かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

価格変動リスクって言い方はやめませんか。

「株式はリスクがある。それは価格変動リスクである。短期的にもかなりの幅で値段が上下する。」なんて言い方をしますが、私は使わないようにしています。
リスクとは、危険。避けるべきもの。私にとってはマイナスの性質だけを指すものという理解です。株価の価格変動でも、自分が買った後に価格が上方に変動、つまり値が上がった場合もリスクに含める、という言い方にどうしても違和感があります。
私の考える株式保有のリスクとは、ただ一つ。買った値段(取得価額)よりも価値が下がること。これだけ。
価格変動リスクじゃなくって、価格低下リスク。
価値が下がるのは、株式発行会社の業績が悪くて個別の株価が下がる場合、株式市場全体から資金が逃げて行って全般的に株価が下がる場合、株式発行会社がついに立ち行かなくなって清算し株式の価値がなくなってしまう場合、色々あります。
しかし自分にとっては、現金を投入したのに、それ以下の価格になってしまい、売れたとしても手元に戻ってくるお金が投入資金より少ないこと、無価値になって株式が消滅すること、そんなことは、先ほどの一言「買った値段より価値が下がる」で集約されます。
じゃあ価値が上がったらどうですか。売れば買った値段以上の現金が戻ってくる。差額は儲けですね。売らないでいても売ればいつでも買った値段以上の現金が戻ってくるだろうという状態であれば、リスクとは言えないでしょう。
価格変動というからには、上がることもあるし下がることもある。上がれば儲け、下がれば損失、それを両方ともひっくるめて「リスク」ということの違和感。
しいて言えば、ちょっと株価が上がったから、むずむずして売ってしまい利益を確定させた。そうしたもっと上がった。しまった、もっと儲かる機会を逃したー、という意味ではリスクかもしれません(笑。
冗談はさておいて、株価の価格変動リスク、という代わりに、私は「株はボラティリティがある」と言います。予測不可能な価格上下動がある、という意味です。
一つ気をつけないといけないのは、買った価格とその時々の市場の価格との関係でリスクになったりリスクでなく未実現利益だったりするということ。だから取得価額が異なる場合、投資家同士による違い、同一投資家であっても取得時点による違いがあります。
だからといって長期的にリスクがなくなったとは言えないことは抑えておきたいですね。確かに買ってから何十年も持っていてその間にインフレが進んで株式市場もインフレに呼応して名目貨幣価値がさがって、見た目の株価が上がってくれば、日々の価格変動からはるか下方に離れた取得価額になった、ということはあるかもしれません。でもボラティリティがなくなったわけじゃない。いつまたどんな急落がくるかわからない。また個別株であればその会社が債務超過で倒産してしまえば、その時点で無価値になる。リスクになる可能性はずっとしょったままです。リスクが顔を出したか出していないかの違いしかない。

株価の上下自体に価値判断を含めず、株式が本質的に持っている価格変動の性質を切り離してボラティリティと呼びたい。
自分にとって、いいときも悪いときもあるね、それが株式だね、悪くなる可能性を引き受けているから、いいときも期待できるよね、って言いたい。
「リスクプレミアムという概念と整合性がないじゃないか」とおっしゃる方もいるでしょう。リスクプレミアムとは、私の場合、買ってから株価が下がって、その時売ったら損が確定してしまう、そんなどきどきを引き受けている状態、と理解しています。そのドキドキを引き受けているからこそ、上がった、売った、儲かったという場合になれば、預金とは違った予測不可能なご褒美の“可能性”がある、と言えばいいと思います。
価格下落のリスクがあるからこそ、それを引き受けた人に、ご褒美=プレミアムが期待できるんですよ、ということです。現時点ではあくまで“期待”ですよ。未来はわかりませんからね。