かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

リスクの語源=危険ではない

山田昌弘希望格差社会ちくま文庫 を読んでいたら、P37からリスクの語源が説明されていました。山田さんの引く原典はピーター・バーンスタイン「リスク。」言葉はイタリア語のrisicare。意味は、勇気をもって試みる。まさにそれ。ベネチア商人が危険を顧みずアフリカ・アジアへ出帆していった大航海時代を彷彿とさせますね。
投資界隈では、リスクは「危険」という意味じゃないよ、期待値のブレ、つまりボラティリティのことを指しますよ、と沢山の方が説明してくれるので、私なぞは、リスク=危険で人口に膾炙してしまったんなら、ボラティリティが高い、低い、大きい、小さいって言えばいいじゃん、とずっと思っていましたし、今でも初心者の誤解を招かないためにも価格変動リスクと言わず、価格変動ボラティリティと言う方がいいとは思っています。だって価格変動リスクって言われると、どうしたって「将来値が下がって取得原価割れする危険」だってとらえちゃうし、「将来値が上がって思わぬ評価益を得られる危険」ってどんな危険なんだよ、幸運じゃねえか、と思うわけです。思わず口が悪くなってきてスミマセン。
山田昌弘さんはこの本で、「何かを得るためについてまわる危険性、危険性が伴うことを知りながら、その危険に出会うかもしれない状況に身を晒して、何かを達成しようとする時、その危険をリスクと呼ぶ、何かを選択する時に、生起する可能性がある危険」と定義して使いたい、とおっしゃっているので、やはりマイナスの可能性側だけを指していて、投資界隈での用語法とは違います。
投資に入ってくる人たちを見て「なんだかみんな一発当ててやろうって目をしてるな」と既に投資界に長年居続けている人々が思って、「それなら儲かる場面ばかりじゃなくて損する時もあるから、それでも動じないで続けられるかどうか覚悟を求めるためにリスク=値下がり=恐怖ってあらかじめ思わせておこうじゃないの」と思っても不思議はないですね。
リスク=勇気をもって試みる だとなんとまあすっきりした、ぴったりした内容ではありますが、ウルリッヒ=ベックの「リスク社会」も「危険社会」って和訳されちゃう位だから、この意味で頭にすっと入ってくるのは難しそう。
やっぱりリスクは危険だ!ぐらいに浮かれ頭に水をかける位でちょうどいいのかなと思いました。