かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

定年離婚へ至らない道

夫が定年になってずっと家にいることになり、妻がストレスをためて苦しんだあげく離婚なんて話は他人事ではありません。離婚されないための心構えをまとめてみました。
「この程度なら大丈夫だろう」と高をくくっていると、ひそかに爪を研いでおいていきなり攻撃、つまりお金と他の居場所を準備して置いてある日突然いなくなる、なんてこともありますから、今まで家の事を一切やって来ていない、という方は真剣に読むことをお薦めします。
なお、ここでは定年になっていきなり始終家にいることになりぬれ落ち葉扱いされる夫(男)、仕事と家事に追われてきた、または、家事に追われてきた妻(女)という図式でお話しますが、立場と性が異なる場合は随時読み替えてください。

とはいっても象印の調査や、私がネットや実際の友人関係の中で見聞きしたところでは、家事をやらない夫、一人でやってきた妻、という組み合わせが圧倒的ですね。
仕事をしながら家事分担してきたという夫がもうちょっといてもいいかと思いますが、なぜかほとんどみあたりません。

さて定年になって、あまり行くところもなく、家でぶらぶらしているという夫が新たに出現すると、妻のストレスは強烈にあがります。
家にいなくてしょっちゅう外出しているよ、という夫であっても、外での活動が終わって家に買ってくれば、当然のようにごはんができて風呂も沸いているだろう、なんて考えているのであれば、妻のストレスはやはり強烈にあがっています。

ということでこれを放置すれば、妻のイライラはマックスになり、ひそかに包丁を研ぎ、ある日突然切りかかってくること必定。いや、これは比喩です。妻は殺人で刑務所になんか入りたくない。楽しく毎日を過ごしたいだけ。ですからひそかにお金を貯め、よその居場所を確保し、ある日突然、忽然といなくなる、というストーリーまっしぐら。
離婚の理由として、性格の不一致が多く喧伝されますが、相性とか性格の不一致を持ち出す以前の問題で、家庭という企業を円満に経営していこうという意思がない、家族としての義務を果たせるのに果たさない、と認定されているわけです。そりゃクビになるわ。

ということで定年離婚されない道としては、家事をやること、これに尽きます。
ただやり方、入り方が問題になります。
まず夫は、家庭という企業に新たに就職した新入社員です。妻は社長。ここ大事です。
家庭は社長である妻が長年取り仕切ってきました。夫もそれに異を唱えてきたことはありません。いや無関心、放置だったという方が正しいでしょう。
とするとM&Aで合併した側やファンドが経営陣を送り込んできたわけじゃあるまいし、夫は只の侵入社員、あら漢字変換間違っちゃった、新入社員にすぎない。
ということは、まずは社長(妻)のやり方を虚心坦懐にマネすることから始めないといけません。長年行われてきた家事のやり方は社長(妻)が営々と気づいてきたやり方。それに新入社員(夫)が異を唱えるなんて百年早い。まずは完全に習熟して自分一人でうまく回せるようになってから意見をいいましょうね。
新入社員(夫)が合理的だと思おうが非合理だと思おうが、長年家庭で行われてきたということは、それが長年行われてきた相応の理由があるのです。新入社員(夫)はこの業界(家庭)のことをよく知りもしない経験も実績も全くない頭で意見を出しても、仕事ひとつすら満足に完結できていない人の意見だ、ってことで誰も耳を貸しませんよ。
さて、炊事でも掃除でも洗濯でもいいですが、社長(妻)から分担を貰って始めるとします。その時新入社員(夫)として大事な心得は、作業の途中でわからなくなるたびに、随時質問しないことです。
質問は、必ずまとめて聞くこと。質問の仕方は「全体がわからないから説明してくれ」というのは絶対ダメ。そういう時は、マニュアルを探してきて参照したり、最初に妻(社長)が概略を説明してくれた時にメモをとっておいて独力でやってみる。社長(妻)だって別の作業をしていますからね。忙しいんですよ。あれやったりこれやったり休憩したりダラダラしたりするのも時間配分のうち。相手をみてダラダラしているから何でも聞いていいわけじゃないです。それは作業が一段落して一息ついている大事な休息時間かもしれないし、頭で何か考えてまとめている時間かもしれませんから。社長(妻)は忙しいのです。わかりますよね。
社長(妻)の手を止めて中断していいのは、例えば調味料のしまい方や、お皿のしまい方、洗濯物の干す場所と順番など、社長(妻)の流儀に沿っていないと、社長(妻)が後でやり直しをしなければならず、ストレスが上がるだろうと予想される場合に、聞いてウザがられる確率と後でやり直しになって怒られる確率を天秤にかけた結果、「やっぱり聞こう」となった場合だけ。
さらに質問の仕方は、個別具体的に簡潔に。相手がyes-no式に負担なくこたえられるような質問の仕方を考えておくこと。新入社員(夫)なら当然ですよね。
それから、聞くふりして作業に社長(妻)を巻き込むのも現に慎みたいところです。
あくまで一連の流れを独力でこなそう、と心がけてください。新入社員(夫)なら当然ですよね。
そういえば、私も新入社員の時、作業教わって先輩が親切に手順を教えてくれたものだから、わからなくなるたびに先輩のところへ飛んで行って聞いたものです。結果非常にウザがられた。先輩だって先輩の仕事の時間の流れがあります。手順を教えてくれるのは先輩の義務だったかも知れないけど、調べてそれでもわからなければ、先輩の時間の隙間を狙って聞く、などしないとね。
それから上司。いたなあ、何かってえと質問してきて、あげくああじゃないかこうじゃないかこちらが意見を言っているといつの間にか上司の業務の一部に巻き込まれて。私は私の業務があるの。それはあなた固有の仕事でしょうに。上司のすべき一連の業務の中で下請け作業的なことを「やってくれ」と言ってくる。それもこちらの業務の一部だってはっきりしていればともかく、こちらは個別に割り当てられた作業で手一杯。見てみると新施策の準備とか業務集計とか、上司自身の仕事だろ、ってとこに巻き込もうとする人。
ということで、もう夫の側の人はわかったと思いますが、あなたは家庭という企業に新しく入社した新入社員です。そういう心がけで家にいるようにしてください。
間違っても乗り込んだ経営陣みたいに「ごはんは」とか「どこへいくんだ」とか「ここよごれているぞ」とか言っちゃいけませんよ。
そのセリフを言いそうになったら、飲み込んで、自分で作業を始めてください。
新入社員なんだから、やった結果を褒められたりけなされたりするのは当たり前。褒められたら「もっとうまくなってやろう」と、けなされたら「まずいところを改善して次は上司にも満足いくような仕上がりにしよう」と思ってください。

新入社員なんだから。