かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

社員と役員の年収格差が大きい 強欲な代表者総どりを止めさせる方法

toyokeizai.net
PC向け配信ゲームを手掛けるネクソンは、役員平均報酬3億2300万円。従業員平均年収598万円の約54倍。社内取締役3人のうち2人の報酬が1億円以上。代表取締役社長のオーウェン・マホニー氏の役員報酬額は8億8700万円で、従業員の約148人分の報酬を得た計算になる。代表取締役の植村士朗氏も1億円を上回る報酬を得ていた。
武田薬品工業の役員平均報酬額は5億円台。クリストフ・ウェバー社長の役員報酬は18億7400万円で、従業員に換算して約175人分の年収を得ている計算になる。

私読んで思ったのは、役員と従業員の格差というよりも、取締役とトップの代表取締役の格差が問題じゃないでしょうか。

会社って、法人っていうくらいだから、法的に人格を与えられただけなので、生きている人間とは違う。事業を回すためのしくみです。しかも株式会社を見ればわかるように、出資者は出資金を限度として責任をとる有限責任のしくみです。当然役員だって、その方向が間違えていたからって、最悪その後に首になるだけで、会社の赤字を補填しろなんて話にはならない。自分で報酬が決められるのなら、会社の業績がいいうちにできるだけとっちゃえ、ってなりますよね。余談ですが、社外取締役とか、報酬委員会とかいう、お友達制度は何の役にもたたないと思っています。早く廃止した方がよろしい。

先のネクソン武田薬品工業の例でいいますと、トップの人間が従業員148人分、175人分の働きをしていますか。またはそこまで会社の業績に貢献していますか。方向を決断したといったって、それが実効性あるものにするために、部下が自分たちで考えて動いている部分は大きいでしょう。それが指令しただけで148人分とか175人分とかありえないでしょう。しかも方向が間違ったからと言って148人分とか175人分とか返すの?返さないよね。
カルロス=ゴーンだって、巨額な役員報酬、私的経費付け回しが目に余ったから、一見つまらないような理由で訴えられたんじゃないでしょうか。
https://www.asahi.com/articles/ASN8N42BZN8NUTIL009.html
本人は会社の利益を生み出したんだから、その一部を貰って何が悪い、と思っているでしょう。

ということで歯止めのきかない代表者の報酬の高額化。支出しないようにするためのしくみについて考えてみました。

1. 役員報酬の給与所得控除を0円とする。
給与所得控除というのは、個人所得税の税額を計算するうえで、概算経費のように引き去る額です。これは法令で計算式が決まっています。
支払金額が年間1,624,000円までは550,000円。年間103万円もらったとすると給与所得控除55万円引いて48万円。ここから誰でも必ずある基礎控除48万円を引いて課税所得は0円。俗に103万円の壁なんぞと言われています。
8,500,001円以上になると給与所得控除は1,950,000円で打ち止めになる。つまり年額でそれ以上の部分はダイレクトに課税所得になるということ。
これを1,950,000円の上限控除も0円にしたらどうか、という提案です。
でもこれは高額報酬受領の歯止めにはならないでしょう。こういう人たちって必ず税額を引いた手取りで報酬を考えている。税率50%で手取1,000万円ほしかったら、2,000万円支給すりゃいいじゃん、と思っている。2,000万円×50%=1,000万円。2,000万円から税金1,000万円引いて手取りは1,000万円だ。これをgross-upといいます。net(手取)から税率を考慮して逆に支給額grossを決める。grossにup。

2. 最低賃金×年間総労働時間の50倍を超える給与の支給を認めない
これも考えたのですがあまり納得性がない。そもそも50倍という数字に何の根拠もない。2022年度東京都の最低賃金は1,041円。年間所定労働時間平均が1,931時間。
1,041円×1,931時間=2,010,171円。これの50倍は約1億円。
実態としては、会社の規模や業績によって従業員と社長の年間給与額の差はまちまち。いきなり50倍までオッケーというと、高額報酬がとれる企業からも、逆に社長がさほど高額報酬を貰っていない企業からも文句が出そうですね。
じゃあ、その会社の最低給与の〇倍はどうかというと、これはダメです。奥さんとか親族を会社に入れて高額な従業員給与を払って、その〇倍だからいいだろ、ってなっちゃう。

3. 取締役報酬の経費性を認めない。利益処分項目とする
損益計算書上の費用として認めず、当期純利益からの控除項目とする。これも一時的に赤字になったら貰えないのか、決算締めて見ないと報酬が決まらないのか問題が勃発。

4. 配当と同じく法人税支払い後の報酬を受けたものとして確定申告させる
これがいいかもしれないと思いました。
法人税率は中小法人の800万円以下部分が15%、それ以外が23.20%の税率になっている。取締役の報酬は、法人税を負担した後に払われたと仮定して、例えば1,500万円報酬が払われたとすると、1,500万円÷(1-0.2320)=1,953万円が支給されたものとする。
確定申告では役員報酬1,953万円をまるごと役員報酬所得として課税所得に算入し、税額を計算した後、1,953万円-1,500万円=453万円を前払い済所得税として税額控除する。
そうすると、配当所得と役員報酬の課税上の扱いが概ね同じようになります。
ついでに、金銭支給の役員報酬だけでなく、現物支給、役員退職慰労金ストックオプションなども全部同じくくりで処理して脱法を防ぐ必要がありますね。
役員退職金については、平成25年から5年以下の勤続期間の場合1/2課税が廃止になりましたが、5年超になれば勤続期間に応じた対所得所得控除後の1/2が課税されるのにかわりがなく、退職所得に振り替えるだけで累進税率が緩和されて有利になります。

このような話を出すと、だったら配当所得だって、法人税前払い分をgross-upして総合課税で全額申告しろ、そのかわり税額控除を認めてやる、という議論がセットで出てくるものと思います。私も影響を受ける項目ですが、それは構わないかなと思っています。むしろ配当所得の源泉所得税と住民税を20.315%から30%程度に上げろ、という話よりもよほど所得再分配に効果があると思いますので。