かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

東大前での切りつけ事件

東海高校に通う高校生が、このままでは東大医学部には受かりそうもない、成績がのびない。と悩んだあげく、夜行バスで東京にやってきて、共通テスト会場の東大入口近くで、70代男性、現役高校生男女、計3名を刃物で刺したとのこと。

大学受験生でなく、高校の受験生の親として、まず思ったのは、一年に一回、この日にかけていた高校生二人がとても気の毒だな、ということです。
70代男性については、こんな場所にいたばっかりに通り魔にあって気の毒に、と最初は思いました。

ところが、友達のFacebookのコメントを見ていてハッとした。
実は70代男性も受験生だったのだろうということ。きっと国公立大学へ挑戦してまた新しい人生を切り開こうとしていた。その歩みを凶行が躓かせた。
この視点はなかったですね。この方も人生のチャンスを一回潰されたという気の毒な意味がもう一つ加わった。年配者は受験に関係なかろうという無意識の処理、不明を恥じました。

ところで受験生の親としてはもう一つ気になる点があります。
犯人は成績が伸びなくて悩んでいたというが、それは誰でも悩みます。それが刃物を持ってバスに乗り東大の前で三人を刺すという飛躍段階へなぜ至ったかということ。
こういう思考をめぐらすと、つい、親が期待をかけていたとか、勉強もっとやれと言っていたとか、そういう飛躍へ至る理由探しを始めてしまいます。
親としては受験は頑張ってもらいたい。受験日が迫っているのに、だらだらネットを見ているのを見たりすると、つい、時間を無駄にしていないで、勉強したら、なんて言いたくなる。それがプレッシャーとなってうちの子だって刃物を持って家出しちゃうんじゃないだろうか。だったらそうしない境目とは何か。こんな風に考えてしまうわけです。
だけど、原因追及したくなる欲求をマスコミが感じて、加害者家族や加害者の学校に押し掛ける図式を想像してうんざりしてしまう。押しかけて情報を集めて記事にしてみたとて、犯罪を犯すもの犯さないでとどまるものの違いが明らかになるのかという疑問がある。なにより加害者の家族は、もうこの時点で被害者であるともいえますから。

犯人が通っていた東海高校は、名古屋でも受験校として名高い男子校。私もこの学校を出た知り合いが二人います。二人とも素晴らしい、自分の人生に責任をもって自分だけの道を決めて動いている人。サンプル数少なすぎで、だからどうだってことは言えないけども、学校の属性だって関係ない。

自分や自分の子供が狂気に落ちないのはなぜか、どこに境目があるのか知りたい、というのは、自分だって子供だって状況によってはこんなことをしでかすかもしれない、というかすかな可能性をこのような事件があるたびに疑う心性があるからで、凶行に至る心理的な筋書きを求める欲求は強いです。でもマスコミに突撃取材はしてほしくない。ここは自分の中で矛盾した気持ちが同居しています。

それにしても犯人はなんだろ、象徴的な犯行なんでしょうね。わざわざ夜行バスに乗ってまで東大まで来るんだから。でも共通テストは別に東大を受験する人ってわけじゃなくて、たまたま共通テストの会場が東大に割り振られただけですよ。
東大を受験しにきた人を狙って犯行に及んだのなら、東大を受けられるような幸せなやつらに復習を、という犯人の妄想の筋書きもなるほどと思えるけど、たまたま会場だっていうだけでしょう。地下鉄で火をつけようともした、とありますから、先月の大阪の放火事件を安易に引き写して実行した可能性もあります。発想がお粗末なのは、それだけ心理的に追い詰められていたという証拠なのか何なのか。

通り魔に遭遇した三人は気の毒だというほかありません。
政治の力で特例試験を受けさせてあげたいけど、大規模テロではなく交通事故などと同じ扱いになっちゃいますかね。
人が集まることをなるべくなくして、大学じゃない会場で試験をする、CBTといって各地に設けたコンピュータルームや自宅からネットで試験を受けられるようにする。IT推進なんだから。そんな遅まきながらの対応を兼ねた変更を進めてもらいたいものです。