かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

ピアノの調律に来ていただきました。ピアノの進化にびっくり

2023.6.21、ピアノの調律に来ていただきました。10時から11時半近くまでかかって調律をしていただいた。その後お金を払って、雑談タイムに持ち込む私。
MピアノのM夫人にいつもきていただくのですが、大腿骨に異常が出て、長時間歩いたり立ったりしていてはいけないと言われて、代わりにいらしたのがTさん。従業員ではなく個人事業でやっている方ですが、MピアノのM社長と、Tさんの旦那さんがお知り合いでM社長から「(M夫人は)動けないので、T夫人に手伝ってもらえないか」という話が来て、Mピアノの仕事を手伝っているのだとか。
M社長もM夫人もピアノ調律師、TさんもTさんの夫もピアノ調律師。ご夫婦でピアノ調律師というカップルは多いのですか、と聞いたところ、それはわからないけど、お互いの仕事に理解があるので一緒に生活しやすいのです、というお答えでした。
Tさんは文京区にお住まいで、元々Tさんの夫の実家が××業(聞いたけど失念)をしていた所の一軒家に住んでいる。そこに現在、自分の古いアップライトピアノ、お客さんから貰ったアップライトピアノ、預かって修理しているグランドピアノ、預かって修理中のグランドピアノの中身だけ、が家の中にあるのだとか。多分元々工場みたいな所だったのかと思います。ピアノが4台位家に納まる広さがあるということでしょう。
グランドピアノの中身だけってどういうことですかと伺ったら、今調律が終わったばかりの我が家のピアノの前蓋を開けて見せてくれました。両側にねじ止めされた弦とハンマーのセット部分が見えますよね。さらに鍵盤の蓋をはずして、2か所のねじをはずせば一人で持ち上げられるそうで、修理に時間がかかる作業の場合、車で出かけて一人で外して積んで持って帰るのだそうです。
ハンマーの下部に隠れている糸でつないだ部分が切れているケースでは、ピアノの設置場所でちまちま直していると長時間お邪魔してお客さんを拘束することになるので、持って帰って直すのだとか。一日半ぐらいで仕上がるそうです。
「ピアノは誰でも音が出るけど、演奏する上での持ち運びは出来ない、結構不便な楽器ですよ」とおっしゃっていた。
しかし機構部分だけはずして一人で運べるというのは、初めて知ってとてもびっくりしました。でもハンマーでたたかれる弦が強く張ってある金属の枠は88鍵分の幅をとるので、折り畳み式にできるわけではない。ピアノは弦打楽器と言われるように、弦を強くたたいて音をだすので、相当な張力で弦をひっぱっている。丈夫な金属枠は折り畳みにはできないです。
したがって、コンパクトに分解して持ち運んで、出先で組立、みたいなことはできないのだそうです。
また、最近のピアノの進化についても聞いてみました。
うちにあるのはサイレントピアノと言って、弦を叩いて音を出すアコースティックのモードと、弦を叩くハンマーを弦の直前で寸止めしてハンマーの動きだけをセンサーで捉えてデジタル音をヘッドホン端子から出す電子モードの2つを持っている。
これだとハンマーの機構は本物のピアノだから電子モードでもタッチは同じで、音だけヘッドホンで聞くことができるから、騒音にうるさい現在の住宅事情にぴったり。
とはいっても安物なので、打鍵の強弱に電子音がそれほどなめらかに対応してくれるわけではないし、音もそれほどよくない。高い奴だとセンサーの段階もなめらかで、色々な音色に変えたり、ホールで聞いているような音場を設定できるものもあるらしいですが。
それがトランスアコースティックピアノと呼ばれるもの。
ピアノでは、弦を叩いても反響板がなければ大きな音が出ない。そこを逆手に取って弦と反響板の間に加振器という電子部品をはさむことで、アコースティックピアノモードでも音量調節が可能で、音色も変えられるし、消音してヘッドホンでも聞けるという進化を遂げた。
ヤマハ | TransAcoustic™ Piano (トランスアコースティックピアノ)

それだけでも驚きですが、最近はもっと別のタイプが出てきた。
商品名、アバングランド。
こちらは何と、ハンマーアクション機構の先、叩かれる弦をすべてなくしてしまった。
ヤマハ | AvantGrand(アバングランド)
グランドピアノの弦の部分を全部ぶったぎったような形をしている。つまりピアノのタッチはアコースティックと同じものだけど、その先はすべてデジタルが担っている。
Tさんが言うには、「ハンマーが叩くものがないので、ハンマーのフェルトがヘタって位置調整する必要はないし、弦の張りを修正する“調律”作業が一切不要となります。」
それってピアノ調律師の仕事が、ハンマー機構の修理に堕してしまうってことですよね、と思ったが口には出せませんでした。プロでも24時間いつでも練習できるし音が狂うことはないので割り切って練習用として使い倒すにはいいらしい。
まあとにかく、持ち運びピアノは出来ないけれど、音を出すことに関しては随分と進化を遂げていましたね。住宅事情も大いに関係しているでしょう。
さらに室内で組み立てる防音室をヤマハは売っているけど、そのコンパクトな部屋の内壁をいじってホールみたいな残響にすることも可能らしい。防音室ってどうしても空間が狭いのにそんなことできるのか、私は半信半疑ですが、部材を貼ったり調節がいるので随分とお金がかかるのだそうです。だったら本番間近にホール借りたりスタジオ借りる方がよいと思ったけど。
Tさんがおっしゃるには、趣味として楽器をやるのは一生モノではあるが、演奏するために防音室を作ったりするのでお金がかかる。新築で防音室を作る時は、壁に鉛を入れると防音効果が高いのだが、かなりの重量となるので、コンクリート打ちする前に、地盤調査をして、水が出ないか、沈まないか検討してオッケーとならないと鉛の壁は施工できないのだとか。
ご自宅兼仕事場は「簡易な防音ですよ」とおっしゃっていたが、壁に石膏ボードやら埋め込む工事をした、ということは全然簡易じゃない、本格的なやつですね。多分鉛を入れるのが本式だということらしい。
ついあれこれ聞いて30分も引き留めてしまいました。勉強になりましたね。
今のアップライト型のサイレントピアノ、配偶者が中古で安く買ったやつですが、新しい製品を見ちゃうと「買いたいな」と私でも物欲が刺激される。私は音取でピアノを使う位で演奏なんかできるわけでもないのにね。