かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

大江英樹「となりの億り人」朝日新書を読む

「となりの億り人」を読みました。
野村證券の調査によれば、一億円を超える金融資産を持つ世帯は2.4%もある。100世帯のうち2世帯強。あなたの隣人も億り人の可能性がある。
億り人とはどんな人たちなのか、どんな思考や行動をしているのか、億り人なるために何を実行してきたのか、再現性をさぐるため、その実態を見ていく本です。私の個人的意見は【 】で括って表示しました。

年寄りが「若い内は貯金なんてせこいことを考えず、もっと豪快に遊べよ」というのは余計なお世話。今は経済成長も給与も右肩上がりではない。
「収入以上に使わない」誰にでもわかることと、誰にでもできることは違う。
支出をコントロールして投資資金を捻出し、成長企業や投資信託に長期投資する。
生涯賃金2億7千万円で、手取43万円で60歳まで1億9700万円だから差額は7300万円。一億円に届かない。
「働く」だけでも「投資する」だけでも資産家になるのは難しい。
両立できるやり方を考えて実行する、
自営・フリーランスとサラリーマンはちょっと違う
自営 ①約束は必ず守る。信用はお金になることを知っている。
②結論を出すのが早い。数えきれない判断に日々迫られているから。決断が早いとチャンスを逃さない。間違えたら撤退する決断をする。
③部屋や机がきれい 整理整頓すると気持ちがすっきりし深く考えられる。

【私は違う意見。余計なものを捨てる決断力があるから、必要な物大事なものが目にはいるようになり判断の精度とスピードが上がるからだと思います。】

サラリーマン①天引きの習慣がついている。節約は我慢だと生活がつまらないし、長期的に続けることができない。
②生活パターンを確立している。天引きで貯める。残りを使う。一定額たまったらそれには手を付けず天引きしていたお金を「増やす」ために貯蓄から投資へ切り替える。生活費2年分を貯めるとのご意見。
③なんでも自分で考える。上からの指示がないと動けないのはサラリーマンとしてしかたのないこと。しかし投資では自分で考えて判断すること。人から聞いて投資に失敗したら後悔が残るし、失敗しても成功してもその経験から学ぶことができない。投資では何事も疑ってかかることが大事。
共通する思考法 欲望を長い期間抑え込むのは難しい。節約よりも収支の管理。自分にとって最も価値があるものは何かを真剣に考えて優先順位をつける。
億り人が生命保険や医療保険に入らない合理的な理由。
意識せずに支出しているもの、固定費の中に無駄なものがないかもう一度考えるべき。
億り人の意外な行動①寄付を好む 寄付は心の満足感を高める。②いいことをすると気持ちがいい。利他的な行動をとるのは自分にゆとりがあるとき。③寄付が自分で税金の使い途を指定することになる(米国)④資産形成ノウハウを人に教える活動をする。多くの人は地味な活動を継続できない、価格変動に惑わされて時に不合理な行動をとってしまう、つい消費にお金を使ってしまいがち。そういった人たちに継続して情報発信し続けることで励まし続ける。

【私は少し違う意見です。自分のやってきたことを情報発信することで考えが整理され磨かれ、さらによりよい方法へと自分を導くことになるからだと思っています。】

「自分の思いを共有してくれる人を増やしたい」という非地位財を好む傾向の表れ。
①働いて稼ぐ、②稼いだお金を貯める、③貯めたお金を増やす。その三点の再現性。
①と②はサラリーマンならさほどの違いもなく再現性がある。③が難しい。
「長期での運用を前提とすること」「取るべき時にリスクを取る覚悟」

【将来の成長が期待できる個別企業の株式を長期保有する、事前に成長企業かどうかは見分けられません。】

投資信託で資産形成しようと思った場合、最も大切なのは投入する金額。
〇〇ショックと呼ばれるような、大きな下落が起きた時に普段の積立金額よりもかなり大くの金額を投資すること。リスクを取る勇気があること。市場に居続けること。

ここから先、不動産投資と億り人インタビュー、Q&Aと進みますが、後略。
具体的なノウハウなどは膨大になってしまうし、時間の経過と共に内容が陳腐化する、さらに人によってお金の貯め方も投資による増やし方も違うから、再現性を担保するための考え方、土台を紹介する、というスタンスですね。
新書ですから分量に制限があるし、米国と違ってわかりやすく具体例を増やすために分厚い本にすると売れないという判断もあるのかな。

より具体的なお話はNISAとiDeCoについて参考図書が掲げられていますが、インデックス投資についても参考図書を掲げるとさらによかったのではないかと思います。
FIREについてもRetire EarlyよりFinancial Independenceを優先すべき、お金持ちより幸福目指そう、何のためにお金を貯めるのかもう一度振り返ろうと締めくくります。
億り人に憧れる人々への入門書として読まれるとよろしいでしょう。

この先に読むものとして、本多静六「私の財産告白」を挙げているのは誠に的確ですが、私からは3冊追加しておきます。
1.ジョージ・S・クレイソン「バビロンの大富豪 「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか」グスコー出版 古代バビロンを舞台にお金を貯める増やす方法が紹介されます。
2.山崎元・水瀬ケンイチ「【全面改訂 第3版】ほったらかし投資術」朝日新書 インデックスファンド投資の現時点での最適具体例を提示している、と思います。実は私旧版しか読んだことがないのですが、旧版当時お薦めのファンドに投資をして今でも満足しています。こちらは考え方を踏まえた具体的な商品を提示してくれます。
3.北村慶「貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント―ノーベル賞学者とスイス人富豪に学ぶ智恵」PHP研究所 残念ながら中古本しかありませんが、グラフや簡単な数学を使って株式投資のなぜをわかりやすく解説してくれます。

「隣の億万長者」が米国発の書籍で証拠と例が豊富なのに比べ、それを日本で適用するとどうなるか、という概念で書かれたわりに具体例が少なく事例が偏った印象になってしまったのが惜しい。インタビュー形式ではなく、エピソードを連ねる形にしてもっといろいろな人を紹介してもよかったのでは、と思いましたが、新書の分量だとこれが限界ですね。