かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

住宅ローン破綻考

「正直何でこうなったんだろうと…」住宅ローン破綻の現場|ABEMAドキュメンタリー - YouTube
ABEMATV。見ていると暗い気持ちになりますね。一歩間違えれば自分もそうなっていたかも、という共感恐怖感があります。
しかしながら、データを取りながら改めて見てみますと、結構突っ込みどころがあり、前車の覆るは後車の戒めとしてコメントしてみます。

事例1

64歳男性、中古マンションリフォームが仕事。49年間大工をやってきた。19年前大阪府内に4LDKの一戸建てを購入。29年ローン2,000万円。家族は9年前に他界した妻、長男(32)と長女(28)は独立して家を出ていった。娘夫婦が同居してくれればよいのだが、車でここから30分の所に住む娘夫婦の夫の通勤が不便となるので同居はできないと。コロナショックにより中国から水回りの資材が入ってこなくなり仕事がなくなった。ローンは月額82,000円で、日払いの報酬月40万円が一転ゼロに。ローン残高は900万円だが、家の売却予定時価は400万円で自己破産を検討。

(コメント)
日払いの仕事なので自営業でいくら定年がないとはいえ、ローン完済予定年齢が74歳というのは無謀過ぎたのでは。頭金のないフルローンかどうかはわかりませんが、亡くなる前の奥様が働いていたのならば、共有名義ローンにしておけば団体信用保険で半額はチャラになったのですが。日払いの仕事は収入が不安定になりがちなので奥様も一緒に収入を得る体制を取るべきだったと思いますが、もしかしたら病弱だったのかしら。娘さんは車で30分の所に住んでいるとはいえ、義理の息子の通勤に不便となる同居は不可能、ということはあまり公共交通機関の便がよくない場所なのでしょうね。

事例2

40代女性、成田空港飲食店でパートで働いていたがコロナで店が休業し解雇される。5年前5LDKの一戸建てを35年ローン700万円で購入。祖母の介護をするため実家の近くに住みたかったとのこと。現在祖母は施設に、母は体が不自由で要介護状態で同居。収入は父の遺族年金が2か月で13万円ほど。ローンの残りは480万円で月18,000円の返済。一刻も早くパートに出ないとお金がない。任意売却を希望しているが売却予定時価は250万円で230万円の借金が残る。ローンの返済額を別のことに使いたいというが、残った借金230万円の返済については難しいですね、というばかり。

(コメント)
40代ということですが一番若い40歳だったとしてもローン完済予定年齢が75歳ですよ。金融機関は審査通しちゃったんですね。またご本人と母及び祖母が住む予定とはいえ5LDKというのも理解に苦しむ。しかも実家の近くが良いといいながら、母とこの家に同居。ということは実家は賃貸だったのでしょうか。退職金も出ない、いつ馘になるかわからないパートで35年ローンを組むというのが理解に苦しみます。

事例3

夫70代妻60代後半の夫婦。18年前に駅から徒歩5分の3LDKマンションを35年ローン3,050万円で購入。それまでは家族6人でアパートに住んでいたが、近隣に建ったこのマンションをちょっと見るだけのつもりで衝動買い。アパートの家賃並みのローンと思って安心していた。工場勤務の職人である夫は定年でボーナスがなくなり、働き続けるつもりが体力がもたず、現在は夫婦ともにパートとなり、以前の年収700万円が半分以下に。ローン完済予定年齢が夫80歳超でローンを組んだのが遅すぎた。月額11万円の返済が困難になり、ローンが2,400万円位あるが売却予定時価は1,500万円なので900万円借金が残る。元気なうちになんとかしたいということで任意売却して家賃月5万円の2DKに引越し。2DKは持ち込んだ荷物であふれた。

(コメント)
完済時予定年齢が80歳超!定年後ローンの割合が高くなって苦しくなった段階で手を打つべきだったのかもしれません。しかし18年でローン残高が650万円しか減っていないということは、月3万円しか払ってこなかったのと同じ?元利均等のマジックでしょうか。収入があった時に繰上返済もしておくべきだったのだと思います。子供たちがいつ頃独立していったのかわかりませんが、その時に縮小転居を考えておけばよかったと思いますが、日当たりよく居心地のよい住まいを手放したくなかったのでしょうね。

事例4

50代夫婦子供なし。12年前東京近郊に77㎡3LDKのマンションを2,200万円35年ローンで購入。田舎が消滅したのと、お買い得と思って40歳過ぎていたが、月額10万円賃貸の団地から月額83,000円のローンになると言われて決断。電子機器製造業の役員で社長に次ぐ高給月60万円貰っていたが肩たたきされ退職。預貯金ゼロで月額10万円のローンが払えない。任意売却を選択し、大晦日にも荷造りしていたが引渡し前日の1月9日になっても物が片付かず、業者も手伝って5時間後2トン車2台と3トン車1台の大荷物で51㎡3DKへようやく引越完了。荷物だらけ。

(コメント)
番組では物が多くて夫婦が多趣味と強調していますが、シーリングファン、間接照明、BOSEのセンターサラウンド、観葉植物くらいで預貯金ゼロになるかなぁ。現在は値引き半額の食パン、牛乳はお湯で伸ばして、なんてコメントとっていますが、ちょっとやりすぎ。演出意図に疑問が残ります。しかし月収60万円ももらっていたのに2,200万円が返せなくて預貯金ゼロってどんな使い方していたんでしょうか。40代で35年ローンだから完済時予定年齢は75歳以上です。

事例5

関西地方60代女性。事務職。20年前夫と共同名義で一戸建て2階3LDKを3,300万円35年ローンで購入。75歳まで月額14万円の返済が必要。子供3人孫7人いる。子供は一人くらい同居するかと思っていたら全員独立してそれぞれ家を購入。夫は定年で収入が月40万円から14万円に減少し、妻より少なくなり、「離婚してくれ、迷惑かけてもあかんし」といって現在一人暮らし。引渡し日だが全然片付いていない。ローン残高2,200万円、売却予定時価は1,500万円で残った借金700万円は離婚した夫共々返済していくという。
窓が沢山あって明るい家が自慢だったらしく、引っ越し先の長女宅5.5畳が「せまい、くらい」と。持ち出すものはごくわずか、といいながらベッドとカップボードとテレビパソコンでいっぱいになってしまった。

(コメント)
元夫が離婚する原因ってなんだろうと思いましたよ。妻より収入が低くなったのがショックで、といっているがそれだけで離婚するかね。長女は実の子だから気安く言いたいことを言い合っているようですが。定年後の返済が厳しくなるのがわかっていたのに、子供の同居をあてにしていた、ということはローンも一部負担してくれることを予定していたのでしょうか。子供達もさっさと自立して家を所有した、というところに答えがありそうです。

事例6

50代夫婦と長男(高3)次男(高2)長女(中1)次女(小5)の6人家族。
20年前に3,000万円で4LDKの一戸建てを購入。夫は53歳で役職定年になることを知らず手取33万円が23万円に10万円減った。月額12万円のローン返済が不可能に。ローンの残高は2,000万円で売却予定時価は1,000万円なので借金が1,000万円残ることになる。転居先は歩いて五分の借家。予算月額60,000円のつもりが78,000円となる。実は自宅だった建物より広い。予算より増えた18,000円分どうするのかというと、上の子2人にバイトしてもらって出してもらうという。長男は新しい家に「概ね満足だけど、前は1階と2階にそれぞれあったトイレが1階に一つだけが不満。長時間籠るので」という。下の子は広い家に越してきて嬉しいらしく鼻歌。

(コメント)
役職定年で手取が月10万円減ることを知らなかったって、迂闊すぎでしょ。管理職なら先輩方を見ていてそんな話は当然聞こえてくるんじゃないですか。そもそも手取33万円から12万円のローンはぎりぎりなんだから、近い内に確実に給与手取が減ることから目を背けていたのじゃないか。また20年もローン返済していたのに1,000万円分しか減ってないというのもね。これも元利均等マジックなのか、月12万×12か月×20年=2,880万円ですよ。より広い家に越して来たことに文句はありませんが、予算を3割超過してその分子供のバイトで賄うつもりって、どこまで計画性がないのやら。

事例に共通して感じること

物が多すぎる。でもこれは破綻していなくても多すぎる家はいくらでもあるから、おかしくはないか。
将来どれだけ負担になるのか数字で認識しているとはいいがたく、現状の収入、現状の支払い家賃とローン月額だけで判断してしまっていること。地価が下がる可能性、家が時の経過で減価していくことについて考えていない。
簡易計算してみると、ローンの総額のうち3割位は利息で支払っている。じゃあ35年もローンを組んで、総額〇〇円も銀行に貢いで、その残りが家の取得に充てられているんだって意識してローンを選択したとはとても思えない。多分最初にそれを数字で認識できたならば、家を買うという無謀な決断をしなかったかもしれないじゃないですか。
触れられていないから不明ですが、頭金をいくらか入れた人はいるのかしらん。どうもフルローン物件ばかりという気もしてきました。
いくつかの事例では、引っ越し当日まで荷造りできていなくて業者に手伝ってもらうなど、締切日に向かって計画的に行動するという義務感に非常に乏しい。繰り返しになりますが、例え正社員であっても定年を超えた返済予定期間がある長期ローンを組むのは、退職給与規程を調べて、退職金をいくらぐらい貰えるのか計算した上で最低限行動すべきなのに、それをしている気配もなければ、パートや自営で長期ローンを組むのは、無謀としか言えません。
確かに、かつては給与が勤続年数と共に上がったり、インフレもあるけど好景気で時給が上がって行ったりした時代もあったでしょうが、失われた30年と言われる位、30年前から、もうそんな時代ではなかったはずなのに、認識していないというのも経済や家計のセンスがあまりにも欠けていて無計画なバクチ人生としか思えません。
最初は「自分も一歩間違えばこうなったかも」と同情・恐怖・共感で見始めましたが、こうしてよくよく内容を吟味してみますと「あまりにも無謀でしょ。返せなくなる可能性を最初の段階でなぜ考えなかったのか」と思いましたし「危なくなってきたのに薄々気づいていたのに見ぬふりをして、最後こうなったね」とも思いました。
いやだなあ、やりたくないな、と思っていることを後回しにすると、きっと傷口がひろがって最悪の事態を迎えるってこと。
それに懸念事項を抱えていると、それだけですっきりしなくて気分が悪いじゃないですか。だから私は動けることはすぐ動いて解決へ向け、気持ちすっきり暮らすようにしています。
会社員人生を終える直前の中間管理職時代、特に部下たちが「まだ締め切りまで時間があるから」と動かないのを「突発や次の仕事が次々降って来て時間がなくなる可能性があるから、出来る今やんなさい」と口を酸っぱくして言って、それでもギリギリになって必死にフォローしたことばっかり憶えています。いやな汗をかく経験ではありましたが、その後の自分を律するための貴重な糧となっていたのだな、と痛感致しました。