かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

偏差値の観方で気を付けること

偏差値。昨年、子供の高校受験でお世話になっています。次は下の子の時です。
全国規模の模擬試験を受けて、志望校の合格可能性を探る。
皆さんそうでしょうが、E判定(可能性-10%以下とか)でも模擬試験後からの学習で受かることもあるし、A判定(可能性-90%以上とか)でも落ちることもある。
志望校の過去問に早めに手を付けると何とかなる、かも。
過去問の解答解説を読んでチンプンカンプンだとまずい。基礎的な知識が身についていないから。早めの準備が功を奏するのですが、なかなか手を付けられません。
親がそうなんですから、子供もそうですね。

今回は偏差値を見るうえで気をつけないといけないことを2点とりあげます。

一つ目。偏差値は、模擬試験ならそれを受けた人全体の中での相対的な位置を知ることしかできない。
だから学内試験で偏差値が良くても、全国統一模試で偏差値が出なかったら合格可能性は低い。また全国統一模試でも業者によって出題の傾向や難易度が違っていて、受けている人数が多いからと言って必ずしも合格可能性に直結するわけでもない。
使い方難しいですね。

二つ目、受験者の得点のばらつき具合によって偏差値の出方が変わる
説明しましょう。
偏差値は平均と標準偏差さえわかれば、各自で算定できます。
(得点―平均)÷標準偏差×10+50
得点から平均を引くと、平均からの得点の離れ具合が分かります。
平均が55点として、95点とれば、(得点―平均)は40。
平均が55点として、35点とれば、(得点―平均)は△20。
これを偏差といいます。
次に、偏差を、試験参加者全員についてそれぞれ求め、各偏差を二乗してから足し合わせ、試験参加者の人数で割ります。これが分散。
(偏差^2+偏差^2+…+偏差^2)÷参加者の人数=分散
そして分散の平方根を取ったものが標準偏差となります。分散を求める時に各自の点を二乗しているので、それを元の単位に揃えるためですね。

だったら偏差をそのまま足して、人数で割って「ばらつきの平均度合い」を出せばいいんじゃないの、とおっしゃるかもしれませんが、平均からプラス方向だけでなく、マイナス方向の偏差もあるので、そのまま足したら0になってしまいます。
だったら偏差の絶対値をとってから足して、人数で割ればいいんじゃないの、という声が上がると思います。私もそう思いますが、なぜか二乗して足して、人数で割って、平方根となっています。その理由は分からん。

さて、偏差値の式に話を戻します。
(得点―平均)÷標準偏差×10+50
自分(又は子供の)得点の平均からの遠ざかり具合を標準偏差で割ると、試験参加者の平均的なばらつきとの割合が出ます。
その後に10を掛けて50を足しています。これは何かというと、

自分の平均からの遠ざかり具合÷試験参加者の平均からの遠ざかり具合の平均

だけだとヒトケタや小数点以下の数値になって自分(又は子供の)全体に占める位置がよく見えてこない。
そのために10倍しているだけです。50を足すのは、試験参加者の真ん中を50に揃えるため。
つまり、10倍して50を足しているのは、数字の意味を観察しやすくするため。

ここで私大文系の一般入試試験について考えてみましょう。
国語、外国語、社会か数学、という典型的な3科目を想定します。
この場合、社会と数学が選択になっています。
社会に比べて数学の得点はばらつきが大きい、と予想されます。
数学は適当な数字を書いても全部✖になっちゃう可能性が高いけど、社会は選択肢問題が多かったり推測で正解になる場合も多そうです。
そこで社会の標準偏差は15、数学の標準偏差は25と仮定しましょう。平均点はどちらも55点とします。
数学 85点取った場合の偏差値 (85-55)÷25×10+50=62
数学 25点取った場合の偏差値 (25-55)÷25×10+50=38
社会 85点取った場合の偏差値 (85-55)÷15×10+50=70
社会 25点取った場合の偏差値 (25-55)÷15×10+50=48
ありゃりゃ、バラツキの大きい数学は、高得点でも偏差値が低め、低得点でも偏差値はそれほど悪くない。
なんだか感覚的に変ですね。
これは、試験参加者の得点のばらつきが大きいと割るところにある標準偏差の値が大きいために、
(得点―平均)÷標準偏差
の値が小さめになるためです。

私なりに譬えてみますと、度の強い眼鏡をかけると、焦点に集まってくる代わりに、像がゆがむ。そんな感じ。
数学だったら0点もちらほらいる中で、100点をとっても意外に偏差値は高くない。
社会だと選択肢問題をあてずっぽうで解いても少しは点が稼げるから、0点はほとんどいないのにもかかわらず、高得点=高偏差値、低得点=低偏差値になりがち。
面白いですね。

以上のお話は、
芹沢光雄「AI時代に生きる数学力の鍛え方 思考力を高める学びとは」東洋経済新報社
を参考にさせていただきました。