かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

日用品費かと思ったら交際費だった

日参するスーパーの並びに化粧品店があります。
コロナが始まって以来、シャッター締まりっぱなし。
長期休業?もしくは廃業?
いえいえ、さにあらず。シャッターに張り紙がしてあります。

「シャッターが閉まっていても在宅していることがありますので、御用の方は右側玄関から呼び鈴を押してください。」

店の右側は隣の店の壁との隙間が50cm位。蛇腹の門がついていて、その10mほど先に玄関らしきものがある。
これじゃあ、勝手知ったる常連客しか呼ばないよね。

母はこの店で時々買い物をしていました。買い物というよりおしゃべりかな。
一度付き合わされたことがあります。
「外で待ってて」と言われたので、おとなしく通りに立っていたら、15分待っても20分待っても出てこない。すりガラスの向こう側でなにやら人影が動いているだけ。
漸く30分近くたって出て来た。母の頬は楽しそうに上気していた。私は秋の夕方だったから寒かった。

母はそんな店を何軒か持っていたようで、今はないけれど同じ通りにあった手芸品の店にもよく通っていた。

母の遺品の整理していた時、化粧品についてはあまり記憶がない。姉が使いかけのものを処分してくれたのだったか、私が瓶ごとまとめて捨てたのだか。

憶えているのは、アクセサリーパーツ。
これでもかって位、沢山出て来た。ほぼ100サイズの段ボール箱2つ分はあった。

そして、今日二つのことがいきなりつながった。ピカーっと。

母は、買い物をしたかったのじゃなくて、おしゃべりを楽しみたかったのだ。

いくら手芸が趣味とはいえ、何もそこまでって位の量のパーツや、糸、チェーン。
多分お店にいく口実は買い物なのだが、実はお店の人とおしゃべりするのが本当の目的だったのだ。でなきゃあんなに長居しないはず。そして長居の罪滅ぼしを兼ねて、商品を少しだけ買う。
だから、物品の購入対価、ではなくて、交際費。本当の所は。

そうか、昔の女の人ってこうやって、人とつながりたい欲求を満たすために小金を使っていたんだなあとしみじみ感じ入ったのです。
なるほど。

今は行きつけのコンビニがそれに代わるものかもしれないけど、応対してくれるのは、商店主じゃなくて従業員だから、せっかく言葉を交わすことが出来ても入れ替わっていなくなることもあるし、次の人がレジ待ちしていれば一言さえ交わす余裕もない。

そう考えると、土地と家が自前で、割合暇でも成り立つ商店と、そこで少額でも必ず買い物する常連客という双方が揃って初めて、このコミュニティが成り立っていた。都会でも。

そんな余裕もしくみもなくなってきているけど、個人経営の小料理屋さんなどにまだ少し残っているらしいが、コロナがここまで続くとその灯は風前の灯なのかもしれない。