かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

目黒冬弥「メガバンク銀行員ぐだぐだ日記」

M銀行ってみずほ銀行のことですね。3行合併でシステム連携がうまくいかず3回も大規模クラッシュした様子を中の人として迫真の演技でもって描写しています。いや演技だなんて失礼なことを言ってしまいました。システムの事なんて支店勤務者は分かるはずもなくお詫びと右往左往している大変な様を迫真の、描写をしています。
東日本大震災での本人確認での引き出し方法や、本人の勘違いや悪意で残高以上に引き出されてしまったお金の回収にまつわる白黒も人情噺のようで印象的でした。
転勤して配属になった支店で運悪く支店長に嫌われてしまうくだり。すごくよくわかります。目黒さんは運が悪く嫌われてしまいましたが、私の場合は末端管理職になりたてで不注意からミスして支店長の逆鱗に触れてしまい酒の席でも隣に座ると「フンっ」と無視されたりと、と似たような自分事を思い返すも懐かしい。懐かしいと言える程度に時間も経ったし現役時代の業界からすっかり離れたということもありますけど、何よりその後に赴任してきた支店長から何くれとなく温かい励ましをいただいたからであって、その辺も作者の目黒さんと重なりますねー。
営業が偉くて事務は偉くない、人事考課で支店長になる可能性はゼロ、とか振り込め詐欺の被害を少なくするためにやろうとしたことを上層部や本部は「責任持てないからな」と言ったり、かと思うと支店に車椅子を設置する件では認定資格を取り、データを集め、営業から事務に転落して?きた不良行員とされていた方の素晴らしいプレゼンの協力を得て全行に広がって実行できたり、作者目黒さんの行動力と叩かれても叩かれても起き上がる前向きな姿勢はなかなかマネできるものじゃなく感嘆したりほろりとしたり。
私も自分の経験と重ねた一例をここで挙げてみましたが、作者目黒さんと一緒になって悔しくなったり喜んだりして一晩で全部読んでしまいました。
インデックス投資家としては、利息利ザヤ商売から手数料稼ぎ商売に移っていく銀行業界で高手数料の投資信託を売りまくるくだり、なんでそんなにやるかなーという舞台裏の必然性が描かれていてとても納得、というか自分も追い込まれたらそうなるかー、という立場での読みが新鮮でした。

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