かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

外貨預金はダメダメだからやめておくことをお薦めします

米ドル、インフレ退治のため金利誘導されて定期預金の金利が独歩高ですね。
円の定期預金なんか全然利息つかないし、だったら高金利のドル預金をして、満期時にさらに円安になれば為替差益もがっぽり、なんて営業トークに踊らされそうですね。
ということで、冷や水を浴びせるためにややきつめのタイトルにしてみました。

私も過去、ニュージーランドドル南アフリカランドと外貨預金を買ったことがあります。どちらも一年後円高になってそのまま円に戻せば大損。金利差なんて吹っ飛ぶ。
南アフリカランドは、格付け会社南アフリカ国債のレートを引き下げたので、とっても円高になってしまい、その後幸いにも元レート近くに戻した時に解約しましたが、三年ほどかかりました。三年で済んでよかったと思います。
為替なんてどうころぶかわかったもんじゃありません。

この記事では外貨預金のダメさについて述べていきます。

1.満期まで解約できない

外貨預金は満期まで解約できません。円の定期預金だと途中解約で普通預金金利に切り替えることができますが、ほとんどの金融機関では原則中途解約できない、解約したら元本だけ払戻し、など一段と厳しい条件になっています。
今はドルの定期預金の高金利振りが目立ちます。すると目先の高金利につられて為替のリスクを忘れがち。高金利で確定利付きといったってそれは外貨での話。使う時は円転するでしょう。満期時まで下せない外貨定期預金。満期の時の為替レートのわからなさをどこまで覚悟しているのかってことです。しかも株式と違ってタイミングを自分ではかって売却(=解約)することはできません。

2.預金保険制度の対象外である

預金保険制度というのは、預金の預け先金融機関が倒産の危機に瀕した時でも、その金融機関に預けている普通預金や定期預金一人当たり一千万円までは国が出資した預金保険機構が元本補償しますよ、という制度です。外貨建て預金はこの制度の対象外です。

3.預け入れる時と満期で払い戻して円転するときに手数料がかかる

手数料って書いていないですけど手数料です。為替スプレッドなんて呼ばれています。例えば1ドル100円と相場表示されている時、100円もっていけば1ドルと引き換えてもらえるかといればさにあらず。通貨の種類によっても違いますが、円ドルで今でも±1円というスプレッドを掲げている金融機関もあります。±1円だと、101円もっていって1ドルに替えてくれて預金、満期で1ドルを円に替えたければ、レートが同じ100円表示であれば99円しかもらえません。今は利息を無視して話をしていますが。
特に今みたいに低金利だと、為替相場が動かなくても、最低限円→ドル、ドル→円でもっていかれます。101円が99円ならともかく、101万円が99万円だったらどうですか。微々たる利息など吹っ飛んでしまう威力があります。
まあ、こちらは外貨預金でなくとも、外貨建て金融商品全般に当てはまることです。ですからなるべくスプレッドの狭い金融機関を選びたいというところです。最近では片道4銭とか15銭とか攻めてる金融機関もありますが、条件付きのものもあり、キャンペーンだったら突然終わってしまった、ということだってあり得ます。また購入する商品によってスプレッドが違っていることもありますから、その情報もしっかり確認してください。
いずれにしても、預入時の円からドル、満期時解約でドルから円で、往復分スプレッドは必ず抜かれます。そのことを忘れずに。

4.キャンペーン金利に騙されるな

年利8%とか円定期に比べると目を剥くほどの高利率を掲げる外貨預金もありますが、これも気を付けてください。よくみると「7日間定期預金」だったりします。7日間で満期を迎えた後は、外貨による定期預金の預入で0.02%とかぐっと低金利になります。それでも円の0.001%よりずっとましだろうという方に申し上げます。確定利付きとはいえ、外貨建てで確定しているだけで、満期時に円安であれば手取が多くなり、円高であれば手取が少なくなる。これもまったく予想がつきません。
満期時についた利息は、満期時の為替レートで計算された円転額に基づいて所得税源泉徴収されます。
満期になっても外貨のまま現金保有していれば為替差損益は発生しませんが、利息も発生しなくなる。普通預金にしたら0.01%とか。しかも変動金利
再び定期預金にするとその期間が問題となります。1か月定期なら1か月ごとに満期なのでそのタイミングでしか円転できません。為替に合わせて素早く動くことができないのは1でも述べたとおりです。

5.発生した為替差益は確定申告の対象所得となる

預入時と満期時の為替レートが動けば、元本に対しても最終的に円転して手じまいした段階で為替差損益が発生します。利息も外貨のまま金融機関に置いておいてその後円転すればやはり為替差損益が発生します。(満期時の源泉徴収金額は利子所得なので、国外にある金融機関に預け入れたのでもないかぎり完全に分離課税で終了しています。)
為替差損益は雑所得になりますから、為替差損が生じた場合、同年中に雑所得が発生していれば、確定申告で相殺することができますが、雑所得がなければ切捨て御免。
為替差益が生じた場合、確定申告義務のある人、又は医療費控除や配当控除で確定申告をしようという人は、雑所得の収入金額に書いていかなければなりません。
サラリーマンで年末調整をしていてその他の所得が20万円以下、その他の給与収入が20万円以下、年金収入が400万円以下、など確定申告不要とされている人は、還付申告しようと思ったら雑所得の欄に書かないといけません。その上、住民税の申告は別途必要でしょう。
なお税務に関する記述は、その人の条件により結論が大幅に異なることがあることから、個別具体的な事例については専門家にご相談ください。当記事に基づいて行動した結果について当方は責任を持ちません。

6.次善の策として外貨建MMF

それでもどうしてもという人は、銀行の外貨預金ではなく、証券会社の外貨建MMFを選択肢として検討してはいかがでしょうか。
新たに外貨建MMFを購入する必要があるとは思えませんが、該当通貨の金利状況によく追従しますし、元本保証はないものの毎日決算しますから、毎日利息相当額が確定し、月末に同一口座に積み増してくれます。
また証券会社によっては、MMFから外貨のまま外国株式やETFを購入することができますから、そこで為替差損益を心配する必要がありません。
もっとも私が所有していたオーストラリアドルMMFは利率が0.00%になってしまい、解約しました。利率や決済手段として使えるかどうかは証券会社によって異なりますのでよくよく調べてから使うのがよろしいかと思います。
重ねて強調しておきますが、わざわざ外貨建MMFをこれから設定する必要はない、というのが私の意見です。外貨建て資産の比率を高めたい場合は、円で売り買いできる外国株式・債券に投資する東証ETF投資信託を強くお薦めします。
こちらは円で投資家から集めた資金を、運用会社がまとめて外国株や債券に投資してくれますから個人客の為替スプレッドとは異なる為替手数料で外貨調達できるはずですし、現地で得た配当金をそのまま現地で株の買い増しに回してくれれば為替の問題も乗り越えられます。また源泉徴収ありの特定口座を利用すれば、源泉分離課税で同一口座内で保有する上場株式の譲渡損益や配当金と自動的に通算してくれますし、確定申告しないで済ますこともできます。

7.結論

ごちゃごちゃいいましたが、言いたいことは「為替変動リスクは高いけど、利率は期間中固定され中途解約も原則できない、為替差損益に税務処理上の面倒がつきまとう」つまりリスクに見合うリターンがない、ということです。