かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

アベノミクスは失敗である

前回記事の続きです。
otosak.hatenablog.com
前回記事を読んでからこちらをお読みください。

お金にまつわる三つの真実。
一、 お金自体には価値がない。
二、 お金で解決できる問題はない。
三、 みんなでお金を貯めても意味がない。

P88でお金はただの紙切れ、惑わされたらあかん、に続けて
ハイパーインフレで失敗する国は、生産力の不足をお金という紙切れで穴埋めできると勘違いした国や。しかし、お金が直接パンに化けるわけやない。自然の恵みや働く人たちが追って、生産力があるから作れるんや。ジンバブエの生活が苦しくなったのは、お金が増えすぎたからやない。物が作れない状況にあったからや」(前掲書)

アベノミクスの三本の矢ですが、
① 大胆な金融政策 2%のインフレ目標が達成できるまで無期限の量的緩和を行う
② 機動的な財政出動 公共事業の減少に歯止めをかける
③ 民間投資を喚起する成長戦略 各種規制緩和を行い、投資を誘引する

これを先ほどのお金にまつわる三つの真実に当てはめますと、

量的緩和でお金を増やしても、人が働いたり天然資源が活用されたりして生産物やサービスの増加がついてこなければ何にも意味がない。需要が増えて供給が増えない状態で通貨量が増えればインフレになるはずですが、なりませんでした。将来が不安だからみんな貯蓄したり金融商品を買ったのかな、と思います。

公共事業の減少に歯止めをかけても、公共事業がらみ政商がらみの一部の業界だけ潤って全体の需要喚起に至らなかった。お金は呼び水でしかありませんから、みんなが喜んで勘違いしてお金を使わなければ経済は活性化しません。
公共事業関係投資にお金が回っても、投資したお金の割に大したものができなければ、新たな価値創造レベルが低くて、無駄遣いと言える。一部業界のみにお金が回っただけだった。その上2014年4月に消費税を増税して家計に冷や水を浴びせたのが決定打となった。雇用が増加したとの声もあるが、非正規雇用+350万人、正規雇用+150万人(2012-2019)。非正規雇用ばっかり増えているし、女性や老人の就業者増加は将来への不安によるもの。

三つ目の規制緩和ですが、これが全く不十分だった。これが一番大きい原因でしょうね。規制緩和して既得権益へ切り込むアントレプレナー達を力づけ、新しい産業が生まれれば、そこへ投資して給料を払ったり研究開発費を投下したりするし、皆が喜んで新しい商品やサービスにお金を使ったり、安くて良くなったものにお金を使えば経済は回り始めたはず。だから一番目や二番目はどうでもよくて、まず三番目に着手すべきだったのです。

一番目は効果があったと言われますが、株価が上昇しただけ。三つの真実によれば、これは見せかけの繁栄。化けの皮が剥がれ落ちたら終わり。

ジム=ロジャーズさんも言っていましたよね。「お金の量を増やして繁栄した国家はない」って。三つの真実に照らせばその通りです。

一番最初の認識に返って、お金を渡したら他の人や喜んで生産してくれたものをくれたり働いたりしてくれる。しかも払う対価に十分な価値が返ってくること。

お金って結局触媒というか、呼水でしかない。そこから人の行動を変えられるかどうかにかかっている。
政策のセットって、部分的に実行しちゃうと却って事態が悪くなることが多いですね。現役時代の嫌だった同僚課長みたいなもんだわ。部分最適ばっかりで全体最悪に陥るっていうパターンと同じですか。

現在、お金はダブついているけど将来の不安からみんな手持ちにしている。だから預金金利は低い。その状態で円安により輸入品価格が上昇してコストプッシュインフレになれば、意図せぬ増税を受け入れざるを得ないことと同じく、みんな少しずつ購買力を奪われていく状態になるでしょう。円安を是正するために政策金利を上げる術はなし。

アベノミクスの失敗は終わったわけではない。
現在もアベノミクスは続いている。その効果を受け続けている。