かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

川島徹「メーター検針員テゲテゲ日記」フォレスト出版

おかしゅうて、やがて悲しき、という本でした。
テゲテゲは鹿児島弁で「適当に」という意味だそうです。
雨の日も雪の日も台風の日もメーターを読みとり、端末に入力して請求書をプリントしてポストに入れる。メーターは背の届く高さにあるとは限らない。庭を横切れば怒られる。犬には吠えられるから家の人がみていなければドッグフードをばらまいてその隙に。
とても適当にはできません。でも結果的に適当になってしまうことも。「また来いっていってんだろ」と怒られ、目の隅でさっとメーターを読み取ったつもりが、6だっけ8だっけ。
そしてどたばた。Q電力から天下りの支社長は大過なく過ごすことだけ考えて去っていく。実務を知らないQ電力収納課からの無茶振り。それをはいはいと引き受け、検針人に無理を吹っ掛ける下請会社である勤め先の課長。苦情に対してとにかく謝ってこいと検針人を呼び出し、検針人を悪者にしておさめる。それでいてミスが起こる背景を見て対策をとるなどの動きは一切とらない。地区割り振りを決める事務職員は、口のうまい検針人に優先的に楽な地区を割り振ったり。
私は自分の元職にいた同僚のJ課長を思い出していました。
Jさんの課では、忙しすぎるのか面倒なのかわかりませんが、問い合わせが必要な案件がどんどん未処理でたまっていきました。問い合わせてデータを直さないと処理できない。何回か電話しても留守で連絡がつかなくてその後忘れて放置という形でしょう。ついに半年前に預かった案件が未処理のまま積みあがるという事態になった段階で、営業課がお客さんと接触して問題が発覚。呼び出されてJ課長はひたすら謝っていました。
副支店長の知るところとなり、課長連中が集められて対策会議を開きましたが、良い知恵が浮かぶわけでもなく、じゃあ人海戦術といったところで、人に頼めるような状態ですらない。説明している時間が惜しいのか、Jさんは自分の課で何とかしますと。私も「手伝いますよ」といいましたが、その後なにも言ってきません。結局営業課に謝っただけで、根本的な原因を追究したり、流れを変えて処理を一掃するような動きは一切とりませんでした。
副支店長も、本社で数字ばかり見ていた人で、お客さんと直に接する事務は門外漢だから、お前らどうにかしろ、ばっかり。そしてJ課長が転勤した後には、ほぼ一年前の未処理案件が。後任課長が青ざめたのはいうまでもありません。
この本を読んだ人は、自分の勤め先や客先の理不尽な仕打ちに重ね合わせて読みますね。絶対。それでおかしゅうて、やがて悲しき本なのです。
わたくし、やっぱり、会社、やめてよかった。