かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

iDeCoをやらない方がよい場合三つ

2022.5.1からiDeCoが改正になりまして、
会社員又は公務員で65歳未満の方、国民年金の任意継続をしている方は継続・再加入可能になりました。併せて受給上限年齢が75歳まで引き上げられています。
専業主ふの私も、大学生の時の国民年金未加入期間があり、現在任意継続しておりますので、一旦60歳で失効したiDeCoに再加入できますね。面倒だからしないですけど。
今から42年も前は、就職してから自分で掛金払えるようになってから入ればいい。受給資格の20年間(当時)は勤め続けるだろう。収入のない学生(私)の分を親は負担できない、という話だったと思います。そんな程度の認識だったのですね。

59歳近くになって、リタイア直後に勉強のためと称してiDeCoに三号保険者として加入してみたのでした。
iDeCoの概要は以前記事にしておりますが、今回改めて「入らない方がいい」場合を三つご説明します。

① 給与収入や所得が少ない方
39歳以下、年収300万円賞与無しで計算してみます。

給与収入 給与所得控除後 社会保険料 年税額
3,000,000円 2,020,000 414,648円 57,400

確定給付年金併用型の上限、月12,000円を掛けたとします。年144,000円。
これを年末調整時に、保険料控除申告書の小規模企業共済等掛金控除欄に記入しますと、年税額が50,000円になります。7,400円ほど所得税額が減少しました。
住民税も計算は省略しますが、122,500から108,100へ14,400円減少します。
一方、iDeCoを始めると経費がかかります。まず初回のみ加入手数料2,829円。
それから掛け金を拠出する度に105円、信託銀行への口座管理手数料66円が毎月かかります。加入手数料を無視しても、毎月拠出すれば、毎年(105+66)×12=2,052円かかります。取扱金融機関によっては、別途運営管理手数料を徴収するところもありますので、SBI証券楽天証券のように、運営管理手数料0円をはっきり謳っている金融機関を選ぶことは必須です。
2018年1月から、12月~11月分を1年一回にまとめて拠出する年単位拠出が可能となりましたので、「加入者月別掛金額登録・変更届(K-030)」を提出して少しでも経費を下げる工夫もするとよいでしょう。
年収300万円、独身、社会保険料控除以外控除がまったくない状態でも、所得税住民税合わせて税額が21,800円減少しましたが、iDeCoの経費分2,052円負担が増えました。
ですからもっと所得が少なくて所得税がかからない方や、今はお勤めしているけど転職で無職の期間が生じるなどの理由で将来所得の大幅な減少が予想される方などは、iDeCoを始めてしまいますと、毎月の経費だけずうっと負担が増えてしまいます。一旦始めた以上は60歳までずっと経費がかかりますので、つみたてNISAで投資を始めて、所得が安定してからのちiDeCoを検討することもお考え下さい。
結論:iDeCoは一度始めてしまうと60歳まで毎年経費がかかり続ける。

② 毎月掛け金が少額の方
先ほど申し上げましたが、iDeCoは毎月拠出で、年2,052円、年単位拠出に変えても105+66×12=897円出て行ってしまいます。毎月の掛け金は5,000円以上1,000円単位ですが、毎月拠出で年間205,200円積み立てたつもりでも1%の2,052円が差し引かれ、年単位拠出でも年間89,700円積み立てたつもりでも1%の897円が出て行ってしまいます。iDeCoで投資している商品の運用益が1%を毎年はるかに上回るとわかっていれば気にするほどではないかもしれませんが、平均的にもっともよいとされている海外株式型投信でも5%~6%で回れば御の字ですので、205,200円÷12=17,100円、毎月拠出なら20,000円程度は投入して掛金に占める固定経費の比率を下げないと運用益はあまり上がらないのに軽費ばかり引き去られるということになりかねません。
①の所得控除による減税メリットで賄えているから②は気にしないという考え方もあります。
結論:なるべく年間拠出で、毎月だったら最低20,000円は拠出したい。

③ 退職金が出る方
iDeCoは60歳~75歳で受給開始可能となります。
・年金方式 ・一時金方式
のいずれかで受け取れます。課税上は、
年金方式を選択すると、公的年金に係る雑所得の扱い、
一時金方式を選択すると、退職所得の扱いとなります。
注意点1 NISAなどは、売却価格―取得価額=譲渡益 が課税になるところ非課税になるよ、というしくみですが、iDeCoはまるで違います。
掛け金を拠出した時:所得控除といって課税所得から掛金全額を引き去る(経費化)
受給する時:貰ったお金全額を収入金額に計上して課税対象になる
つまり儲かった差額に課税するのではなく、最初に投入したお金を全額経費にするけど、受け取った時は全額所得にするよ、というような扱いになるということです。
公的年金の雑所得にしろ、退職所得にしろ、
収入金額―一定の計算式で求められる控除=所得金額
となりますので、いきなり全額が課税所得になるわけじゃありません。
公的年金控除といって、一定の金額を表に当てはめて減額、
退職所得控除といって、勤続年数(≒加入年数)に基づく計算により減額があります。
ここでは一時金、つまり退職所得扱いで貰う場合で考えてみましょう。
退職所得の計算
(退職所得の収入金額―退職所得控除額)×1/2=課税退職所得金額
退職所得控除額は、退職手当の支給の元となった会社の勤続年数から計算して、

勤続20年まで 1年40万円
勤続20年超 1年70万円

で計算します。それが一体iDeCoとどうゆう関係なの、と思うかもしれませんが、退職金が出る場合は大ありなんですね。
ここからは話が複雑になるので、結論だけ申し上げますと、先に会社から退職金を貰った時に、勤続年数分の退職所得控除を使い切るだけの退職金を貰っていたら、その勤続年数と重複するiDeCoの加入期間は退職所得控除から除いて計算しなければいけません。使いきらない場合の退職金の額だった場合も、800万までは÷40万、800万超の部分は÷70万でつかった退職所得控除額の年数を逆算して、その分の勤続期間に重複する加入期間はやはり除外されます。
単純に加入期間だけ年40万、20年超70万で引いて、それ以下だから税金かからなくていいやーにならない。
調整された退職所得控除を引いた残りは1/2にはしますが、累進税率の所得税税額表にあてはめて課税されます。
こういうややこしい目に合うのですね。
ついでにいうと、iDeCoでは受給1回ごとに手数料440円かかります。公的年金等の雑所得扱いにすると1回ごとに440円引かれるのですね。これが嫌だから一時金で一回だけ払おうとすると、退職所得控除額の調整計算が待っている。
じゃあしょうがない、やっぱり公的年金等にしよう、とすると、今度は確定拠出年金やら国民年金やらを受給開始するようになっていた、となれば、雑所得が合算されて膨れ上がってきます。当然累進課税の対象になるし、住民税も増えるし、健康保険料も増える。
結論:退職金がしっかり出る会社にお勤めの場合は、課税も覚悟しておくこと。

掛金休止もできますが、それでも毎月66円は引き去られていってしまいます。
ですから以上3つの場合において、iDeCoを始めるのは慎重になった方がいいよ、というお話でした。