かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

(分譲マンションvs戸建て)vs賃貸

賃貸か所有か、いわゆる持ち家論争は、神学論争、迂闊に手を突っ込むと大やけど。そうやけど、ちょっと言いたいのでお許しを。
所有派は、マンション派と戸建て派に分かれるんじゃなかろうか。
これからお話する段落について、マンション派の人は怒るかもしれないなあ。ちょっとだけ我慢して聞いてくだされ。

わたくし、建物の区分所有等に関する法律、これが持ち家幻想という麻薬を振りまいた元凶だと思っております。分譲マンションってこれ。土地の持ち分〇〇〇万分の〇〇という登記表示になります。分譲マンションの土地部分は、ほーんの少し。では、建物部分はどうかというと、そのままでは築年数が経てば経つほど減価する。劣化しますからね。わたくしの想像では、都心部に一戸建てを建てるスペースが減ってきて、普通の労働者が買えるような値段でなくなってきたときに、打ち出の小槌のように、こんな法律だしやがって、「いやいや、心配しないで、みなさん家が持てますよ、所有ですよ、資産ですよ。他の人と共同でだけどな」なんつってた産官学がいやがったわけでしょう。
土地部分だけでは売れないし、じゃあセットになる建物部分はどうかというと、築年数が経てば経つほど安くなってしまう。困りますよね。そのためまず建物の使用価値を維持するために、管理組合を作って修繕積立金を積み立てて、大規模補修をやる。使用価値を維持していくために。だから管理組合の存在が非常に大事になってきます。積極的に関与して目を光らせ、変な管理会社に多額の管理費を払ったり、大規模修繕の見積もりを裏で手で回して高値掴みさせられたりしないような継続的な努力が必要です。しかも所有者みんなで。ですから、鍵一つ架ければ他人と遮断した生活が送れる、わけではない。賃借なら送れますけど。区分所有者は、他の区分所有者と付き合い、こちらの意思を通したければ説得を通じて実現しなければならない。私のような、“陰キャで隠居“なんて言って世捨て人を気取っているような輩には、とてもできない相談です。

では翻って戸建てはどうか。これには複合悪の元凶がいます。
①運行時刻が極めて正確で運転間隔の短い高速鉄道
②非課税通勤手当
③住宅取得等特別控除
これですよ。ちょっと考えてみてください。まず①から。都心にある会社から乗車時間1時間の距離にある家から通うとします。駅について列車を待っていたら「次の電車は〇〇分遅れの予定です」とアナウンス。そして〇〇分遅れの時間になってもこない。やっときたと思ったら超満員。途中で何回も止まって結局その日は1時間40分かかった。
みたいなのが続いたら、どうします?私なら賃貸だろうが狭かろうが都心に引っ越します。
それから②。都心から2時間通勤圏になれば、定期券代金だけで月に〇万円。これ自己負担だったらどうしますか。絶対、もっと都心に近い所の住宅賃料とセットで比較して住むところ決めますよね。でもある程度まで青天井で会社が出してくれるとしたらどうします?しかもそれに課税されないのですよ。
それから③。言わずもがな、頭金やらローン組むやら資金繰りを考えて購入計画を立てますけど、「10年間ローン残高の1%が税額控除されます」と言われたら、絶対お得感につられて大胆にも高額契約にハンコをポーンとついたりしませんか。
鉄道会社は郊外へ広がる宅地開発をして、タダみたいだった土地を高く売りつけ、鉄道運賃をかせぎ、金融機関は不動産担保ならこれぐらい貸してもいいかと金利皮算用、建築会社は沢山住宅を建てて業績アップ。
業界ウインーウインの結果、長時間電車に拘束され、会社に着くころにはへとへとの労働者を大量生産しましたとさ。時間も肉体疲労も払わされたわけです。あ、ローンも払わされていますね。
そして現在。郊外の住宅地は、子供がいなくなって広すぎる家に老夫婦が住み、庭は管理する体力も資金もなく荒れ放題、買い手もつかないまま、土地の相続がすすみ、子供も住まない住めない事情あり。通勤客も激減して列車本数は減る。商店街は消滅。インフラが貧しくなってさらに住む人が減る負のスパイラル。負動産の出現とあいなりました。
その極端な例が長野新幹線安中榛名駅ですよ。元は山奥。新幹線で上野まで1時間で着くってことで宅地開発されたけど、結局一日の乗降人員285人(2019年度)、平日上下12本ずつ、駅前に一軒だけあったコンビニも閉店という。
ということで話が強引に戻りますが、戸建ても適正な管理が出来なければ、単なる“負”債です。マンションと同じ。違うのは、所有者“個人”の判断にかかっているということぐらい。
結局不動産って誰か住んで手入れしないと荒れるんですね。
また持ち家は、火災も怖いけど、保険で十分な担保ができない地震が何より怖いですね。これは買う前に十分調べましょうと以前申し上げましたが、相続物件ではどうしようもないことありですよ。

区分所有だろうが単独所有だろうが、不動産所有の短所ばかり述べ立てましたが、賃貸を礼賛しているわけでもありません。
目下のところ、首都圏では、賃貸契約更新時に保証人をつけるだけじゃなくて、保証会社と保証契約を結んで保証料を払えという、その他火災保険料も強制、いよいよ裸の賃料だけではコスト計算できない状態になっています。この点では、軽減税率で大したことのない固定資産税を払ってとりあえず終わりの戸建て所有に軍配があがります。でも屋上防水や壁面塗装のお金を積み立てておかないと後で大変なことになると思いますが。
不審死や失火、認知症による汚れを恐れて、老人には貸すことをいやがる大家も増え、貸してくれるのはボロ安物件だけとか。しかたなくマンションを購入する方もいらっしゃるとか。これは供給が増えて、そのような行き過ぎを是正する力が働かないと、なかなか。国土交通省厚生労働省も「あんしん賃貸住宅」政策なんぞやっていますが使い勝手悪いようで広がらないですね。
話がとっ散らかりましたが、住むところって、固定費の一番大きなものだから、所有するにしても売却のことまで考えだすと、それほど自由な選択はできないし、建売も注文住宅も一長一短、賃貸で物件見て回るのと比べて手間や得られる結果もね。
結局悩んだまま、まとめもできずひとまず終わります。