本多静六さんが「私の財産告白」で紹介していますが、株を買う。値が倍まで上がったところで半分売る。残り半分はタダで手に入れたものと考えて気にしない。
というのがありますが、そうそう手持ちの株が倍になるわけではありませんよね。
配当ではなく、投資資金を回収するという段階に至って株を売る。どうしたって自分が買った時の値段以上で売りたい気持ちはある。持っている間だって、時価が自分の取得価額を下回って評価損が出ていれば落ち着かない。
ですから証券会社のマイページなんか見ない方がよい、という処方箋が出てくるわけです。
そういう人間の心理があるから、一括投資ではなく、心を休める方法としてのドルコスト平均法をお薦めしたくなるわけです。
一括投資した時期がたまたま、暫くそこから時価が下降する時期に出くわすととても動揺します。でもドルコスト平均法で、一括ではなく定期的に金額を均等分割して投資していけば、近辺での高値掴み感は和らいできます。そこから下がっていったら、下がった分だけ平均取得価額が少しずつ下がってくれるから。
下がっている間は売るな、我慢して持っていたらそのうち上がるよ。とよく言われますよね。そのうちってどれくらいか確たることはいえないけれど。
余剰資金を投資しているという計算と自覚と覚悟があれば、強く握って離さないでいることはできますが、出口戦略として、淡々と積んだように淡々と取り崩すという段階で、取得価額を割り込んだ部分を売って行くというのは想像以上に難しい作業になる予感がします。
まだその時期を迎えていないので、いっそのこと自分が死んで相続になっちゃってもいいや、位にストロングホールドするかもしれません。
荻原博子さんが、「つみたてNISAは最悪の制度だ。買った商品が20年後の出口で取得価額を下回ったら、その時の時価額で取得したものとされるから、その後に売ったら余計に課税されるからだ。」とおっしゃっています。100万円で買って、20年後に80万円になっていて時価額で特定口座に払いだされ、その後に100万円で売れたら、本来損益0のはずなのに、譲渡益20万円に課税されるーそういう仕組みであることは事実です。
でもつみたてNISA口座に保有している商品は、iDeCoが60歳まで払い出し不可能なのとは異なり、いつ売ってしまっても自由です。またインデックス投資商品がほとんどなので、値が下がっている確率は低いでしょう。低いだけで0ではありませんから、そこは荻原さんが言う通りです。あくまで企業と株式市場の未来に賭けている、賭けていることはまちがいありません。
まあこの記事自体は、余剰資金で投資をすべきって前提をふっとばして書いている感じもしますし、わざと過激な物言いで耳目を集めようって話なのかもしれませんね。
しかし時間をかければ敗者復活ありのギャンブルだと私は思います。評価損がでても強く握って離さない。評価益が出るまで待つ。そして相続まで行ってしまう、かどうかはわかりませんが、その確率は低いでしょう。
そしてドルコスト平均法で取得して取得価額の平均を下げたり、投資商品を分散することで評価損が出るかもしれないが同時に評価益が出るかもしれない状態を準備する。
ですからリバランスというのが最も大事、それは、2つの面があって
1. 安全資産を適量持ち、下がっても平気でいられる程度にリスク資産を保持する
2. 上がったリスク資産を自動的に売却し、安全資産に戻すことで無意識のうちに下がるリスクを部分的に回避する。
ということなのですね。