かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

取れる所から取る? インデックスファンドの一物二価問題

政府は防衛費や国際協力のお金はポンポン出す癖に、少子化対策では「財源がないから消費税増税で」と言ったとたん集中砲火を浴びたので、「社会保険料増額で」と言い換えて国民負担率47.5%*1五公五民でさらに負担増やすのかと批判を浴びていますね。
まあ、早い話、彼らは選挙に勝つのが主要最大目標なので、自分をバックアップして投票をしてくれる層ばっかり見ていて、そうじゃなければ投票行動に影響するような抵抗がなく取りやすい所から取るということでしょう。
今日はそこの批判を掘り下げるのではなく、これってインデックスファンドの一物二価も同じ構図じゃね、という話です。
インデックスファンドの主要形態は、ファミリーファンド方式といいまして、個別のインデックスファンド商品に対応するファンドというのはベビーファンドと呼ばれるものになっている。そこから直接投資先である債券や株式、REITを買い付けるのではなく、例えば全世界株式のファンドであれば、外国株式ファンド、日本株ファンド、新興国株式ファンドという、種類別に特化したファンドの受益証券に投資する形態をとる。

出典:三菱UFJ国際投信 オール・カントリー交付目論見書

マザーファンと呼ばれる、これら特化したファンドが実際に株式を買い付ける。ベビーとマザーが要るのでファミリーファンド方式と言われるのですね。
マザーファンドにおける評価の変動は、投資額に基づく割合で各ベビーファンドに帰属する。
この方式の利点は何かといいますと、マザーファンドに複数のベビーファンドがぶら下がることが可能になるということです。

例えば先のオール・カントリーにおける外国株式インデックスマザーファンドの2022.4.25運用報告書(全体版)を見てみますと
https://emaxis.jp/pdf/zenunyou/253425/253425_20220425.pdf
P68~70に渡り「②当該投資信託を投資対象とする投資信託ごとの元本額」で、期末日現在にこのマザーファンドへ投資しているベビーファンドがわかります。79本ありますね。確定拠出年金適格機関投資家限定ファンドなんてものぶら下がっています。
仮にAファンドではP株式に0.5株分投資をしたい、BファンドではP株式に0.5株投資したい、というときに、ベビーファンドで買い付けるとすれば端株を買うか、制度がなければ1株単位になるまで待たなければいけない所、マザーファンドに買い付けを集約することで1株即座に購入できるようになる。
また購入単位が大きくなるので、ベビーファンド毎に発注する煩雑さと売買手数料のボリュームディスカウントが受けることが可能となる。ベビーファンドごとの資金流出入のうねりが平準化されるので現金をなるべく減らして投資に振り向けて置くことがしやすくなる。こういった利点があるわけです。

ところで、インデックスファンドの商品には、使っているマザーファンドがまったく同じである商品が複数併存している、ということが起こり得ます。
例えば、昔設定した商品は信託報酬が現在の基準からすると高め。後発でローコスト設計をしてネット証券を主体に売り出した商品は信託報酬が低め。かつて窓口販売用に開発したけど、今度はネット専用だったり企業向け確定拠出年金用に新たに商品開発したら、投資対象は同じだった。ゆえにマザーがまったく同一、という信託報酬率の異なる商品が並び立つ。これをファンドの一物二価問題と呼んでいます。

併合しちゃえばいいんじゃない、という話になりますが、そのハードルは結構高い。信託報酬は運用会社だけでなく受託会社の取り分も影響してくるので、おいそれと低い方に合わせるわけにもいかない、という事情もあるかもしれない。

そこでやっと本日のお題になるわけです。
この一物二価問題、政府与党が「取りやすい所から取る」と同じ構図ではないか。
金融機関が、窓口や営業員の足で高めの信託報酬の商品を積極的に売りさばく。または長年月経過したら現在の信託報酬値下げ競争からうまいこと取り残されて、投資家も気が付かないのか、面倒なのでそのままなのか、利益が載っていて売ったら税金が大きいのが嫌なのかわかりませんが、放置されている、高め信託報酬タレ流れ込み状態の商品がある。
黙っていても高めに信託報酬が入ってくるのなら、こちらはほっておいて、ネット向けコストにうるさい客たちには、そちらで温存した体力を少しばかり使って、低めの信託報酬の商品を売って販路拡大だー、という誘惑に抗し切れるものではありませぬ。
以上の内容はまったくの推論でして、数値的に裏付けを取り確証を得た、というようなものではございません。
以上、取りやすい所から取る問題は、投資信託一物二価にも潜んでいるのではなかろうか、というお話でした。