かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

合唱団の合宿

2022.7.30から1泊2日で合唱団の合宿へ行ってきました。
学生みたいですが、社会人主体の合唱団でも土日連続で強化練習をしたり、土日泊まりで合宿をしたりします。
こちらの合唱団では、2019年にやったあと、2020年に予約して断られ、2021年に予約して断られ、2022年は三度目の正直。それぞれ感染爆発していたから東京から人が来るっていうだけでコロナウイルスを巻き散らかしに来る、という印象を持っていたのでしょうね。
今年は民宿側もすっかりコロナに慣れ、ここのところ急激に罹患者が増えているにもかかわらず東京都は緊急事態宣言も自粛も出さないし。
行先は秩父
民宿の場所は、西武秩父駅から徒歩だと25分。この暑いのにやってられないので、路線バスもあるけど午前11時に駅で待ち合わせてタクシー相乗りということになりました。その辺は大人の合唱団なので費用を切り詰めて体力で補うということをしないから助かります。別に一人でもタクシーで行ったと思いますが。
自家用車で来た人たちは、関越で事故渋滞などに巻き込まれたそうで、遅刻。夏休みに入ったので公共交通機関ではなく車での移動を選んで行楽に出かけているのかもしれません。
11時30分に集合して、まずお昼を食べ、休憩後に練習という流れ。
音楽ホールのある民宿で、合宿慣れしているため、あらかじめお願いしておけば三食用意してもらうこともできます。
スケジュールは、

第一日 第二日  
7:30-9:00 朝食
9:00-12:00 練習
11:30-12:30 昼食・休憩 12:00-13:00 昼食
12:30-17:30 練習 13:00-15:00 練習
17:30-18:30 夕食・入浴
18:30-20:30 練習

1時間に1回5分程度の休憩をはさみますが、ひたすら音楽ホールに籠って練習です。初日の練習の最初と二日目の朝は、それぞれ30分程度発声練習をして喉を温めてから。
声楽コンクールの日程が迫っているため、初日の夜20:30-21:30に先生はZOOMで広島県の生徒に指導をしていました。通常なら21:00まで練習して、それからお風呂に入って休憩し、どっかの部屋で飲み会、というパターンですけれど。
コロナ中だしな、と思っていたら、先生が練習終わった21:30から部屋飲みが始まってしまいました。よりによって私も寝る部屋です。「やってもいいですか」と聞かれたら「寝るからだめです。先生の部屋でやって」とは言えない。私は布団敷いて話を聞くともなく聞いて横になっていました。
もちろんしゃべる時は必ずマスクして!と注意しておきました。えらそう。年配者の特権かしら。
私は寝ちゃいましたが23時頃にはおとなしくお開きにしたようです。
秩父は盆地なので日中は東京都同じく暑いですが、日が落ちるとさすがにさわやか。虫が入るので窓は締め切り、冷房は寝る前に止めましたが朝まですっきりと眠れました。

翌朝は朝食前と朝食後練習開始までが自由時間。すぐ裏が川なので河原で散策しました。
師匠と団員の一人はその間に個人ヴォイトレ。声楽コンクールが迫っているので仕方ありませんね。ご苦労様です。

ホールの左側は川。木立の緑もきれい。

20代30代の頃、在籍していた合唱団では、午前2時3時まで飲んで、翌日の練習はふらふらになって、という無茶もしました。
喉が死んでしまうし、今は体を休めて翌朝からばっちり活動したい、貴重な練習時間がもったいないと思うからやりません。何より体がついていかない。
若いときは合唱そのものよりも仲間たちと一緒に活動していることが楽しいって感じですよね。

混声合唱だと、最低限、ソプラノ(女声高声)、アルト(女声低声)、テノール(男声高声)、ベース(男声低声)の四声部、女声合唱なら、ソプラノ、メゾソプラノ、アルトの三声部、男声合唱ならトップテナー、セカンドテナー、バリトン、バス(ベース)の四声部にあらかじめ部員が分かれています。
練習は、最初に全員で30分程度発声練習をし、その後は全員でアンサンブル(合わせ)練習したり、パートごとに分かれて音取練習をしたり発声練習をしたり、その後また集まって全体練習、なんてパターンが多いです。

今回の合宿だと、団員が全部で9人しかいないので、合わせ練習をしつつ、気になる所で止めて、パートごと、又は一人一人前に出て、みんなで意見を出したり、他の人が歌っている人の体を押さえたりと、試行錯誤が続きました。

一人でみんなの前に出て歌うことは、ほとんどの合唱団員にとっては抵抗があるでしょう。「合唱」という言葉の通り、いつも集って歌っているわけで、ソロパートでも割り当てられない限り舞台上一人で歌うなんてことはないわけです。
自分のヘタな歌声をみんなに晒してダメ出しを食らう、そんな風に思うかもしれません。
人数が少ないからじっくりそんな練習ができるというのもありますが、実は一人一人歌う時にダメ出しをしているのではありません。ここ大事。
「〇〇の所の音程が低いよ」「〇〇はもっとなめらかに歌って」「〇〇はもっと大きな声で」というような感想なんだか、個人が工夫して結果を出せって要求するのか、そうしたダメだしは注意された方が、はいわかりましたですぐ改善できる場合には効果がありますが、プロじゃあるまいし、そんなことはほとんどない。
大体、自分の声は骨導音といって内耳に直接伝わってくる音をモニターしているので、外部にどのように響いているのか直接はわかりません。
ですから、意識した姿勢、筋肉の使い方、呼吸の仕方、口の開け方、顎の落とし方、その他プロのボイストレーナーの指導を直接受けながら、「よかったよ」「それそれ」と言われた時の体のポジションや姿勢、口の使い方を覚えていきながら声を出す、その反復強化でしか上達のしようがない。
そこが音を出す本体が体の外部にある楽器との最大の違いですね。自分でよい音がどんなものか直接モニターして調節していくことができない。
幸いこの合唱団は、指導者が各人に個人ボイトレをしている人たちが集まってできた合唱団なので、団員一人一人が一人で歌うのに抵抗がありません。みんなの前で、となると多少緊張はしますけど。
ですから、個人が気が付いてすぐできるであろうことは、言葉で指摘しますが、一人一人が前に進み出て師匠のピアノで一人で歌っている時、他の団員たちがすることは、「この人のここの歌えなさは、もしかして〇〇が出来ていないからでは」「体ちょっと傾いてる」「みぞおちが突き出ている、腹筋の上部に力が入って胃が上がっている」など、外面上現れる問題点を師匠と一緒になって指摘し、場合によっては、体をぐいっと押さえつけたり向きを変えさせたり、といった本人が意識して変えられる形の指摘で行い合うように自然となっていきます。
「肩が上がっている」といって肩を押さえつけにいったり、「もっと骨盤を入れて」「姿勢がくの字になってる」など、筋肉の使い方や悪い癖、首や立ち姿といった姿勢、目線の方向など、「体の使い方をどうかえたら目的を達することができるか」というのを歌う姿と声を聞きながら他の人がそれをじっと観察して手出しをする、というやり方。
全員が指導者(=師匠)の個人ヴォイストレーニングに通っているので、門前の小僧ではありませんが、師匠のメソッドが沁みているため、客観的に眺められる他人について、ここに癖があるからこれがだめなんじゃないの、とわかるようになった。全員師匠が同じなので、矛盾するような助言がないのもポイント。指導者が変わると最終的に目指すことが同じだとしても、途中で何を重視するのか違ってくる。そうすると一見矛盾したような体の使い方を進言するような場面もなきにしもあらずですが、その心配がない。
もちろんその間に師匠も色々声掛けし、バレエのポーズで歌わせたり、高音出す前に膝カックンをさせたり様々なことをやらせます。
最初は人前で一人で歌うことで緊張しますが、みんなが体を触りに(というより押さえつけに)来るので、筋肉の使い方や姿勢に神経が集中していき、一人で歌う緊張から抜け出してきます。根底には、一人一人がきちんとブレスをとってフレーズをつないでいけなければ合唱にはならないのだ、という合意があります。

具体例をいくつも挙げて説明しましたが、「そこ音程低いよ」と言われて、すぐ直るようだったらボイトレは要りませんよね。言われてもどうしたらよいかわからなかったり、むりやり声を張り上げたり、ピッチを高く取ってみたりと、喉に負担がかかりそうで、しかも響きは高くならない。疲れたら元の木阿弥。そんな負のスパイラルになりがちな指摘、指導は百害あって一利なし。
ここまで突っ込んだ練習は、普段の平日夜や週末の半日練習ではなかなかできません。人によって癖は違うし集合練習で前に立った指導者から言われたことも微妙に受け取り方がずれることもあります。そこは個人ヴォイトレで別に時間をとってじっくり直すというのが普段の時間割です。

今回、自分で体の使い方の癖を意識させられて試した結果も出るし、他の人のまた違った癖や良い所を見たり、一緒に改善方法を考えたりと、合宿ならではの非常に充実した練習でした。ちなみに筋肉や姿勢を正しくして発声していると、喉はちょっとやそっとのことでは疲れません。
二日目の昼食後、また渋滞になるといけないというので予定より早めに終了。
自家用車組に分乗して、西武秩父駅まで送ってもらいました。
後はお土産を買うなり温泉に浸かるなり特急券を買うなり自然解散です。
私は普通電車を待って駅のベンチから武甲山を眺め、途中急行に乗り換えながら帰宅しました。

先に出る特急Laviewと武甲山を各停待ちのホームから望む

最寄り駅で降りたら、気温は秩父よりちょっと暑い位だけど湿気がむわっと押し寄せてきてそれだけで体がへなへなと萎れてくる気がしました。
自宅について冷房の効いた部屋に入って冷たい物を飲んでほっと一息です。