かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

運用報告書に参考の総経費率はいらないと思います

低コストインデックスファンドの比較記事を書こうと思って、運用報告書を見ていて気になったことを先に書きます。
ファンドの決算期の実績をまとめた運用報告書で私が見るのは、「一万口当たりの費用明細」です。例として設立第一期を迎えた“ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット)”を見ていきましょう。設立第一期ですので、一年間に満たない期間なので採り上げました。

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第一期2020.11.20運用報告書全体版 2ページ、3ページ

金額欄。項目ごとに一万口当たりの費用の算出方法が違います。f:id:otosak:20210602183251p:plain
決算期は、2021.6.29-2021.11.20で145日。信託報酬率は
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なので10,788円×0.1144%×145日/365日=4.9027円 なるほど。
売買委託手数料、有価証券取引税、その他費用は、それぞれ
期中に発生した費用÷期中の平均受益権口数 ですね。平均受益権口数が載っていませんから計算で確認することはできませんが、2021.2.20更新の請求目論見書1ページによれば、当初設定が1口=1円ですので、正確には、期中に発生した費用÷期中の平均受益権口数×10,000だろうと思います。
期首から期末までの間に、日々純資産総額の評価額は変動しますから、基準価額も変動する、
※当初元本1口=1円の場合、基準価額=純資産総額÷受益権総口数×10,000
解約と新規申込があるから、受益権総口数も日々変動する。
従って、一万口当たりの信託報酬は、期首から期末まで平均基準価額でずっと持っていたとしたらこれだけ、売買委託手数料、有価証券取引税、その他の費用は、期首から期末まで平均受益権口数×10,000で持っていたらこれだけ、という計算なのでしょう。

次に比率欄です。
一万口当たりの費用明細の比率は、「10,000口当たりのそれぞれの費用金額を期中の平均基
準金額で除して100を乗じたもので、項目ごとに少数第三位未満は四捨五入しています。」
ちょっと意味がわかりづらいです。
一万口当たりの費用金額÷期中平均基準金額×100
とはいったい何を意味するのか。

純資産総額=保有資産の時価評価額から運用管理費用を差し引いたもの
基準価額=純資産総額÷受益権総口数×10,000 ※当初設定1口=1円の場合
保有資産の時価評価額は常に変動しますので、一日一回計算される純資産総額も、毎日変動します。
投資額に対してどのような比率で費用を負担しているのか、決算期間全体を通じて、正確に算定することは困難なので、
10,000口に対するその期の各費用額 を
その期の期中平均基準価額 に占める割合で表示する。
いいかえると、期首から期末まで期中平均基準期間で投資していたと仮定して、そのうちの何パーセントを各費用として支払ったか、割合を表示するということですか。
次に(参考情報)として総経費率が載っています。
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ここで問題なのは、費用の総額と言っておきながら、募集手数料、売買委託手数料、有価証券取引税を除いていることですね。運用報告書ということは、その期の実際の成績を投資家は知りたい。「期中の運用管理に係った費用の総額」というのであれば、実際にかかったものすべてをのせるべきでしょう。毎期出すわけですから。
目論見書は、「その他の費用もかかりますけど、決算期が終わってみないとなんともいえませんから、具体的率や金額は載せられません」というのはわかりますよ。
投信業界の標準ひな型に従っているだけだとわかっていますが、変更を希望します。

次に、さきほどの、一万口当たりの費用負担の比率合計が「0.125%」なのに、ここでの総経費率が「0.26%」に跳ね上がっていますね。
合計0.125%-売買委託手数料0.014%-有価証券取引税0.007%=0.104%
になりそうなものなのに。
(注3)各比率は年率換算した値です。
ここがポイントかなと思いまして、
投信会社信託報酬0.018%×365日/145日=0.04531%
販売会社信託報酬0.018%×365日/145日=0.04531%
運用会社信託報酬0.009%×365日/145日=0.02265%
円グラフに売買委託手数料と、有価証券取引税は入っていないので、そこはとばして、
その他の費用0.059%×365日/145日=0.1485%
4要素を足すと、0.04531%+0.04531%+0.02265%+0.1485%=0.26177%
元数字が小数点第3位未満四捨五入なのでおおむね一致しますね。
たしかに平均基準価額に対する比率だから、145日当たりの費用と365日当たりの費用の割合は、分母が同じである以上、増えないとおかしいですね。

ところで、交付運用報告書と運用報告書全体版の違いは、所有株式の個別銘柄が載っているかいないかの違いくらいで、あまり得ることがありません。このファンドは、3つマザーファンドから構成されていて、それぞれのマザーファンドの一万口当たりの費用明細も載っていますが、このマザーファンドには他のベビーファンドも投資していますから、そこから何か検証できるわけでもありません。実際、新興国株式ファンドの一万口当たり費用明細合計が34円であり、当ファンドの14円を超えています。
しかたがないので、最新の請求目論見書(2021.2.20)を見ます。

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運用報告書52ページ

筆者注:間違えて運用報告書51ページ貸借対照表を載せていましたので、損益計算書に差し替えました。(2021年6月3日16時45分)大変失礼しました。
営業費用に着目し、比率の計算に挑戦。
受託者報酬9,918円×365日/145日÷0.022%=113,481,818(想定年率純資産総額)
委託者報酬41,757円×365日/145日÷(0.0462%+0.0462%)=113,758,060
なんかいい感じです。しかし
その他費用426円×365日/145日÷0.15%=714,896 うまくいきません。
113,481,818×0.15%×145日/365日=67,622円 少なくともこれくらい実績がないと合いません。
一万口当たり 信託報酬5円、売買委託手数料2円、有価証券取引税1円、その他費用6円なので、比率から(9918+41757)×6/5=62,010 位にはなるはずとも言えます。

提示されているその他費用比率が小数点第三位以下ありませんし、売買委託手数料や有価証券取引税がこの損益計算書に入っていなさそうなところからすると、マザーファンドの費用に計上されているのかもしれませんが、確認ができませんでした。わたくしの仮説はここでストップしてしまいました。
私はこの商品に投資しておりませんから利害関係はなし、たまたま決算期が一年未満のため取り上げたので他意はございません。

まとめます。
投資信託全般についての要望
運用報告書には、該当ファンドの財務諸表を載せてほしい。そして、一万口あたり費用明細が追試できるようにしてほしい。
参考情報の総経費率は、「総」経費に基づいて表示してほしい。
いまのところ、この総経費率の図で役に立っているのは、ファンド・オブ・ファンズの場合だけです。

ファンド・オブ・ファンズについては、次回触れたいと思います。