かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

かくれ深海魚

私が造語しました。
最近言われる「深海魚」という言葉、ご存じでしょうか。
主に中学・高校受験にまつわる言葉で、中高一貫校進学校に必死に勉強して入ったものの、周りは軽々と勉強をこなすできるやつばっかり。小学校や中学校ではそこそこだったはずなのに、進学先では落ちこぼれ。授業も進度が速すぎてついていけない。
すっかり疲れてしまい、授業中はひっそりを息を潜ませて時間をやり過ごす。
これを海底にひっそりと生息している深海魚になぞらえたというわけ。
かつては愛媛県進学校愛光学園に多数合格させる塾を営んでいた二神能基さんが、その後不登校児を支援するNPOに転じた時に書かれた本を読んだのですが、「受験で合格者の上位50%に入れなかったところには、入学をお薦めしない」とおっしゃっていて、それは「深海魚」の出現を目の当たりにした実感だったのでしょう。そしてシャカリキに合格させる塾経営を止めてしまい、不登校児支援へと舵を切った。
私は中学も高校も公立で、高校も進学校ではなかったので、周りが凄い奴ばかり、という絶望感がよくわからないのですが、一つだけ思い出したことがあります。
二十代の時に、英検向けの学校に夜通ったのですが、同級生に40代位のおじさんがいました。通産省の官僚で現在外郭団体に出向中で時間に余裕があるので習いに来た、みたいなことを言っていたと思います。その方が言うには「中学や高校の教科書は一遍読んだら全部覚えたし、理解した」というので、私はすごくびっくり。
そういう人がいるんですね。
深海魚になってしまう人は、必死で勉強して進学校に受かったものの、周りはいつ勉強してんだか分からない位部活や行事、趣味に入れ込んでいる。休み時間は友達とじゃれていたり。それでいて授業中の受け答えはしっかりしているしテストの点もよい。
こちらは必死で授業に落ちこぼれまいと、家で更なる時間をさいて復習しているのにどんどん授業から置いて行かれる。当然テストの点もぱっとしない。もう疲れた。
そんな気持ちになるのでしょうね。
受験を機会に科目の本質をつかんで勉強が面白くなって、というのなら良いのですが、受験校の過去問に絞ってテクニックを使いまくって背伸びしすぎると、ちょっとの背伸びならともかく、すごく背伸びして受かってしまうと、却って不幸になりそう。
それが二神さんの「半分より上位の成績で受かること」というセリフの根拠でしょう。

前振りが長くなりましたが、じゃあ私の作った言葉「かくれ深海魚」とは何か。
一見授業についていけなさそうな振りをしていますが、実は全部理解していて当然テストの点もよい。しかしそれを明らかにすることなく、周りの陽キャに「ねーテスト何点だった?」と聞かれても曖昧に誤魔化し続け、授業中も積極的に発言せず、当てられた時だけちょっとわからないふりをしつつ時々正解を口にする。そう、本当はマグロ、シャチ、サメみたいに素早くて強力な癖に深海魚の振りをして海底にたゆたっている。
まあねえ、分からんでもないですよ。「テスト何点だった―」って聞きに来る陽キャは、いつなんどき「〇〇さんは別人種だから」「〇〇さん、すごいねー」「私にはとてもムリ」あたりから、いつ何時嫉妬の刃を向けてくるかわかりませんからね。
下の子は「それ、ダイオウイカじゃーん」と言っていました。