かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

NISA口座資金を特定口座資産売却で賄う必要があるとき

先日の計算例からさらに図を改良してみました。

買い替え時に譲渡益が生じている場合


特定口座で含み益がある資産を売却すると、譲渡益から税金が引かれて入金されます。
同一資産を取得しようとすると、手取で税金が引かれていますから不足します。
税金分だけ追加投資をしなければなりません。それが緑色部分のうち、薄く「資金投入」と記入した部分です。
その後さらに資産の含み益が増加して、最後に売却すると、NISA口座においていますから、譲渡益は非課税でまるまる入金されてきます。
最後まで特定口座で保有していると、NISAに乗り換える前に生じた含み益部分の税金は、NISA口座購入時に追加投入しているので、
特定口座、NISA口座共に負担は同一です。
ところがNISAに乗り換え後に生じた含み益部分については、特定口座持ちの場合、税金がかかってきます。NISA口座持ちならかからないです。
その部分が図で「オトク」と表示した部分です。

買い替え時に譲渡損が生じている場合


では特定口座からNISA口座に乗り換えようとした時に、含み損が生じている場合はどうでしょうか。取得価額を食ってしまう譲渡損が発生するので、税金はかかりません。NISAで同一資産を購入すると、新取得価額は譲渡損の分だけ低くなります。
その後資産の評価額が上昇したとして、譲渡損を取り戻すまでは、トータルでは損のままです。譲渡損を取り戻した上、さらに上昇した場合後に売却した場合のみ、トータルリターンはプラスになります。
同様に特定口座持ちを継続した場合、最初の取得価額を上回る部分は譲渡益として課税になります。NISA口座に乗り換えた場合、緑色の新取得価額を上回る分は譲渡益として認識されますが、非課税なのでまるまる入金されます。
しかし損失取戻し分は特定口座で持ち続けた場合はピンクの取得価額でしたからオトクではありません。あくまで特定口座で持ち続けた場合の譲渡益に課税された税金分だけがオトクとなります。

NISAの出口で含み損の場合


これはトータルで損失となります。
なぜなら譲渡益が非課税である裏返しとして、譲渡損が確定してもなかったものとみなされるからです。他の譲渡益や配当所得との損益通算もできず、損益通算が出来ません。
特定口座からの乗り換え時に譲渡益が出ていた場合であれば、払った税金分だけ追加投資していますから、旧取得価額+△税金 を下回れば「払い損」になります。二点破線の下側です。
特定口座時代の旧取得価額を下回れば、乗り換え時に譲渡益であろうが譲渡損であろうが、「total損」です。点線の下側です。
このようになる可能性を考えると、NISA口座で持つ資産は、なるべく右肩上がりが期待できる資産を選択する必要があります。

含み益が大きくなった場合


最初の図を少し変えて、最終売却時の時価がもっと高かったらどうなるでしょうか。
移行後に生じた譲渡益が大きくなればなるほど、税額が大きくなります。
右肩上がりの資産であれば、時間が経てばたつほど譲渡益が大きくなりますから、税額も大きくなります。そのように予測されるのであれば、“できるだけ早い時期にNISA口座で買い替えた方がよい”ということになるわけです。最初の図よりオトクの面積が大きいです。

譲渡所得税率が上がった場合

今の段階では不明ですが、譲渡所得に対する税率が将来あがったらどうなるでしょうか。

今度はオトクが2か所に現れました。NISAに乗り換えた場合負担した「税金a」だけでなく、税率が上がると、特定口座持ちで生じた譲渡益全体に係る税率が上がります。
最初の図と比べて△税金の面積が大きくなっています。
税率が上がる前の税金aはNISA口座に乗り換えた場合でも払って、その分を追加資金投入していますから、特定口座で持ち続けても同じですが、税率が上がってしまうと乗り換え前部分の譲渡益に対する税率も高くなりますから、特定口座で持ち続けていれば△税金bの分だけ負担が増えます。その部分もNISAに乗り換えた分はすでに旧税率で税金を引かれた後の譲渡益で受取済なので、結果的にオトクになります。
さらに乗り換え後に生じた譲渡益部分も当然非課税なので、税率が上がった分だけオトク度が増えます。

結論

NISAに乗り換えた後、いずれ購入した資産価格が上昇して
旧取得価額+乗り換え時に負担した税金
を取り戻せる可能性が高い
と思えるのであれば、なるべく早く特定口座の資産を売却して、NISA口座で資産を取得すべきであるという結論を導く図解をしてみました。
それは、この際だから特定口座で持っていた資産とは別の資産を買いましょう
と思った場合でも同じことです。
勿論右肩上がりが期待できる資産といっても、三十年間低迷していた某株式市場だってありますから絶対ではありません。しかし非課税期間無期限だから、今までのように5年経ったら、20年経ったら年末最終時価で特定口座に払いだされてしまう、という強制終了はありません。

含み損がずっと続いて乗り換えたい。
繰上償還されてしまった。
上場廃止されてしまった。会社が清算されてしまった。

心配のタネは挙げればきりがありません。リスクを取る、というのはそういうことです。
その可能性が低い商品に賭ける。低コスト・長期・分散です。

重要な補足

ちゃぶ台返しみたいになりますが、重要な補足説明をいたします。
今までのオトク・損の理屈は全部、特定口座時代における取得価額が出発点になっています。
本当は特定口座において、含み益がでていようが、含み損になっていようが、

中長期投資であれば、今後右肩上がりが期待出来て、保有コストの低い商品を、

今持っている銘柄にこだわらず、乗り換える。

2024年から始まるNISA制度が自分のポートフォリオ、持っている商品数、使っている証券会社とその数、それらをこれからどうしていったらよいのか、考えを整理するきっかけにすること、
これが何より大事なのではないかと思います。