円安が進行して、「これだったら外貨を持っていればよかったのに、1ドル100円でドルを仕込んでおけば今129.79円(2022.4.30現在)だから100万円持っていたら129万円だよ、損した―」なんて思っていませんか。
通貨分散は日ごろから仕込んでおくこと
円安ドル高になってから動く、円高ドル安になってから動く、どちらも意味がありません。今は過去数か月、一年程度を比較して急激に「円安になった」と思っているかもしれませんが、今仕込んでこれから「もっと円安になれば」ウハウハ、これから「逆に円高に進んだら」真っ青ですか?
将来の時点から見て、今が円安であるとか円高であるとか言えません。それは過去を見たって同じです。1ドル360円時代から見れば円高、1ドル80円時代から見れば円安。どのスパンで考えるかで変化の傾きは右肩上がりになったり、右肩下がりになったりします。
とはいっても2015年6月の1ドル124円の円安の山をやすやすと突破してしまったのも事実です。
どの通貨に分散するのか
さて当たり前のように通貨分散=米ドルみたいに例をお話してきましたが、通貨を分散するんだから円と米ドルに分散するのでは不十分。もっと沢山の通貨に分散するべきではないでしょうか。外貨=米ドルみたいに考えて、円安円安言っていますが、もちろん貿易決済や資本取引に占める米ドルの存在の大きさを十分考慮すべきではあるものの、米ドルがすべてではありません。
だったら、ユーロ、豪ドル、トルコリラ、南米ランド、中国元、ニュージーランドドル、ブラジルレアルといった他通貨にも分散すべきでしょうか。
どうやって通貨分散するのか
米ドルを現金で持つ?それともドル建て金融資産を買う?他通貨建てもどうする。まず通貨そのものを持つことはまったくお薦めしません。利息がつかない上、為替相場の荒波に揉まれて乱高下するからです。なんとなれば、買ったとたん下がったままという非常にまずいことだってある。しかも証券会社や銀行で外貨を買った場合、別の金融機関や現金で払いだしたりすることはできません。
外貨預金はもっともだめ
この記事で解説しましたが、為替差益は雑所得で確定申告が必要になる場合があるのに、為替差損は同年に発生した雑所得としか損益通算できない、預金保険制度の対象外、特別高金利キャンペーンはほとんどが短期間で自動継続なんぞした日にゃ、見た目はそれでも高金利かもしれないが、為替変動のブレははるかに大きく、円での手取りが大きいタイミングで円転して引き出そうなんて芸当はまずムリ、ということで、はっきりいってクソです。やめましょう。
外貨MMFはちょっとはまし
外貨MMFを源泉徴収有の特定口座で保有していれば、円転した時の為替差益は自動的に源泉課税の対象としてくれるし、株式の譲渡損と通算することもできます。何より源泉課税で終了して確定申告と切り離すことができる。これは住民税や健康保険料の計算に算入しなくてよいという利点があります。
預金保険制度の対象外であることは外貨預金と一緒ですが、証券会社の資産とは分別管理され、例え一社に一千万円以上入れていても保全されています。
証券会社によっては米ドルMMFに置いておくと、米国籍ETFを買う時に直接そこからドル建てで買うことができる場合もありますね。
とはいえ、購入単位が大きくないと証券会社に支払う売買レートの差額で支払う為替手数料*1が大きくなりがち。そして為替変動の荒波に洗われている点は同じ。今はたまたま円安だから円高時に仕込んでおけば為替評価益が出ていますが、円高になれば評価損となることをお忘れなく。
また豪ドルみたいに金利誘導の結果、利率0.00%になってしまうこともありますね。
ということで投資信託だ
ですから外貨建て資産を持つなら、日本円で買える外国に投資する投資信託が通貨分散には一番ましです。特に外国株式に投資する投資信託は株式が投資先なのでインフレにもある程度追従してくれます。先進国株式投信や全世界株投信のインデックス型なら、時価総額ウエイトの指数を採用しているので、米ドル建ての割合は高いですが多数の通貨に分散することになるし、投資家は円で買って円で売る、運用会社はそれをまとめて外貨建て資産に投資するから為替レートも個々の投資家が外貨買ってから外貨建て資産を購入するより、はるかにお得になるのじゃないでしょうか。
まとめ
いつも同じことを言っているわけですが、
・外貨預金⇒ダメ
・先進国株式・全世界株式インデックスファンド⇒推奨
です。
*1:値幅上下各50銭とすると、1ドル買い相場100円なら売り相場101円。101円で1ドル買って、瞬間1ドル売って円に戻すと100円になってしまう。