
TOPIXや日経225のインデックス型が並んでいますが、9位に注目。主として米国株式の成長株に投資するアクティブファンドですが、予想分配金ってなに?
目論見書を見ると、信託報酬率1.73%、購入手数料3.3%とかなりのぼったくり具合です。直近の運用報告書で実経費率を見ると1.75%。
このファンドの正式名称は「アライアンス・バーンスタイン・⽶国成⻑株投信Dコース毎⽉決算型(為替ヘッジなし)予想分配⾦提⽰型」です。毎月決算を行い、配当やキャピタルゲインを分配原資としてその範囲内で毎月均等に近い額を分配していきます。
開示されている運用報告書(2020.12.15)による分配実績は次の通り。
一万口当たり分配金(税込) | |
70期(2020.7) | 200円 |
71期(2020.8) | 300円 |
72期(2020.9) | 200円 |
73期(2020.10) | 300円 |
74期(2020.11) | 200円 |
75期(2020.12) | 300円 |
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFL194OY0Z10C21A1000000/
これは2021.1.27、つまり昨年1月の記事ですが、毎月問答無用で分配するファンドを金融庁が問題視して、金融機関が自粛をしたのが発端。
何が問題かというと、ファンドに入金してくる配当や保有株式の値上がりによるキャピタルゲインがないのに分配するから。名称は「特別分配金」ともっともらしい名前がついていますが、投資家の出資元本を返還しているだけなので法令上も非課税です。当たり前だ。
多分ねー、"あそこの銀行の担当者が熱心に来るし、話も聞いてくれるから、こりゃあ悪いと思ったし、地元の〇〇銀行の行員さんのいうことだから間違いないわねー"とかいってじいさんばあさんが騙されて買っている姿が思い浮かびます。
揚げ句に預かったお金を戻しているだけなのに「毎月きちんと分配されて、こりゃあとてもいい商品じゃのう」(口調はナゾ)と勘違いさせる悪質な商品。まさか原資が取り崩されてそのせいで基準価額が下がり、最後に解約して返戻される金額が相当低い金額だとはお釈迦様でもおもうまい。その頃には担当者はとっくに転勤してるわい。
という“だまし”の横行に金融庁がカツを入れたということです。もっと早く警鐘をならせばよかったのに。
余談ですが、暴走族ってかっこいい名前だから憧れるんで、「珍走族」に呼び名を変えよう、という話がありましたが、これと同じく、特別分配金という名前は廃止。元本返還金とか投資額払戻しとしましょう。
本題に戻りますと、一応そのようなタコ足配当ファンドは、販売を自粛することになった。
そこで金融機関は「毎月予想分配型」をひねり出した。
これは一応純資産総額のうち、投資よって生み出された配当収入や売買益・評価益を原資として分配を行うのでタコ足配当はしていない。しかし毎月分配をしていくのでその都度基準価額が下がります。
顧客に払い戻しを利益の分配だと誤解させるようなしくみにはなっていませんが、分配金を受け取れる代わりに、株価が右肩上がりでも基準価額はあがらない、ファンドに留保される利益を再投資するしくみをもっていないので複利効果は生まれようがない。
という何とも残念な商品ですね。
毎月分配型の需要は根強いっていうけど、ほんと?
販売営業力のたまもの(皮肉です)じゃないの?
そんな予想分配型ファンドが純資産総額1兆円超え。
ここの所米国株はなんだかんだいって上昇傾向にあったけど、一気に下落したら、分配は止まるよね、きっと。
その時の資金流出入はどうなるのかなあ。
ちなみに第12位にeMAXISSlim米国株式(S&P500)が純資産総額9,567億円で1兆円超え目前です。米国株完全にブームになっていますね。
低コストインデックス投資家のみなさん、共にがんばりましょう。