かけこみリタイヤ―のダイヤリー

陰キャで隠居!58歳10か月でアーリー?リタイヤしました。

VTの実経費率

今回は、米国籍のETFで全世界株式に投資する、ヴァンガード・トータル・ワールド・ストックVanguard Total World Stock ETFについて検討します。

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経費率改定は毎年2月末近くに発表されています。運用報告書全体版和訳を見る限り、2019年10月末、管理費用+その他の費用でファンドの年次運営費用合計0.08%、費用料率は0.08%でした、とありますので、発表されているのは実経費率と考えてよさそうです。
上の表では、一口あたりの期末純資産価格をその期に通常4回行われる分配金の一口あたり合計で割って、便宜上の純資産価格に対する分配率を算出しました。分配金に米国源泉所得税10%がかかりますので、分配率の十分の一が税率となり、分配金を受け取る際に、米国源泉所得税を費用と見立てて、
総経費率+米国源泉税率=実費用率 
と考えております。実際には、たとえば分配金が100あったとすると、
100―100×10%(米国源泉税)=90
90―90×20.315%(日本の所得税住民税)=71.7165
ですから、手取りは72%弱になるわけです。今回なぜ、米国源泉税だけ経費と考え、日本の所得税と住民税を経費扱っていないかについて、私の考えを説明いたします。

☆米国源泉税は確定申告しても、一部しか還付されない場合がほとんどである。

所得税の控除限度額=その年分の所得税額×(その年分の調整国外所得金額/その年分の所得総額)
「その年分の所得税額」とは、配当控除や住宅借入金等特別控除などの税額控除、災害減免額を適用した後の所得税額をいいます。(国税庁ホームページより)

所得税の税額は、所得金額から所得控除額を引いたのちの課税所得金額に、税率5%~45%を掛け、それから各種税額控除を適用した後、ということになります。
ということは、最低税率5%であっても所得控除があれば、更に 配当所得:実際に納めるべき所得税額 の比率は5%を下回ることになります。所得控除の金額が人によって相当異なるので、ここでは試算しませんが、10%まるまる控除できるとは限らないということがおわかりいただけたでしょうか。

投資信託で分配実績がない場合でも、最終的に売却時で国税住民税が課税される。
今回VTは年4回分配金を出しますが、分配金の原資というのは、
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大体こんな風であろうと考えております。米国にとって外国(日本も含まれます)法人からの配当に源泉税がかかっているとすれば、それも経費と考えるのがより正しいのですが、米国との各国の租税条約による源泉税率がまちまちである、毎年どの国の法人からいくら配当を受け取っているかいちいち調べられない、ファクトシート見ると、2021年3月末で米国57.1%あるから、いいよね、ということで無視します、というか実経費計算できません。
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国内ETFであれば、2020年1月1日から、分配金源泉時に外国税額控除をすることになりましたから、その点は国内ETFが有利です。
また分配実績のない投資信託であれば、さらに課税は譲渡時点まで繰り延べられるので、以前シミュレーションしましたが、12年以上になると非常に有利になってまいります。
ただ、例えばeMAXISSlimのマザーファンドは外国株式から入ってきた分配金に米国で10%だけ課税され、投資家に分配しないことから日本で源泉所得税住民税がかからないまま再投資されますが、投資家として投資信託売却時に譲渡益課税を受ける際、過去払ってきた外国税額は控除する機会はないという点は留意する必要がありますね。分配時にその会計期間中に支払った外国所得税だけが控除される、ということから、無分配のまま売却にこぎつけると運用会社が何かする機会はないわけです。じゃあファンドが売却の同一年中に支払った外国所得税を株式譲渡所得の確定申告時に税額控除できるのか、これは今のところわかりません。

配当所得となる分配金、株式譲渡所得となる譲渡益(キャピタルゲイン)は、日本側では最終的にほぼ同一税率で課税されますので、時間差を利用した複利効果以外の点では、投資家の手元に現金が入る段階で課税がされるのは同一であることから、米国ETFの検討にあたっても、日本での所得税住民税を経費としないで、同じ土俵で比較してみようと思った次第です。
日本居住者の受け取るキャピタルゲインについて、米国で課税されないらしい(未確認)ので、もしそうなら米国ETFで無分配が最強なんですけどね。

まとめます。投資信託、国内ETFと同じ土俵で比較するため、
2020年10月末現在、VTの実経費率は0.28%としました。確定申告をして外国税額控除を適用できる方はこれより低くなると思います。しかしあなたが日本の居住者である限り、決
して手放しで「0.08%だから驚異的に低い」と思わないでください。

(計算基礎資料)
2010年10月末~2019年10月末までの1口当たり純資産価格と1口当たりの分配金
http://www.teneopartners.co.jp/vanguard-etf/IR_FULL_VT.pdf
2020年10月末までの分配実績
https://investor.vanguard.com/etf/profile/distributions/vt
国税庁ホームページ外国税額控除概要
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1240.htm
ファクトシート
https://institutional.vanguard.com/iippdf/pdfs/FS3141R.pdf
otosak.hatenablog.com
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