かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

分配金支払時に源泉所得税から外国税額控除

次のものが新たに、2020年1月1日以後支払う分配金につき、源泉徴収される所得税等から外国税額が控除されることになっています。
非上場の公募投資信託
ETF、上場REIT、上場JDR(株式数比例配分方式)
※株式数比例配分方式以外のETF、上場REIT、上場JDRは以前から外国税額控除対象でした。
対象となる外国税額は分配の対象となる決算期中に支払ったものだけです。
[運用会社]
1 外貨建資産割合=外貨建資産の期末純資産額/期末信託財産純資産総額
2 収益1円あたり外国源泉税額=期中外国源泉税額/期末収益分配可能額
[販売会社]
1 普通分配金×収益1円当たり外国源泉税額=外国所得税
2 (普通分配金+1外国所得税額)×外貨建資産割合×15.315%=控除限度額
3 (普通分配金+1外国所得税額)×15.315%―1又は2のいずれか少ない額=源泉所得税+源泉復興特別所得税の額
(普通配当金+外国所得税額)×5%=住民税額 (住民税は外国税額控除がありません)

ということは、分配をしないファンドだと、信託財産から租税が支払われると経費となっておしまいということですね。
ETFは分配可能額をすべて分配することが多いのですが、非上場の投資信託は無分配が多いです。そうすると外国源泉税額は信託財産から費用として引き去られるだけで、税額控除よりも不利な印象ですね。
例えば、分配しないで、売却時にキャピタルゲインで課税だと、
譲渡利益100-10外国源泉税額=90 90×20.315%=18.2835
これが外国源泉税額を払った決算期に全額分配を受け、しかも外貨建100%だと、
分配金100×15.315%-10外国源泉税額+100×5%住民税率=10.315
断然有利なように見えます。

しかしながら、
・基準価額増加分すべてを分配するとは限らない
⇒源泉されないキャピタルゲイン部分と外国源泉税が控除されて入ってくる配当等収益部分と、基準価額が増加する主たる要素は2つあります。
・ファンドの種類によるが、すべて外貨建資産100%とは限らない
⇒期中の外国源泉税額が100%控除されるわけでもない。
・分配金をすぐさま同じ銘柄に再投資しても、税引き後なので複利効果は減殺される
このため一概に有利不利はいえません。

今回は、三菱UFJ国際投信の資料を参考に、分配型と無分配型のどちらが有利か、一つの例で計算してみます。
まず分配型の例ですが、100%外貨建資産とし、外国源泉税額は10%、キャピタルゲインは期首純資産の3%相当、受取配当も3%相当とします。決算期中に生じた、キャピタルゲインを含むすべての利益を分配するものとします。外国税額控除をフルに使える例です。
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1期目 期首10,000の純資産ですが、キャピタルゲインが3%の300、受取配当も300生じていますが、外国源泉税額10%引かれて270が入ってきます。米国側の期末純資産は10,000+300+300-30=10,570。日本側で増加純資産すべてを分配しますので分配金は570。分配後純資産は10,000。分配金570+外国源泉税額30=600を課税標準として、15.315%の源泉所得税額+復興特別税額が91円算出されますが、外国源泉税額30を全額控除出来て61が納付税額になります。住民税は課税標準600×5%=30。投資家受取額は、分配金570-所得税等61-住民税30=479。これを10,000に直ちに追加して投資します。2期目の期首純資産価額は10,000+479=10,479となります。以下これを繰り返します。
これでたとえば15期終了時点では、分配後19,236+受取額921=20,157を所有していることになります。
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一方、無分配型ですと、同じく1期目、期首純資産額10,000で出発してキャピタルゲイン300と受取配当300マイナス外国源泉税額30で期末純資産額10,570。これがそのまま翌期首に持ち越され、同様にキャピタルゲインと受取配当の増加が繰り替えされるとします。それを15期目に売却したとしますと(22,962-10,000)×20.315%=2,633が源泉所得税等及び住民税として控除され、投資家の手元には22,962-2,633=20,329が残ります。

そこで1期目終了時点、2期目終了時点、・・・15期終了時点と各時点でどちらの手取額が多いのか比べてみました。そして無分配型マイナス分配型をグラフに表示します。f:id:otosak:20210521115819p:plain複利効果がよりよく効いて無分配型は12期目から分配型を圧倒するようになります。
これは一つの例で、先ほどもいったように、条件や投資家の行動、例えば直ちに再投資するかなど、によってまったく違ってまいりますので、ご注意ください。