かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

株式投資の複利効果

問題意識としては株式投資信託で分配金を出さないからって、株価は予想外に上下するから複利効果ってそんなないんじゃないか、という疑問です。

複利効果とは

まず復習です。年利2%の利息が付く定期預金を想像してみてください。

<単利の場合>

1年の期間満了で2%の利子がつきますが、現金又はほとんど利子がつかない普通預金に払いだす「元金継続」を想定してみてください。

縦セルを150ピクセルにして利息をその2%の3ピクセルにしてエクセルで書いたら元本に比べて利息の少ないこと!2%って結構高金利設定なのに。
元本100にじわじわ2%の利息が乗って来て1年後に2増えた→ただちに現金又は普通預金に払い出され、元本は100に逆戻り。

本当の図はこちら。1年未満で解約すると、全部普通預金の利息で計算しなおしイコールほとんどゼロという約款になっています。ですから一年後にいきなり2%相当額が発生して直ちに現金又は普通預金に払い出しになる、というのが正しい図です。

複利の場合>

では1年後に生じた利息を元本に組み入れて自動更新する“元利継続”にしてみましょう。

start 1年後 2年後 3年後 4年後
元本 100 102 104.04 106.1208 108.243216
利息 2 2.04 2.0808 2.122416

1年後に利息2が元本に積み増され、2年目スタートの元本は102になる。
2年後は102×2%=2.04 の利息が元本に積み増され、3年目スタートの元本は102+2.04=104.04になる。
利息が元本に積み増されて、次の期間の利息計算の元になるため、同じ2%の利息が繰り返されても、利息を元本に組み入れることで、掛け算の元である元本が増えていくので付される利息が少しずつ多くなっていく。これを複利効果といいます。

じゃあ株式投資信託はどうなのか

投資信託(=ファンド)が株式に投資をしている場合、株式発行会社が配当金を分配するとファンドにお金が入ってきます。色んな投資先の株式会社から入ってくる配当金を、投資信託の購入者であるあなたへファンドから分配金で毎年配ってしまえば、上で説明した定期預金の<単利の場合>と同じことになり、元本は成長しませんので複利効果はありません。
だからファンドは分配金を出さず、受け取った配当金でさらに株式を買うことで、翌年はより多くの株式数を保有してより多くの配当金を受け取ることができる。ファンドが得た収益を分配せずに更に投資に回すことでファンド自体の資産価値が自己増殖するだろう。これがファンドの複利効果です。
ですから、分配金を出さないファンドを購入して長期に保有して、複利効果の恩恵を受けましょう、という話になる。

株式投資信託に複利効果はあるのか

ところが問題を複雑にしている要素が一つあります。受け取った配当金を再投資することで複利効果の恩恵は受けられますが、それとは別個の投資信託への持ち分の価値の増減が生じるのです。それはファンドの保有する株式の価格、株価の上下によりファンドへの持ち分の時価が上下、時にははげしく上下するという問題。
先ほどの定期預金の例を使って話をしますと、100投資して一年後に2の配当金を得た、じゃあ2年目のスタートは持分102のスタートで、株式発行会社が同じような業績を上げて配当してくれたら、一年後は2.04の配当金が期待できるよね。
と思っていたら、元本の株式市場での時価が80円になってしまった。
みたいなことです。
いやいや、スタートは1株100円だったから、
一年後に株価が100円のままだったら、2÷100=0.02株 しか追加投資できないけど、
一年後の株価が80円に下がっていたら、2÷80=0.025株 追加投資できるじゃないか。
0.005株多く買える。でもスタート時の100の投資は、いますぐ売却してしまえば80に下がってしまっている。
このように、株式発行会社の業績が安定していて、毎年2ずつ利益を配当してくれると仮定したとしても、それ以上に従来の元本部分の時価は変動の荒波にさらされている。

start 1年後 2年後
株数 1株 1株 1.025株
時価 100 82 84.05

1年後は100の投資に対して2の配当なので、配当利回り2%、
2年後は82の投資に対して2.05の配当なので、配当利回り2.5%
評価損20を無視して単年で見ると配当利回りは改善しています。
今回は株式発行会社の業績が安定していて、変わらず1株当たり2の利益が生じて配当してくれると仮定しましたが、業績は変動する。1株当たりの利益や配当額は将来どうなるのかわからないのが実態です。

結論

今回は株式発行会社は各期に生じた利益をすべて配当すると仮定して計算してみましたが、配当しなかった分の利益留保は、理屈の上では株価の押上要因となり、それがめぐって投資信託の基準価額の上振れ要因となります。しかしそれ以上に売買される株式市場での価格づけ、これは必ずしも会社の利益状態と連動しない株価の時価変動の波にさらされて基準価額は変動してしまう。
株式発行会社の業績が利益体質であって支払われる配当金をファンドが再投資する限りにおいては複利効果は生じているといえますが、
・将来に渡って配当金が貰えるとは限らない、配当金支払い率は変動する。
・株価は変動するため、スタート時の投資元本と受取配当金の再投資による元本では、配当利回りが異なってくる。
ファンドの投資先は、概ね毎期利益が生じて配当をする上場会社がほとんどであるから、複利効果はあるといえるが、株価変動により元本の評価損で価値が減殺されると、追加投資元本の配当利回りは改善する、というややこしい現象により、測定は困難ということになりました。

一括投資と複利効果

長期的に株価が上昇傾向を持つ、と信じられるとすれば、先ほどの例に当てはめると、
・株式発行会社が安定して利益を上げて1株当たりの配当金が毎期同じ とすると、
・受取配当金による追加投資元本の配当利回りは低下する ので
できるだけスタート時点で一括して投資を行うのがよい、ということになります。
逆に株価が下落傾向を持ちながら上下に変動する、と信じられるとすれば、
・株式発行会社が安定して利益を上げて1株当たりの配当金が毎期同じ とすると、
・受取配当金による追加投資元本の配当利回りは、
株価下落で上昇
株価上場で下落
となりますので、株価の向かう方向が下落傾向で上下動する局面においては、
・配当金よりも元本の変動の影響が大きい範囲に限定されますが、
分割投資で、株の平均取得価額を下げておく ことが有利となります。
一括投資よりも、分割投資が有利だ、といいきるには、上記2つの仮定(トレンドが下落傾向、配当金の追加より投資済元本の価格変動が大きい)を置かないといけませんので、一括投資と分割投資のどちらが有利ということはいえないです。