かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

紫苑「71歳、年金月5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活」大和書房

プチプラってなんだっけ。でググるとプチ+プライスという和製英語で、安い値段を意味するとな。プチってフランス語じゃん。というつっこみはおいといて。
ブログ記事一覧-ひとり紫苑・プチプラ快適な日々を工夫
ブロガー紫苑さんの本。
個人事業主時代が長くて、年金が月5万円しかない。どんどん若い人に仕事が行ってしまい収入も減って来た。そこへコロナ、どうしよう。
という一見悲壮な覚悟の本かと思いましたが、さにあらず。追い詰められて夜も眠れないこともあった、とおっしゃいますが、衣食住、覚悟を決めて方針を立て、月5万円でやっていく工夫と日常をつづった本です。
食→衣→居の順番で章立てして、その工夫を語っていくのですが、本人の文章のうまさなのか、いや、それ以上に編集のうまさが効いていて、ミクロな視点からマクロな視点に自然と読者をいざなってくれます。
数字を見ると頭が痛くなる。レシートを足しても合わなくて指摘される。ずっと逃げていた。
など自分の短所も正直に述べていらっしゃる。
第四章の住居の話は突っ込みどころ満載ではあります。
子どもが生まれて公団住宅とはいえ65㎡駅徒歩10分以内(月15万円)→公団のタワーマンション63㎡(24万円)→子供の独立を機に63㎡の少し遠い公団(月13万円)、って。
最初の公団住宅は新築で新規入居者ばかり、子供のお迎え食事お泊りさせて貰ったり十分元はとれていたとおっしゃいますが、35年前で15万円。「払えるの?」って心配されたそうです。
で年金は月5万円。賃貸マンション探してもどうしたって3万円を下る所はない。どうしよう。
と巡り合ったのが一軒家だそうです。築40年。一階と二階で総床面積60㎡程度。ご本人曰く狭くてしょうがないから、断捨離。始終外へ出たくなって近くの公園を歩く。健康になったと。
窓から外を見ると隣の家の壁、とあるので、もしかしたら再建築不可物件かな、いずれ外壁塗装や屋根の防水で修繕費かかるだろうけどお金積み立てられているのかな、なんて余計な勘繰りをしてしまいました。
ご本人曰く、見栄が邪魔していたと。自分のしょうもないなあ、と思う所を正直に述べて、じゃあどうするか、で行動を変えていく。仕方なくではありますが、いやいやではない。なんだか楽しくなってきた。
それがあふれているのが、この本の魅力です。
以前10年間着物ブログを書いていたそうですが、かつては高くて手が出なかった着物をどんどん手放す人が増えてメルカリやオークションで安くなったものを手に入れ、桐ダンスが重さで崩壊した。その後着物も断捨離しつつリメイクを楽しむ方向に。やっぱり煩悩から逃れるには、一度とことん欲望と付き合ってみないといけないのかも知れませんね。
紫苑さんがこの本で書いていないことが2点あります。
一つは、最初は結婚していたと思うのですが、二人の子供を持つシングルマザーになった経緯。
もう一つは、新卒で地方新聞社に勤務していたのを止めて、独立自営業になった経緯。
この本の本筋とは関係ないので、別に書く義理はありませんけど、このお人柄がどうやってできたのか、知る手掛かりになるのかもな、と思いました。