かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

紫苑さんの生活は反面教師にしないと

toyokeizai.net
自営業、国民年金5万円で暮らす。紫苑さんが人気です。
会社員じゃなくて、自営や専業主婦で60代まで来た人たちは、かつては国民年金が任意加入だった時期もあって支給額が少ないです。ネットの家計相談でもお一人、国民年金だけの場合はほとんど見当たらないところで、「少ない年金でも暮らしていけるんだ」という先駆者として希望の光を与えた、という見方もあるのでしょう。
でもね、ちょっとまってください。
あなたは本当に月5万円で生活していけると思いますか。
1.食費
月1万円ということは、一日320円で賄わないといけないということです。一食ではありません、一日ですよ。ヤマザキのロイヤルブレッドや、pascoの超熟、フジパンの本仕込は買えない。プライベートブランドが半額になれば、というところ。パン食にするのであれば、パンの質が落ちます。紫苑さんはパン焼き器でパンを焼いているようですが、パン焼き器の初期投資が必要なほか、然るべき出来映えになるまで時間がかかるんじゃなかろうか。また総菜などの加工食品もほぼ無理でしょう。旬の野菜はいいとして、肉はどうしてるんだろ。刺身もごくたまにでしょう。これは想像ですが、逆に考えると旬がない日配品などは、質を落とさないといけないかもしれませんね。お菓子は買わないそうですが、そうだろうなあと思います。
みなさん、お惣菜ほぼ買わず、お菓子なしで過ごせますかね。大半の人にはきついでしょうね。私もお菓子をつい買ってしまうので脱落組です。
2.趣味
紫苑さんは着物が趣味だそうで、お金がかからない趣味として着物のリフォームや別の物への仕立て直しを趣味としている。これも一般人は要注意。若い頃、中年現役と過ごすうちにそれほどお金をかけずに済む一生ものの趣味を見つけた人はいいんですが、そんな人ばっかりじゃない。ネット見てればWiFi固定費だけで済むと言えますが、無聊を慰めたり、人との交流が欲しくなったりしたときに、あちこち手を出したり外出したりするとやっぱりお金がかかります。紫苑さんは中年までに「桐の箪笥が抜ける程着物を買った」とありますから、着物に対する目利きも鍛えたし、着物を所有する満足感も十分味わったからこそ「もういいわ、リフォームだけで」となった。
仏陀だって、王子として何不自由ない生活をして、奥さん貰って子供も(いたのかな)いて贅沢三昧勉強し放題だったからこそ、すべてを捨てて解脱へ向けて一切の欲望を断つことができた。瀬戸内寂聴さんだって、恋愛しまくって金をつぎ込みまくって生活したからこそ出家できた。人間、欲望にいったんはまみれてお腹いっぱいにならないと、すべての欲望から解き放たれて出家することなんてできない。
出家とまでは行きませんが、やりつくしたといえる程でないと、欲を手放すことは難しいというのは私たち凡人は心にとどめておく必要があると思います。
3.持ち家の維持費
賃貸が不安で家を買った。それはいいけど、それで貯金がすっからかん。今も月5万円で赤字にならず少しずつお金を残していることはできているそうです。でも10年に一遍は水回りやエアコン、風呂釜はダメになるし、15年に一度は外壁塗装と屋根の防水が必要になると思います。持ち家は管理費や修繕積立金を取られないけど、自分で積み立てて多額の修繕費の用意をしないといけない。そこらへん、記事には何も書いてありませんが、用意はしているのでしょうか。もしかして、死ぬまで騙し騙し使って応急措置だけで済まそうってことなのでしょうか。
4.投資
投資信託や株を買っていたけどリーマンショックで大損して手放した、みたいにどこかに書いてあったと思いますが、その時じっと持ち続けていれば、とアドヴァイスする人がいたらなあと思いました。それから69歳で生活を見直すまで生命保険につき2万円払っていたらしいし。いまさらですけど。

紫苑さんは、数字を見るとくらくらする性格だから、今の毎月5万円入ってきたところでやりくりする、自宅は家賃や共益費で強制出費がない。そのことで心の平安を得たのがなにより。だから自分の性格に合わせて出来る範囲で将来の危険を避けて心の平安を取り戻す、というやり方に至った。とすればこれは紫苑さん唯一の解であり、他の人は例え年金額が月5万位でおんなじだ、であっても、自分の性格に合わせてアレンジするなり付け加えてものを考えるなりしなければ成り立たない話ですよね。
だから投資や生命保険も含め、月1万円の食費のストイックさ加減を知って、安易に安心して自分の状況に目をつぶるのではなく、紫苑さんのことを反面教師として準備しなければいけないと思いました。