かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

変化を面倒がるな

自分に言い聞かせています。
とあるブログを読んでいたら、スーツにバックパックはカッコ悪いからずっと避けていたのだけど、子供の送り迎えで両手を開けないと危ない、と配偶者から強く言われて泣く泣く、という記事を読みました。
勝間和代さんも、銀座にバックパックは似合わない。けど、バイク移動だと手に持つバッグは面倒だし、ショルダーは肩が凝る、いいデザインのバックパックがない、なんておっしゃっていたような気がします。
バックパックがかっこ悪いかどうかは、世の中がバックパックだらけになってしまえばそれほどかっこ悪くも感じないし、スーツにあうデザインだって開発されるでしょう。
人があまりやっていないと異様な目線で見られるのがいやだ、というのと、自分がスーツでバックパックをしょっている姿を見慣れていないから、という2つの原因があるのだと思います。

クールビズが始まって、初夏からノーネクタイになった当初は、ずいぶん間抜けだなーと思っていて、ボタンダウン必須、なんて思っていた人も多いのではないでしょうか。
それが次第に見慣れてくると、第一ボタンをはずして涼しそうなのがうらやましくなってくるし、それほど間抜けにも思えなくなってくる。

車のデザインもよくいいますよね。半歩先を行けって。
一歩先に行ってしまうと「なんじゃあ、こりゃあ」と異質なものを感覚的に拒絶するセンサーが発動してしまいますが、半歩先だと「なんか変だよなあ」位に収まって、違和感の記憶が尾を引く。そのうちにそのデザインが頭に残って気になって来て、「それほど悪くないかも。いや、いままでこういうのなかった」と思って、一部の新し物好きの人たちが採用する。だから違和感があって心にひっかき傷を作るけど、拒否感までは生み出さないような“半歩先”を目標にするのでしょう。
だからおしゃれな人ほど、かっちりと完成された自分の美意識を守ろうとして保守的になってしまうという、新しもの好き一派とは逆側に向かう人も出てくると思われます。
ことデザインだけの問題なら好きにすればいいのですが、機能とか使い勝手の改善が含まれていたら試さない手はないですよね。
とすれば、やっぱり「やってみよう」の一歩を踏み出す勇気を常に持ち続けないと自分の感覚も広がっていかないし、新しい物に触れる楽しみを閑却していて勿体ない。
これがまた、ガスや電気携帯電話契約というインフラの世界でも言えるから面倒です。
東電から新電力に移行して、そこが事業撤退してまた東電に戻った話を記事にしましたが、これは電気が止まったらまずいので、仕方なく嫌々腰を上げたわけです。
しかしながら、東電から新電力へ変更する時は、どの事業者にしようかネットで情報を集めてあれこれ考えて決断した。その後二年とたたないうちにまた選択しなければならない立場に追い込まれたから「なんだよー、あれだけ頭使って、えいやって決めたのに、またかよー」という気持ちがあります。面倒なのですね。
でも面倒なことを乗り越えて、決断して乗り越えたんじゃなかったか。
どうしても比べて考えて、しかも変更を決断する、というのは心理的なハードルが高い。現状維持したままずーっと行くのは気持ちがラク
でもそうすると、どうなっていくかは皆さんも重々ご承知だと思います。

三大キャリアで過去と同じ契約でずーっといっていたら、随分過大な料金を電話会社に払い続けていたことでしょう。
会社もそうですね。飛び出すことは怖いし心理的なハードルは高い。
だけど、居続けることで、明らかに自分の神経が削られてくるとか、この給料でこの勤務を求められるのはないわー、とか思えば別の道を模索しますよね。
君子豹変すとはよく言ったもので、君子は面倒がらずに頭をいっぱい使って自分を変えるのだ。

ティーブン=キャラハン著「大西洋漂流76日間」を読んでいます。
ヨットが転覆して救命ボートで大西洋の真ん中に頬りだされた作者はなぜ76日後に助かったのか。一つは運です。季節も場所も冷たくない海だった。だからボートが浸水して体半分水に浸かっても助かった。北の海だったら30分で意識不明ですよ。
もう一つは、ボートの浸水で30分ごとに空気ポンプを動かさなければならなくなった時、肉体の疲労から朦朧となった頭を叱咤激励して手元にある材料と道具で考えて塞いだこと。
もう一つは鉛筆で作った六分儀で緯度を、ボートから流した廃物が後方に流れるスピードから漂流速度を計算し海図に記入して、ほぼ正確な現在地を割り出し、あと何日で島嶼に達するか予想したこと。これが絶望を追い払う力となった。
極限に追い詰められて考えざるを得なかったキャラハンと安逸に惰眠をむさぼる私を比較するなんて傲慢以外の何物でもありませんが、考えるという行為の信じられない力の例証から人生訓を引き出すことは許されるべきでしょう。

インデックス投資家としては「オールカントリーでいいや」と安心するばかりではなく、新しい商品が出たらチェックしてよりよい商品であれば勇気をもって積立変更、という程度の気概は持っていたいと思います。
変化の敵は惧れではなく、面倒くさいなあという気持ちですね。
でも面倒くさい。いやいや重い腰をあげなくちゃ、ね。