かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

TOPIXの浮動株調整について

TOPIXは2006年6月から浮動株時価総額加重型指数です。
時価総額加重型指数の例を示します。単純化のため、東証第一部銘柄をA社株とB社株だけとします。

銘柄 発行済株数 株価 株価総額
A社 120 120円 14,400
B社 120 100円 12,000

(14,400+12,000)÷(120+120)=110 指数は110になります。
ここでA社の発行済株式の内、40株が親会社の持ち株で市場に出てくる可能性がごく少ない固定株としますと、
発行済株数-固定株=浮動株 なので、市場の加重平均を求める時に、固定株を除外します。

銘柄 浮動株数 株価 株価総数
A社 80 120円 9,600
B社 120 100円 12,000

(9,600+12,000)÷(80+120)=108 指数は108になります。
B社に比べて株価の高いA社株の時価総額算入割合が減ったので、指数が低下しました。
固定株は、親会社の所有株、自己株、持ち合い株、役員保有株など、市場に出てくることが想定されていない株式を言います。これらは取引所で売買されていないので、市場での売買を通じた価格形成に関与していないから除外して指数を計算する方が市場の姿を適正に表すだろうという考え方ですね。
問題が2点あります。
・固定株に含める範囲はどう決めるのか。
・固定株の比率が動いた時、その都度時価総額ウエイトを変更するのか。どの程度までならウエイトの変更を行わないのか。
どちらも決めの問題なので、正解はありませんが、ウエイト変更による影響が問題とされます。
上の例でいうと、A社の固定株比率が上がったから、A社の時価総額を加重平均計算上下げるとします。「指数からA社の浮動株比率を下げます」と公告したとたん、トレーダーは「指数連動型ファンドはA社株比率を下げるつもりだ。ということはA社株の売りが相当数でてくるはず。では今のうちに空売りしておこう」と考えて、A社株の売り圧力が増えた所で売買を手じまいして利益を稼ぐ。指数連動型ファンドのファンドマネージャーはA社株を売りに出した時点で、既に株価は低落していますから、当然指数も低下しているので、何も責任を取る必要がない。指数連動型ファンドの投資家が損をする、という構図が問題になるわけです。
ここからは私の意見です。
浮動株調整はやめて、発行済株式総数で時価総額に入れたらいいんじゃない。
結局、持ち合い株式、自己株式、役員保有分、親会社持分、確かに直ちに売りに出てくるわけではないにせよ、上場株式なのですから、売ろうと思ったら市場で売って現金になるわけです。もちろん大量に売りを浴びせたら需給が狂って売価は下がるでしょうけど。
発行会社の株式に多大の利害を抱いている人たちが、そんなことは望んでいないとは思いますが、売ろうと思えば時価で現金化できる、ということは時価額連動での財産を保持していると考えていいんじゃないか。
まして、浮動株比率調整で指数が動く際、指数連動型ファンドの投資家が、トレーダーの餌食になる上、売買手数料などの運用会社の余計な手間による実質コストを引き起こしているわけで。それらの利害得失を考えたうえでどうなの、ということになりますが。
山崎元さんは、独自基準のインデックスファンドを作って、指数を組成する原則方針を決めて置き、実際の調整が終わってから公告すればその弊害は防げるとおっしゃっていて、なるほどなあと思った記事も書きました。
でもそれは限りなくアクティブファンドっぽいので、市場全体を網羅している、というインデックスファンドの要素を反映していなければ、今まであまたあるアクティブファンドの変形としか捉えられなくて、資金が集まらないかもしれない。だから条件付き賛成です。
インデックスファンドであればこそ、銘柄を選ばない、自動的に市場全体まるごと、が魅力のキャッチフレーズなのです。ただし市場全体にしようとすると、取引額の少ない銘柄が混ざっていると、その分の取得コストが高くなるジレンマ。
流動性を確保しつつ、市場全体を表すべく登場したJPX400は、あまり支持がひろまっていないようですし。結構悩ましいものですね。