かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

本多静六「私の財産告白」実業之日本社文庫

パソコンのファイル整理中に見つけた読書感想文です。
ブログを始めた2021年4月1日よりも前に書いたもの。お金とどう付き合うか、インデックス投資家のみならず、すべての人に読んで欲しい本です。

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この本を読むのは三回目位だと思いますが、前回に比べても、一つ一つの言葉への驚きが増したような気がします。初版は1950年11月なのでどうしても時代の推移によって古臭い道徳観や見解が鼻につくことがありそうですが、実はほとんどない。読むたびに発見と新鮮な驚きがあるという点で真の名著というべきでしょう。

若干読むのに注意が必要だと思ったことがあります。
この本は、「私の財産告白」と「私の体験社会学」の2大項目があり、「私の体験社会学」の「五、平凡人の勉強法」の中に、仕事を天職だと思って一意専心し、工夫をこらし、仕事の勉強を先回りして面白味を見つけ、仕事を道楽化しよう、という下りがでてきます。しかしこれはあくまで「仕事」であって、特定の「職場」や「勤め先」に一意専心しろとは言っていないことに注意しましょう。

"仕事を道楽化するため”に“仕事を追うどころか、せいぜい仕事につかまっていくのが精一パイである、という人があるかも知れない。しかし概して今日の職業は、職場の多くは―有難いことには、労働基準法とかいうものがあって―そんなにも過労を強いるものではない。"とおっしゃってくれていますが、そうでないと思われる職場もありますからね。

「四分の一天引き貯蓄法」で、種銭を作って、それを工夫して雪だるまのように増やしていく、金額の割合や貯蓄方法、その後の投資やお金の使い方は、私たち自身が置かれた時代や個人状況に合わせた変更が必要なのは言うまでもありませんが、今でも誰にでも頷ける、採用して実行できる蓄財の方法です。

日本が太平洋戦争で敗れた結果、"海外事業株が丸損となり、財産税と非戦災者税で、わずかばかりの家屋敷のほかは全く無財産となってしまった"のに、戦時中から務めてきた簡素な生活を続け経済的安定を得た、百二十歳以上まで生きられそうである、というくだり、その当時の心境などはこの本の中で語られていませんが、わたくし、ぜひとも他の著作で捜して読んでみたい。

これから投資をして、少しでも財産を増やして安心を得たい人、だけではなく、職場では遠慮なく意見を言える状態にして、仕事や趣味に心置きなく邁進する生き方を貫きたい、そして、わたくしのように、投資や仕事や人付き合いでの失敗で、夜寝つかれず朝早く目が覚めてしまうような、そんな方にも、この本は活力を与えてくれることでしょう。
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2020.4.3 読書感想録より