かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

三菱UFJ国際投信、横川社長インタビューに思う

www.nikkei.com
eMAXISSlimシリーズでヒットを飛ばす三菱UFJ国際投信社長の横川さんへのインタビュー記事。
私個人の注目点をまとめてみました。
・以前は儲かると利益確定してまた買う動きが主体で総額60~70兆円の範囲だったのが、長期保有の方が増えて85兆円の残高になっている。
・つみたてNISA口座も30代以下が半分。コストに敏感で分かりやすい物に投資したいと考えているようだ。
・老後資金2000万円問題、コロナウイルス禍、この間相場全体が上がっている、Youtubeやブログといった口コミの影響もある。貯蓄から投資へと30年以上言われてきてようやく動いたか。
・既存商品との共食いを心配した。規模の大きなマザーファンドがあるのでコストはすぐに赤字になるのではない。新規投資家に使いやすいもの、安心できるものを提供するんだという前社長の号令とネット証券を通じた個人投資家への広がりが組み合わさってSlimシリーズが伸びた。

「コスト面で、重要なのは表面上の信託報酬だけではありません。投信には、その他にも多様なコストがあります。例えばインデックス(指数)にきちんと追随できるかという、『トラッキングエラー』をいかに小さくするかといった運用面での質も含めたコストについて、業界最低水準をやろうと宣言しているのです」
ツイッターとかブログとかで、『あそこが信託報酬を下げた。なんで三菱UFJ国際投信は追随しないのか、最近はずいぶんおとなしくなっちゃったね』といった意見が出ますが、弊社としては信託報酬だけではなく様々なコストを含んだファンド全体を見て考えています。コストパフォーマンスという言い方がいいかもしれません」
――ブローカー(売買取り次ぎ)の世界では売買取引手数料の引き下げ競争が続いています。運用会社でもそうなりませんか。
「量(残高)を積み上げることができればなんとかなる、という面はあります。限界コストと絶対コスト、全体の運営経費、マザーファンドも含めてどう運営できるか、というところです。リスクがないということはありませんが、今後も投資家の裾野拡大に努め残高を拡大していくことで対応できるとみています」

こはちょっと曖昧な発言と思いました。“質も含めたコスト”とは分かりにくい言い方ですが、質を保つにはやたらに安くすればいいってもんじゃない、という意味でしょう。ただそれをどうアピールするのか。後段では残高拡大すればコストの引き下げが可能で、そうすれば信託報酬という分かりやすい指標も下げてアピールできる、と解釈できるのかな、と思います。
だったら米国のヴァンガードやステートストリートのように運用報告書で「今期のコストは年率〇〇%でした」と実経費率というもっと分かりやすい指標を掲げてアピールすればいいじゃん、と思いますね。ヴァンガードやステートストリート、ブラックロックと言った投信運用会社の規模とはまだ比ぶべくもない現状ではありますが、それらの会社は毎期実経費率を算定して翌期の信託報酬を下げ(または経費率が上がれば上げる)機動的に運営して残高を伸ばして来たともいえるわけで。

アクティブファンドについては、投資家にファンになって長く持ってもらうために良いパフォーマンスを上げ、投資先とは対話して少しでも日本経済を良くしていく方向でいきたいとのこと。この辺の理想は金融機関としてのDNAのなせるわざですが、株式市況は良いときも悪いときもあるので、
「局面ごとに見て、きちんと成績を出すべきときに出しているか。苦戦すべきときにきちんと苦戦しているか、という点で評価したいと思っています。例えば実際に、5年単位で見てパフォーマンスが悪いファンドに関しては、局面ごとにどう対応したのかという検証をやっています。」
とおっしゃっているのでどのような分析アピールをするのか期待されるところですね。

私も大学無償化に反対

ひろゆき氏がまた炎上しておりますが。記事をしっかり読み込まずに言葉尻を捉えて反論している人が多いですね。
https://president.jp/articles/-/65656
私も無償化には反対です。
ひろゆき氏によれば、大学学費に税金を投入してしまうと、レジャーランド大学も生き残ってしまう。大学は授業料収入が簡単に手に入るけど、大卒の肩書が欲しくて奨学金と言う名の教育ローンを背負って卒業した若者たちは借金返済のためにブラックな会社にも我慢して勤めたあげく心身を壊して自己破産などになってしまう。
だったら一定の学力のある学生だけ学費を国が負担するしくみにする方がよい。
ただし高校生個人のレベルでは、どんな大学でもいったほうがよい、とアドヴァイスする。大卒でないと就職の入口も狭いし、海外で労働ビザを取る時も大卒でないと事務職ビザがおりなかったりするから。
そして大学を出なくても社会的に成功するロールモデルをもっと作ること。
という趣旨のことをおっしゃっている。
大学は大学らしく、基礎学力のある学生だけ受け付けて大学教育の質を確保すべきと言う考えですね。
全面的に賛成です。

私最近、朝比奈なを「進路格差<つまずく生徒>の困難と支援に向き合う」朝日新書 を読みました。集団生活に器質的になじめず、空気を読まないことでいじめられるなどして、不登校になる人たちが、義務教育から押し出された時に向かうのが、偏差値序列の最下層、または偏差値測定なしとされる、底辺校=教育困難校通信制高校
かつてこういった高校は、いわゆる「ヤンキー」達の吹き溜まりだったのが、今やそちらは少数派。まじめに出席するが誰とも交流せず先生の問いかけにも答えず、じっと座っているのが大多数だそうです。
ところが義務教育の9年間を取り戻すのには三年間では足りない。算数の四則演算、国語なら主語と述語から熱心に寄り添って教える先生方と褒められると頑張ろうと思えるようになった生徒たちもすぐにお別れの時期が来てしまう。
生徒たちは非常に自己評価が低く、自分で計画立てて行動したり、自分の将来にむけて決断をするという経験がまったく不足している。ゆえに就職面接の当日になって「自分なんか」と思って黙って表れない。それがどんなに自分の評価を下げているのか思いもせずに。だから高卒時の就職の方がかえって難しい。そこで専修学校や大学へ“進学”する。
結局そこでよい先生や指導者に巡り合えばよいけれど、授業料払ってもらうこと目当てのお客さん扱いする学校で放置され、さて専門学校は出たものの就職はない、大卒の資格は得たものの就職戦線であっという間に傷ついて、へたすりゃ何百万もの教育ローンだけが残るという。
ここで筆者は、義務教育レベルの基礎勉強を定着させること、礼儀とか履歴書で自分の性格や長所をアピールできる、自分のことは自分で決断できる、計画立てて物事を理解し、質問力もつける、いわゆるソフトパワーの養成が大事だということを言っていて、私も全くその通りだと思いました。
現実にFラン大学と呼ばれているような、競争倍率1倍以下の大学では、高校以下の教程の学び直しをしているという。だったら高い学費を払って、特に教育ローンを組んでまで行くところかと思うのです。
確かに最低限大卒の資格を得ておかねば、応募もできない職業もあるかもしれない。でも基礎的な学力と社会訓練なしでは、例え就職できたとしてもそこから先うまくいかずに退職、バイトや派遣の繰り返しになっている例も多いといいます。
無償化すれば教育ローンはいらなくなるというけど、それは家庭から国家に負担が移っただけ。現状で4年間、時間をかけて出てくる費用対効果を考えると現状、ゾンビ大学やゾンビ専門学校の延命に無駄な金をかけるだけになると予想できます。大卒という資格を得ても、それに見合う待遇も得られなければ本人も可哀そうだし、4年間も無駄に過ごして、社会的損失ともいえると思う。

私の提案としては、センター試験でも高卒認定試験でもいいのですが、そちらでしかるべきスコアを得た者だけが、大学の学費を国から援助してもらえる形がよいと思う。
そうすれば、授業料稼ぎやアニメや音楽映像と言った人気職業を模した過程で設立され、在籍する意味の感じられない、卒業時に何の就職アピールも身につけられないような専門学校や大学は淘汰されるのではないでしょうか。
その上で、大学の学費補助を得ようとするために高校卒業程度の基礎学力をつけるための予備校みたいな存在が出てきて、少なくとも学力的にまっとうに人間を育ててくれるような機関が発達してくる。それは本人の幸福のためにも、社会全体としても望ましいことだと思えるのです。